為替相場まとめ5月4日から5月8日の週

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 4日からの週は、ドル円相場が介入動向と押し目買いの綱引きで神経質な動きを強いられる一方、地政学リスクの緩和期待が原油安・ドル安を誘発し、それが株式市場の高値更新を強力に後押しする盛りだくさんの週だった。日本の連休中は中東情勢の急転と為替介入への警戒が重なり、複数の市場が連鎖的に揺さぶられた。ドル円は157円台に乗せるたびに当局の介入とみられる大規模な円買いが入り一時155円台まで急落したが、日米金利差という円安要因は不変で押し目買いが優勢となり、介入警戒の上値とファンダメンタルズの下支えが拮抗して155円付近から157円台での乱高下が続いた。同時に原油市場では、週前半にホルムズ海峡を巡る緊張が高まりNY原油が106ドル台へ急騰して「有事のドル買い」を誘ったものの、週後半には米国とイランの和平合意期待が急浮上し原油は一時90ドル割れまで急落、米長期金利も低下してドル全面安へ転じた。こうした地政学リスクの急速な反転が為替とコモディティ双方の方向性を大きく変えた。一方、株式市場では緊張緩和と和平期待が投資家心理を一気にリスク選好へ傾け、米主要指数が史上最高値を更新し、連休明けの日経平均も再び最高値を更新するなど歴史的な相場展開となった。

(4日)
 東京市場は「みどりの日」の祝日のため休場。休場のためアジア時間の市場参加者は限定的であった。ドル円は序盤、157.25円付近までじりじりと上昇する展開を見せた。しかし、日本時間の昼過ぎに突然まとまった売りが持ち込まれ、一気に155.72円付近まで急落する場面があった。この急変動は、日本の通貨当局による為替介入や為替レートチェックを想起させる値動きとして警戒された。その後はすぐに買い戻しの動きが入り、156円台後半へと反発した。ユーロ円もドル円に連れ安となり、184.41円付近の高値から一時182.81円付近まで急落したが、すぐに184円付近へと反発した。ポンド円も同様に213.62円付近から211.80円付近まで急落後に買い戻されるなど、連休中の薄商いのなかで円相場全体が乱高下する波乱の展開となった。

 ロンドン市場では、中東情勢の緊迫化を背景とした「有事のドル買い」が優勢となった。イラン革命防衛隊による船舶停止の警告やホルムズ海峡での新たな管理区域設定の報道に加え、米船舶へのミサイル攻撃に関する情報(米当局は否定)が流れ、NY原油先物が再び106ドル台へと急伸した。これを受けたドル買い圧力により、ユーロドルは一時1.1689付近まで安値を広げ、ポンドドルも1.3523付近まで下落した。ドル円は原油高とドル買いに支えられて再び157.15円付近まで上昇したが、日本当局による介入への警戒感も根強く、157円台での上値追いは慎重となり売買が交錯した。英国市場が休場のため流動性が低く、一方向へのトレンドが継続しにくい環境のなか、ドル円は介入警戒感と有事のドル買いが綱引きとなり、157円付近での一進一退の神経質な値動きに終始した。

 NY市場では、アジア時間に155円台半ばまで急落したドル円に対する下値での買い戻しが強まった。イランのミサイル報道やUAEの警告など、紛争終結に向けた外交努力の脆弱さが浮き彫りとなり原油高が進行する中、為替市場でもドル高が優勢となった。日本の当局による157円台前半での介入観測があり、上値の壁が意識されたものの、不透明な中東情勢や原油高が日本経済へ与える影響から日銀の急速な利上げは困難との見方が大勢を占めた。FRBの早期利下げも望み薄であり、ドル円の持続的な下落は見込みにくいとの判断から買い戻しが優勢となった。ユーロドルは緩やかな売りに押され1.16ドル台へ下落し、ユーロ円はロンドン時間の下げの大半を取り戻し183円台後半で推移した。ポンドドルは1.35ドル台前半へ下落し、市場の関心は翌週の英地方選挙へと向かっている。

(5日)
 東京市場は「こどもの日」の祝日のため休場。」前日のような介入を想起させる急激な円高や乱高下の動きは影を潜め、全体的に落ち着いた値動きとなった。ドル円はアジア時間を通じて157円台前半を中心とした狭いレンジでのもみ合いが継続した。日本の通貨当局による介入に対する警戒感が根強く残る一方で、日米金利差などのファンダメンタルズを背景とした押し目買いの意欲も底堅く、方向感に乏しい展開となった。クロス円もアジア時間は大きな方向性を示す材料に欠け、静かな推移となった。なお、午後に入って発表された豪中銀(RBA)の金融政策決定会合では、予想通り3回連続の利上げが発表された。しかし、その後の総裁会見の内容などを受けて、市場では当面の利上げは見送られるとの観測が優勢となり、豪ドルが一時的に売られる場面が見られた。

