4日に7月の米雇用統計が発表されます。前回6月分の雇用統計では非農業部門雇用者数が市場予想の23万人増を下回る20.9万人増にとどまり、5月の数字も速報時点での33.9万人増から30.9万人増に下方修正される結果となりました。6月の20.9万人増は2020年12月以来約2年半ぶりの小幅な増加となっています。一方失業率は5月の3.7%から3.6%に低下。平均時給は前月比、前年比ともに市場予想を上回り、+0.4%、+4.4%と堅調な数字を示すなど、ややまちまちな動きとなっています。 前回の非農業部門雇用者数の内訳を確認すると、政府部門が6万人の大幅増となっています。民間部門は14.9万人増にとどまっており、全体の数字以上に弱さが見られました。14.9万人増は全体と同じく2020年12月以来の低水準でした。 民間部門を見ると、製造業が0.7万人増と5月の0.3万人減からプラス圏を回復したものの、低調な状況が継続しています。 サービス部門では比較的景気に敏感な小売業と運輸・倉庫業が5月の堅調な伸びから一転して、ともにマイナス圏となりました。 これまで雇用増を支えていた対事業所サービス、教育・医療サービス、娯楽・接客業いずれも増加幅を縮小しました。特に対事業所サービスは5月の6.1万人増から2.1万人増まで伸びが鈍化しました。 より細分化した分野を見ると、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて2020年3月、4月で600万人を超える雇用を失い、他の分野のほとんどがコロナ前の雇用水準を超えてきているにも関わらず、コロナ前2020年2月の雇用に届いていなかった飲食部門が、6月は2020年12月以来のマイナスとなりました。同部門は減少が大きかった分、回復も大きく、アフターコロナでの雇用増を支えてきた部門でした。2021年は月平均13.7万人、2022年は同5.9万人、2023年に入っても1-3月は平均5.3万人の増加となっていました。しかし4月に0.4万人増に留まると、5月は2.4万人増と少し持ち直したものの、6月で雇用減に転じました。コロナ過での多く見られた飲食店の閉店、WFH(在宅勤務)の一般化による外食機会の減少などから、同部門で必要とされる雇用者数が減っており、コロナ前水準までの回復とは言え、既存店の必要十分な水準まで雇用が回復したことで、増加傾向が収まったと見られます。 これらの状況を見ると、5月の弱い雇用の伸びは、どこかの部門での一時的な事情で減ったという動きではなく、全般に雇用の鈍化が進んでいる可能性があります。今後も厳しい状況が続くのではとの警戒感につながっています。 関連指標を確認してみましょう。 週間ベースの新規失業保険申請件数は雇用統計の基準日である12日を含む週の比較で、前回6月(6/11-6/17)が26.5万件、7月は22.8万件と改善しています。 その他の主要関連指標はまだ出ていませんので予想値を確認します。 ISM製造業景気指数は前回6月分が46.0。5月の46.9から改善するとの期待に反して悪化しました。内訳をみると雇用部門は48.1と5月の51.4から3.3ポイントの悪化。好悪判断の節目となる50も下回りました。 今回の予想は46.9と改善が見込まれています。同系統の指標であるS&Pグローバル社による購買担当者景気指数(PMI)が7月24日に発表され、製造業は市場予想及び6月の数字(46.3)を大きく超える49.0となっていましたので、ISM製造業も改善が見込まれます。雇用部門に絞った予想はありませんが全体の改善に合わせて改善されているようだと、雇用統計への好影響が期待されます。 同時に発表される米雇用動態調査(JOLTS)の求人数は前回5月末時点で982.4万人と4月の1032万人から大きく鈍化しました。市場予想値はまだそろっていませんが、同程度の水準であれば影響は限定的と見られます。 前回前月比49.7万人増と市場予想の24.1万人増の倍以上、5月の26.7万人増と比べても23万人以上強い結果を見せたADP雇用者数。今回は18.5万人増と増加幅減少見込みです。ただ、前回相当に強い結果となったにもかかわらず、雇用統計本番が弱く出たことで、相場への影響力自体が落ちています。 3日に発表される米ISM非製造業景気指数は前回6月が53.9と5月の50.3、市場予想の51.2を大きく超える上昇となりました。雇用部門は53.1と5月の49.2から3.9ポイントの上昇で、好悪判断の50を超えています。 今回は53.0と小幅鈍化見込みも、50超えを維持の見込み。雇用部門と合わせ堅調さを維持すると、雇用統計への期待につながります。 こうした状況を受けて今回の雇用統計の予想ですが、非農業部門雇用者数が前月比19万人増と前回を下回る伸びとなる見込み。2020年12月以来の低水準です。失業率は3.6%で維持される見込み。平均時給は前月比0.3%、前年比4.2%と前回から若干鈍化見込みです。 19万人増は水準的には決して弱くありません(コロナ前10年間の月次平均を上回っています)が、節目として捉えられている20万人を割り込むこともあり、若干弱いという印象です。予想前後であればドル売り円買いにつながる可能性があります。日銀のYCC修正を受けてややドル安円高になりやすい地合いということもあり、警戒感が必要です。 ただ、失業率の維持、景況感の底堅さなどから予想を超えてくる可能性などから予想を上回り前回も超える伸びも十分にありそうです。この場合は第2四半期GDP速報値の強さもあって、FOMCでの利上げ打ち止め期待が後退し、ドル買いが進む可能性があります。 MINKABU PRESS 山岡和雅
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