【直前まとめ】やや弱め予想の米雇用統計、関連指標はまちまち

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 21時半に発表される米雇用統計の市場予想は非農業部門雇用者数(NFP)が前月比+20.0万人、失業率が前回と同じ3.6%で維持される見込み。平均時給は前月比0.3%、前年比4.2%と前回から若干鈍化見込み。

 7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でパウエル議長は今後はデータに依存するアプローチをとると、これからの金融政策動向についてデータ次第である旨を改めて示した。市場では物価の鈍化などを受けて7月の利上げでの打ち止めを期待する動きが広がっているが、データ依存との発言通り、今後の重要指標の結果次第で、見通しが変化する可能性がある。物価のターゲット(2%)水準での安定と並ぶ二大命題の一つ雇用の最大化を意識し、雇用統計への注目度も高まっている。

 前回6月の雇用統計は非農業部門雇用者数が市場予想の23万人増を下回る20.9万人増にとどまった。また、5月の数字も速報時点での33.9万人増から30.9万人増に下方修正された。比較元の水準が下方修正されたにも関わらず、増加幅が予想を下回るという厳しい結果。なお、20.9万人増は2020年12月以来約2年半ぶりの小幅な増加となっている。一方、失業率は5月の3.7%から3.6%に低下。平均時給は前月比、前年比ともに市場予想を上回り、+0.4%、+4.4%と堅調な数字を示すなど、ややまちまちな動きとなっています。

 前回のNFPの内訳をみると、政府部門が6万人増となった。民間部門に限ると14.9万人増にとどまったかたち。政府部門の雇用は景気動向とはあまり関係なく上下するため、全体の数字以上の厳しい数字であったことがわかる。
  民間部門の内訳は、製造業が0.7万人増と5月の0.3万人減からプラス圏を回復したものの、低調な状況が継続。サービス部門では比較的景気に敏感な小売業と運輸・倉庫業が5月の堅調な伸びから一転して、ともにマイナス圏に落ち込んだ。
 これまで雇用増を支えていた対事業所サービス、教育・医療サービス、娯楽・接客業の三部門はいずれも増加幅を縮小。特に対事業所サービスは5月の6.1万人増から2.1万人増まで伸びが鈍化している。
 個別部門をみると、レストラン・バーなどの飲食業が2020年12月以来のマイナスとなった。同部門は単体で最も雇用者を抱える部門であるが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を最も受けた部門でもあり、2020年3月、4月で600万人を超える雇用を失った。減少が大きかった分、回復も大きく、2021年は月平均13.7万人、2022年は同5.9万人、2023年に入っても1-3月は平均5.3万人の増加と、全体を支えてきていたが、4月が0.4万人増に留まると、5月は2.4万人増と少し持ち直したものの、6月で雇用減に転じたかたち。ほかの多くの部門と違い、コロナ前の雇用水準を回復していないこともあり、もう少しの雇用増が期待されていたが、コロナ過での多く見られた飲食店の閉店が回復しきれてい無いこと、WFH(在宅勤務)の一般化による米国全体での外食需要の減少などから、同部門で必要とされる雇用者数が減っており、直近の弱い伸びにつながっている可能性がある。

 続いて、関連指標を確認してみる。
 週間ベースの新規失業保険申請件数は雇用統計の基準日である12日を含む週の比較で、前回6月(6/11-6/17)が26.5万件、7月は22.8万件と、はっきりと改善している(失業保険なので少ない方が良い数字)。
 7月のISM製造業景気指数は46.4と6月の46.0を上回ったが市場予想の46.9に届かず。内訳をみると、雇用部門が前回の48.1から44.4に3.7ポイントの低下、前回は3.3ポイントの低下となっており、二カ月連続での大幅な低下となった。
 同時に発表された6月の米雇用動態調査(JOLTS)求人件数は958.2万件とこちらは市場予想の960万件を若干下回るも想定内。ただ前回値が982.4万件から961.6万件に下方修正されていること、958.2万件は2021年4月以来の低水準であることなどから少し警戒感が出た。また同時に発表された採用件数が2021年2月以来の低水準となったことも、警戒を誘った。
 2日発表の7月のADP全米雇用レポートは予想をはるかに上回る前月比32.4万人増となった。市場予想は19万人増であったが、前回の前月比49.7万人増に続く大幅増となった。
 3日発表の7月のISM非製造業景気指数は52.7と市場予想の53.0、6月の53.9を下回った。雇用部門が50.7と6月の53.1から2.4ポイントの低下となった。

 ISMが製造業、非製造業ともに弱く、JOLTSはほぼ想定通り、新規失業保険申請件数とADPが強いと、関連指標はまちまち。

 前回よりもやや弱めの数字とは言え、予想前後であれば動きは限定的か。ただ関連指標動向からみると、かなり不安定な状況に見えるだけに、予想からの乖離に注意したい。

MINKABU PRESS 山岡和雅

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