 ロンドン市場では円相場が神経質な動きとなり、乱高下する展開となった。朝方まで157円台前半で推移していたドル円は、157.30-40レベルの抵抗帯を上抜けると一気に157.84付近まで急伸した。この動きは、157円台前半を介入ポイントと想定して売りポジションを構築していた短期筋によるショートカバー(買い戻し)が主導したと見られている。しかし、急伸後は再び介入警戒感が強まり一時157.10付近まで急反落するなど、激しく売買が交錯し、足元では157円台後半に落ち着いた。クロス円も同様にボラティリティが高まり、ユーロ円は一時184.20台まで買われた後に急落、ポンド円も213.67付近まで上昇後に下落するなど激しく振幅した。一方、中東有事に関する新たな報道が一服し原油先物が上値重く推移したため、ドルストレートは小動きに留まった。

 NY市場では、ドル円が158円手前まで力強く買い戻される展開となった。為替市場全体ではドル自体の上値は重かったものの、それ以上に円の戻り売り圧力が勝る形となった。介入を警戒・期待して円ロング(円買い)ポジションに傾けていた投機筋が、急速にポジションを巻き戻したことが上昇の要因と見られている。日本の当局による介入によって160円から150円台半ばまで下落したことで、当局の防衛ラインが市場に意識され、以前のような一方的な円売りは難しくなった。しかし、エネルギー価格上昇による交易条件の悪化や、FRBの早期利下げ期待の後退に伴う日米の金利差拡大など、円安を促す根本的な要因に変化はない。ユーロドルは1.17ドル付近で推移し、ポンドドルは1.3580ドル近辺まで反発したが、ドル高を背景に上値は限定的であった。

(6日)
 東京市場は「振替休日」の祝日のため休場。午後に入り円相場が激しく動意づいた。アジア時間の午前中は、ドル円は157円台半ばから後半にかけての小幅なもみ合いが続いていた。しかし、日本時間の午後1時過ぎに状況が一変し、突然まとまったドル売り・円買いが持ち込まれた。ドル円は157円台後半から一時155.04付近まで一気に約2.5円急落し、市場では政府・日銀による実弾の為替介入が実施されたとの観測が一気に強まった。その後は下値での買い戻しが入り、半値戻しとなる156.49付近まで反発する場面も見られたが、再度の介入への警戒感から上値は重く推移した。ユーロ円も185.04付近から182.05付近まで、ポンド円も214.23付近から210.77付近まで急落するなど、円全面高の波乱の展開となった。

 ロンドン市場では、中東情勢の緊張緩和への期待が高まり、全般的にドル売りが優勢となった。米メディアが「米国とイランが戦争終結に向けた覚書で合意に近い見通し」と報じたことで、市場にはリスク選好(和平期待)のムードが急速に広がった。これによりNY原油先物が一時90ドル台割れまで急落し、米10年債利回りも4.33%台へと低下した。これまで相場を支えていた「有事のドル買い」が巻き戻され、ユーロドルは1.18手前まで、ポンドドルは1.36台前半へと高値を伸ばした。ドル円は、東京時間午後の介入観測による急落後に一時156円台半ばまで反発していたが、ロンドン時間に入るとこの全般的なドル売り圧力に押され、再び155円台後半へと軟化した。一方、クロス円は株高を背景に底堅く推移し、ユーロ円は183円台半ばへと買い戻された。

 NY市場では、全体的にドル安傾向が続いたものの、ドル円に関しては下値での買い戻しが優勢となった。東京時間での155円ちょうど付近への急落を受けて市場では断続的な介入への警戒感が広がり、一時的に円買いが強まっていた。しかし、米国とイランが戦闘終結の枠組みに関する覚書で合意に近づいているとの報道を背景に、原油価格や米国債利回りが低下したことで、全般的なドルの戻り売りが進行した。ユーロドルは一時1.18ドル手前まで上昇し、ポンドドルも1.3640ドル近辺まで買われた。一方でドル円は、介入による下押し圧力があったものの、根本的な円安トレンドの転換には至っていないとの見方からNY時間に入って買い戻され、底堅い動きを見せた。市場は翌日に控えた英地方選挙や、中東情勢のさらなる進展に注目を寄せている。

