12日に9月の米消費者物価指数(CPI)が発表されます。6日に発表された9月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比+33.6万人と、市場予想の+17万人を大きく超え、今年1月以来となる高い伸びを記録したこともあり、米国の年内追加利上げ期待がやや高まっており、市場の注目を集めています。 市場は先月の米連邦公開市場委員会(FOMC)まで、7月のFOMCでの利上げ打ち止めと、早ければ来年上半期の利下げ開始を見込んでいました。9月のFOMCでFOMCメンバーによる追加利上げ見通しが示され、パウエル議長も引き締め姿勢を維持したことで、据え置き見通しが依然大勢ながら、追加利上げの期待が少し高まり、利下げ開始についても先送り見通しが広がりました。 実際に利上げが行われるかどうかは、今後のデータ次第としています。パウエル議長は会見で「デュアルマンデートに焦点を絞る」と、FRBが課せられているデュアルマンデート(二大責務)である物価の安定と雇用の最大化に注力する姿勢を改めて示しました。 雇用については現時点で持続可能なほぼ最大水準にあると見られる中で、6日の雇用統計で力強い雇用の伸びが示されたことで、利上げを阻むハードルにはならないと見られます。それだけに物価動向が注目されるところです。米国のインフレターゲットの対象となる物価指標はPCEデフレータですが、発表が早いことや、変化の傾向がほぼ一致することから、市場はCPIを重要視する傾向があります。 前回8月のCPIは前年比+3.7%と7月の+3.2%から伸びが加速しました。市場予想の+3.6%もわずかながら上回る伸びとなっています。一方、食品とエネルギーを除いたコア指数は前年比+4.3%と、7月の+4.7%から伸びが鈍化しました。市場予想とは一致しています。 前回のCPIの伸び加速は、エネルギー価格、中でもガソリン価格の上昇が大きな影響を与えています。OPECプラスの減産継続方針などもあってNY原油価格が上昇。堅調さを保つ米経済状況からガソリン需要も伸びています。その結果、エネルギー価格は前月比+5.6%、ガソリン価格は+10.6%の伸びとなりました。昨年のエネルギー価格の高さから前年比ではともにマイナスですが、-3.6% と-3.3%となっており、7月の-12.5%、-19.9%から一気にマイナス幅が縮小したことで、全体の伸びにつながりました。 一方コア指数は全体の34.8%、コア指数だけで見ると43.7%とかなりの部分を占める住居費の伸びが、7月の前年比+7.7%から+7.3%へ鈍化したことが全体を押し下げました。医療サービスのマイナス幅拡大、新車価格の伸び鈍化、中古車価格のマイナス幅拡大も全体を押し下げています。 こうした状況を受けて今回9月のCPIですが、市場予想は前年比+3.6%と小幅な鈍化が見込まれています。コア指数は+4.1%とこちらも鈍化見込みです。 前回伸び加速の要因となったガソリン価格は、EIA(米エネルギー情報局)調査での全米全種平均で8月と9月はほぼ同水準(1ガロン=3.840ドルと3.836ドル)となっており、今回は大きな影響を与えないと見られます(CPIは全米平均のEIAと違い都市部のみの平均である為、少し水準は異なります)。食品価格の鈍化傾向が続くと期待されることなどから、小幅ながらの鈍化が見込まれるところです。 コアに関しては住居費の伸び鈍化の継続が見込まれます。住居費は今年3月のピークまで上昇が続いていました。比較対象元である昨年の水準が高くなる分、今年は見かけ上の伸びが鈍化する形になります(ベース効果)。 少し気になるのは自動車価格です。販売状況を見る限りストライキの影響は10月になると見られており、9月は調査会社推計で前年比約19%の販売台数増が見られるなど、しっかりした動きが見られました。販売価格にも影響していると見られ、それほどの鈍化が見られない可能性があります。 市場予想に比べてCPIの伸びが強かった場合、追加利上げの期待につながります。米雇用統計の好結果を受けて、年内の追加利上げ期待が高まり、据え置きと利上げで見方がほぼ拮抗する状況となっています。CPIが強く出ると、利上げ期待が据え置きを上回ってくる可能性があります。これまで据え置き見通しが大勢という状況が長く続いていただけに、見通しの変化からドル買いが強まる可能性があることに注意したいところです。 MINKABU PRESS 山岡和雅
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