コモディティレポート(金)

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【NY金はリスク回避の動きを消化した安全資産や利下げ着手観測で底堅い】
 NY金12月限は7月25日にかけての急落後に切り返して8月2日に7月18日以
来の高値となる2522.50ドルまで浮上したが、軟化。8月5日に2403.8ド
ルまで値を落とすなど乱高下した後、次第に値位置を切り下げている。
 7月30〜31日に開催された公開市場委員会(FOMC)で金利の据え置きが発表
された。しかし9月利下げの可能性についてパウエル連邦準備理事会(FRB)議長が
明言したことや、米雇用統計で雇用情勢に緩和の様相が示されたことが価格の上昇を促
した。しかし6月非農業部門の雇用者数の増加幅が前月比11.4万人と前回の17.
9万人(20.6万人から修正)と事前予想17.5万人を大幅に下回る11.4万人
にとどまったことは、米経済不安を高める一因となり、リスク回避の動きが
活発化した。
 高金利環境は米製造業や住宅販売にマイナスの影響を与えているが、この中で利下げ
局面を迎えることにより景気後退(リセッション)が引き起こされるとの懸念が高まっ
たことで、米株式市場は暴落となったうえ、リスク回避の動きが世界的に広がった。
 金市場においてもリスク回避の動きが活発化したことが2403.8ドルまで下落し
た5日の動きの背景となった。その後、持ち直し2450ドル前後まで浮上しているう
え、7日の取引も買い優勢で運ばれている。米株式市場が落ち着きを取り戻したことで
金市場にも資金が回帰する動きが見られている。
 金には安全資産としての役割があるため、リスクが高まると逃避買いが集まり、その
結果として価格が押し上げられる可能性が高まる。その一方で現金化を迫る動きが高ま
るほどリスクが意識される場合は金市場からも資金が流出する傾向が高まる。
 米リセッション懸念が高まったことがリスク回避の動きを活発化させ金市場でも投げ
売りの動きが見られた。ただ、2400ドルに近づいたところでは買い戻された。安全
資産としての役割や、9月利下げ観測に対する意識の根強さが窺われ、金市場から完全
に撤退するほどリスクを回避する必要には迫られていない様子を窺わせている。
 実際、米株式市場を始め、世界の主要株式市場が6日には反発し7日も続伸するな
ど、暴落のきっかけとなったリスク回避の動きも一段落の様相を見せている。
 警戒したいのは、リスク回避の動きに伴い金市場からも資金の流出が促される場合だ
が、2400ドルという現時点での目先の下値支持線を割り込まないようであれば安全
資産としての金需要とともに、米9月利下げ観測に対する意識が下値を支える要因とな
り、高値圏を維持すると予想される。また、これまでの乱高下でリスク回避の動きを織
り込んだ感が強いことも、今後の金価格を支える要因になってきそうだ。
 9月利下げ着手を織り込むなか、注目されるのがその利下げ幅だが、一部で予想され
ているように0.50%の大幅利下げが実施された場合、通常であれば金市場にとって
の買い支援要因となり得るが、利下げ着手によりリセッションがもたらされる可能性が
警戒されている状況下での大幅利下げはリセッションへの警戒感を再燃させかねない点
に注意が必要だろう。
 なお、パウエルFRB議長は利下げの時期を決める条件として経済指標の内容を挙げ
ているが、8月14日に7月消費者物価指数(CPI)される。総合CPIはディスイ
ンフレ傾向を示すのか、またサービス部門の成長率は鈍化に向かっているのかが注目さ
れ、FRBが目指す2%のインフレ率に向かう足取りが見られた場合、NY金は再び
2450ドルを超えてくる可能性もある点に留意しておきたい。
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