プラチナ週間展望=上げ一服、米利下げ期待は行き過ぎとの見方

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [1月8日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2024 年 12 月限   1 月  4 日〜  1 月  5 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金           9,421     9,530 ( 5)    9,354 ( 4)      9,522         +100
  銀           112.1     117.0 ( 4)    107.5 ( 4)      108.5         -5.8
 プラチナ       4,493     4,517 ( 4)    4,365 ( 5)      4,370         -138
 パラジウム     5,000     5,000 ( 5)    5,000 ( 5)      5,300        -300
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
         4  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       ( 2) 2,050.0     -21.8   | ドル・円    144.91      3.62 円安
  銀       ( 3) 2,318.7     -89.9   | 日経平均  33,377.42       -86.75
 プラチナ   ( 4)   966.3     -42.9   | NY原油 ( 2)  72.19        +0.54
 パラジウム ( 3) 1,037.80    -71.50  |* ドル・円は15時15分現在、原油は 4日
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【前週のレビュー】
 プラチナはドル安や株高が支援要因、とした。
 プラチナは米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待に対する行き過ぎが警戒される
なか、ドル高に振れたことを受けて調整局面を迎えた。現物相場は12月21日以来の
安値952.50ドルを付けた。プラチナ先限は昨年8月31日以来の高値4517円
を付けたのち、上げ一服となった。一方、パラジウムの現物相場は12月14日以来の
安値1032.62ドルを付けた。
 11月の米雇用動態調査(JOLTS)は、求人件数が6万2000件減の879万
件となった。労働市場の状況が緩和する中、3カ月連続で減少した。12月の全米雇用
報告によると、民間部門雇用者数は16万4000人増加と事前予想の11万5000
人増を上回った。また米新規失業保険申請件数は1万8000件減の20万2000件
となり、労働市場のひっ迫を示した。12月の米ISM製造業景気指数は47.4とな
り、事前予想の47.1を上回った。ただ分岐点となる50を下回るのは1年2カ月連
続となった。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によると、当局者はインフレ
「上振れリスク」が減退したという見解を確認した。さらに「過度に制約的な」金融政
策が経済に与える影響への懸念も示した。CMEのフェドウォッチでは、3月から利下
げを開始し、年末まで150ベーシスポイント(BP)利下げを織り込んでいる。JP
モルガンの調査では、米国債のネットロングが2020年5月以降で最も大きく減少し
たことが明らかになった。ハト派転換に賭けた債券トレーダーに再考の兆しが出てい
る。
 昨年の米自動車販売台数は約1550万台と2022年の1390万台弱を上回り、
コロナ禍前の2019年以来の高水準に達する見込みであることが、コックス・オート
モーティブのまとめで明らかになった。新車需要が続くなか、供給制約の緩和に伴って
各メーカーの増産態勢が整い、販売台数を押し上げた。ただ一部のアナリストは、高金
利が今年の需要に悪影響を及ぼすと警告している。昨年は電気自動車(EV)の販売比
率が大きくなった。コックスによると、自動車販売台数全体におけるEV比率は昨年が
8%前後で、今年は10%前後まで高まる見通しである。自動車販売の増加はプラチ
ナ、パラジウムの需要増加につながるが、EV比率の行方も確認したい。
【NYのプラチナETF残高が減少】
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、3日のロンドンで12.18トン(前
週末12.18トン)と変わらず、4日のニューヨークで31.02トン(同
31.04トン)に減少、3日の南アで11.89トン(同11.89トン)と変わら
ずとなった。またパラジウムETFの現物保有高はロンドンで3.61トン(同
3.63トン)に減少、ニューヨークで6.00トン(同6.00トン)、南アで
0.36トン(同0.36トン)と変わらずとなった。ニューヨークのプラチナETF
とロンドンのパラジウムETFの残高が減少した。ドル高を受けて利食い売りが出た。
一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、12月26日時点
のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万3662枚(前週1万
6998枚)に拡大、パラジウムの売り越しは7801枚(同8380枚)に縮小し
た。
【中国の景気の先行き懸念が残る】
 12月の中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.0で前月の49.4か
ら低下、事前予想の49.5も下回り、分岐点となる50を3カ月連続で下回った。政
策支援を強化しなければ成長鈍化の傾向は続くとみられている。サービス業と建設業を
含む非製造業PMIは50.4で前月の50.2から上昇した。サービス業活動を示す
指数は49.3と、前月と同水準にとどまった。一方、12月の中国の財新製造業PM
Iは50.8と前月の50.7から小幅上昇し、7カ月ぶりの高水準となった。生産と
新規受注の伸びが寄与した。財新サービス部門PMIは52.9と前月の51.5から
上昇し、5カ月ぶりの高水準を付けた。新規受注の堅調な伸びが寄与した。総合PMI
は52.6と前月の51.6から上昇し、5月以来の高水準となった。年明けの上海プ
ラチナの出来高は伸び悩み、中国勢は高値での買いを見送っている。
当面の予定(イベント・経済統計)
 8日 成人の日
    独貿易収支 2023年11月(連邦統計庁)
    独製造業受注 2023年11月(経済技術省)
    ユーロ圏小売売上高 2023年11月(EUROSTAT)
    米消費者信用残高 2023年11月(FRB)
 9日 全世帯家計調査・消費支出 2023年11月(総務省)
    独鉱工業生産指数 2023年11月(経済技術省)
    ユーロ圏雇用統計 2023年11月(EUROSTAT)
    米貿易収支 2023年11月(商務省)
10日 米卸売在庫 2023年11月確報値(商務省)
11日 米新規失業保険申請件数(労働省)
    米消費者物価指数 2023年12月(労働省)
    米財政収支 2023年12月(財務省)
12日 国際収支(経常収支) 2023年11月(財務省)
    中国消費者物価指数 2023年12月(国家統計局)
    中国生産者物価指数 2023年12月(国家統計局)
    中国貿易収支 2024年12月(税関総署)
    英貿易収支 2023年11月(国立統計局)
    英鉱工業生産指数 2023年11月(国立統計局)
    米生産者物価指数 2023年12月(労働省)
    建玉明細報告(CFTC)
MINKABU PRESS 東海林勇行
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