(7日)
 東京市場のドル円は、介入への警戒感と中東和平期待によるドル売りが上値を抑える一方で、下落局面では押し目買いが入る展開となった。朝方は、近日予定されている日米財務相会談で投機的な円売り対応が協議されるとの報道を受けて円買いが先行し、156.50円前後から156.02円まで下落した。また、トランプ大統領のSNS投稿やイランメディアの報道から中東紛争終結への期待感が広がり、ドル全体の上値を重くした。しかし、156円割れを回避すると昼前後に156.30円台まで反発し、午後は156.31~156.43円の非常に狭いレンジでのもみ合いに終始した。連休中の複数回にわたる介入観測により、市場参加者が積極的な円売りに慎重になっている姿勢が浮き彫りとなった。ユーロ円、ポンド円も午前中の円高局面で下落した後は、落ち着いた推移となった。

 ロンドン市場は、中東情勢のさらなる改善期待から全般的にドル安が進行した。中東メディアが「米国とイランが封鎖緩和と引き換えに、海峡を段階的に開放することで合意」と報じたことを受け、原油相場が軟化し、米債利回りも低下した。これに伴い有事のドル買いの巻き戻しが加速し、ユーロドルは1.17台後半へ、ポンドドルは1.36台前半へと上昇した。クロス円も連れ高となり、ユーロ円は184円台乗せ、ポンド円は213円台乗せへと上昇した。一方でドル円は、全般的なドル安の影響を受けつつも下押しは156円台割れに至らず、156円台前半での停滞が続いた。政府・日銀による1~6日の介入規模が約4.68兆円と推計されたものの市場の反応は限定的であり、この日は新たな介入とみられる動きは観測されず、様子見姿勢が強まった。

 NY市場では、ドル円の買い戻しが優勢となった。序盤は低下していた原油相場が上昇に転じ、米国債利回りも上昇したことで、為替市場全体でドル高の動きが強まった。米・イランの和平合意期待がある一方で、イラン政府がホルムズ海峡での新規則を示したとの報道やペルシャ湾での爆発音の噂などがあり、依然として中東情勢の先行きは不透明との見方が広がった。介入に対する警戒感から以前のような急激な円売りは見られなくなったものの、日米金利差などのファンダメンタルズに変化がないため、短期的な円安トレンドは継続するとの見方が根強く、ドル円は156円台後半まで上昇した。ユーロドルは後半に伸び悩み1.17ドル台で推移し、仏中銀総裁が6月利上げの確約を避けたことも話題となった。ポンドドルも英地方選挙の結果待ちで1.35ドル台へ値を落とした。

(8日)
 東京市場で、ドル円は動意薄の展開。ドル円は156.99円付近まで上昇したものの、全般に方向感を欠く展開となった。早朝に報じられた米・イラン間の一時交戦や停戦協議の不透明感から「原油高圧力」がくすぶり下値を支える一方、政府・日銀による為替介入への警戒感が上値を抑えた。さらに、今晩の4月米雇用統計発表を控えた様子見姿勢も動意を抑制した。一方、クロス円は早朝に一時下振れしたものの、その後は買い戻しが優勢になった。ユーロ円は184.18円付近、ポンド円は212.96円付近、豪ドル円は113.33円付近までそれぞれ水準を切り上げた。日経平均は120円安で引け、前日の急騰からの反動は最小限にとどまった。

 ロンドン市場は、ドル売りが優勢。欧州勢参入後に米10年債利回りの低下やNY原油の軟化が進み、ドル売り圧力が強まった。ドル円は一時156.63まで下押しし、ユーロドルは1.1774付近、ポンドドルは1.3623付近へと高値を広げている。ドル売りの主導役はポンド。英地方選での与党労働党の苦戦やファラージ氏の勝利宣言など、政治的不確実性が意識されるなかでもポンド買い戻しが優勢となった。クロス円はドル円の下げ渋りもあり、ユーロ円が184円台半ば、ポンド円が213円台前半へ上昇している。この後21時30分に発表される米4月雇用統計を控えたポジション調整のドル売りも指摘される。同指標の非農業部門雇用者数は6.5万人増と、前回の17.8万人増から大幅な減速が見込まれている。

 NY市場は米雇用統計後にややドル売りとなった。非農業部門雇用者数が予想を上回ったことはドル買いの材料であったが、反応は限定的なものにとどまり、その後ドル売りが出た。上値の重さを意識した売りに加え、平均時給が予想を下回ったことで、物価高圧力がやや後退するとの期待がドル売りにつながっている。米軍がイランのタンカー2隻を攻撃し、無力化したとの報道で、イラン紛争長期化警戒のドル買いが入る場面も、限定的にとどまった。ドル円は一時156.44円を付けたが、その後156.70円台を回復するなど、一方向の動きにはならず。ドル円以外でもドル売りが優勢でユーロドルが1.1787、ポンドドルが1.3631を付けるなどドル安が目立った。。クロス円は対ドルでのユーロの買いなどにしっかりとなった。

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