プラチナ週間展望=堅調、米FRBの利下げ見通しが支援

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [9月16日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2025 年  8 月限  9 月 9 日〜 9 月 13 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金          11,560    11,755 (13)   11,421 ( 9)     11,667         +84
  銀           133.5     133.5 ( 9)    129.0 (10)      134.5        +1.0
 プラチナ       4,262     4,492 (13)    4,195 ( 9)      4,456        +177
 パラジウム     4,250     4,700 (13)    4,250 ( 9)      4,700        +300
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
        13  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       (12) 2,610.7     +86.1   | ドル・円    140.91      1.58 円高
  銀       (12) 3,107.4    +289.1   | 日経平均  36,581.76       +190.29
 プラチナ   (10) 1,006.8     +88.1   | NY原油 (10)  68.65         +0.98
 パラジウム (12) 1,071.00   +172.50  |* ドル・円は15時15分現在、原油は 13日
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【前週のレビュー】
 プラチナは米労働市場の減速が支援要因、とした。
 プラチナは予想以下の米雇用統計でリスク回避の動きとなったが、米連邦準備理事会
(FRB)の利下げ見通しを受けて押し目を買われると、欧州中央銀行(ECB)の追
加利下げやドル安を受けて上値を伸ばした。現物相場は7月18日以来の高値
988.63ドルを付けた。プラチナ先限は8月27日以来の高値4492円を付け
た。一方、パラジウムの現物相場は4月15日以来の高値1057.83ドルを付け
た。
 8月の米雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月比14万2000人増で事前
予想の16万人増を下回った。7月の非農業部門雇用者数は11万4000人増から
8万9000人増に下方改定され、6〜7月分の雇用者数は計8万6000人減少し
た。失業率は4.2%で前月の4.3%から小幅低下した。景気減速懸念からリスク回
避の動きとなった。イエレン米財務長官は金融システムには危険を警告する「赤信号は
点滅していない」と述べ、雇用の伸びが弱まる中でも米経済はソフトランディング(軟
着陸)を達成したとの見方を改めて示した。8月の米消費者物価指数(CPI)は前年
比2.5%上昇と前月の2.9%上昇から伸びが鈍化し、2021年2月以来の小幅な
伸びとなった。ただコアCPIは同3.2%上昇で前月と変わらずとなった。基調イン
フレになお粘着性が見られることから、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で
50ベーシスポイント(bp)利下げの見方は後退した。8月の米生産者物価指数(P
PI)は前月比0.2%上昇した。サービス価格の上昇を背景に伸びは事前予想の
0.1%上昇を上回ったものの、インフレ鎮静化と一致する内容となった。前年比は
1.7%上昇と、前月の2.1%上昇から伸びは鈍化した。
 欧州中央銀行(ECB)理事会は、インフレと経済成長の鈍化を受けて0.25%の
追加利下げを決定し。6月に続き主要政策金利の中銀預金金利を3.75%から
3.50%に引き下げた。ECBはユーロ圏の経済予測で、2024年から26年まで
の経済成長率予想を下方修正した。今年の域内総生産(GDP)成長率予想は0.8
%。6月時点では0.9%だった。ラガルドECB総裁は今後の決定は会合ごとに決定
し、特定の道筋に事前にコミットしないと述べた。10月の利下げ観測が後退した。
【欧米のプラチナETF残高が減少】
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、11日のロンドンで20.14トン
(前週末21.35トン)、12日のニューヨークで31.89トン(同32.18ト
ン)に減少、11日の南アで11.32トン(同11.24トン)に増加した。またパ
ラジウムETFの現物保有高はロンドンで4.17トン(同4.17トン)、ニューヨ
ークで9.18トン(同9.18トン)、南アで0.33トン(同0.33トン)と変
わらずとなった。欧米のプラチナETF残高が減少し、戻り場面で手じまい売りが出
た。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、9月3日時点
のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1388枚(前週1万5733
枚)、パラジウムの売り越しは1万1633枚(同1万1860枚)に縮小した。
【WPICは2年連続の大幅な供給不足見通しを示す】
 ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)の四半期報告によ
ると、2024年のプラチナは31トンの供給不足になると予想された。昨年の23ト
ンから供給不足幅を拡大する見通しとなった。供給量は一段と縮小して220トンとな
る一方、需要量は前年比3%増の252トンと予想され、前回見通しの15トンから不
足幅が拡大した。投資需要はETF(上場投信)への資金流入や中国のラージバーの地
金・コイン需要の増加を受けて同15%増の16トンになると予想された。ただトレバ
ー・レイモンドCEOは、プラチナは2年連続で大幅な不足となるが、価格は反応して
いないように見えるとした。ディーゼルゲート事件(独ディーゼルエンジン車の排出量
不正問題)による需要減少予想や、駆動方式の急速な電化に対する世界の期待が、セン
チメントを悪化させたと指摘した。しかし、ガソリン車用触媒コンバーターへのプラチ
ナ代替が進んでいることに加え、電化が予想よりもはるかに遅れていることから、自動
車触媒需要のセンチメントは「より長く、より高い」水準へ変化すると予想している、
とした。
当面の予定(イベント・経済統計)
16日 ●敬老の日、中国(中秋節)
    ユーロ圏貿易収支 2024年7月(EUROSTAT)
    米製造業景況指数 2024年9月(ニューヨーク連銀)
17日 ●中国(中秋節)
    独景況感指数 2024年9月(ZEW)
    米小売売上高 2024年8月(商務省)
    米鉱工業生産・設備稼働率 2024年8月(FRB)
    米企業在庫 2024年7月(商務省)
    米連邦公開市場委員会(FOMC、18日まで)
18日 ●香港(中秋節)
    機械受注 2024年7月(内閣府)
    貿易収支 2024年8月速報(財務省)
    英消費者物価指数 2024年8月(国立統計局)
    ユーロ圏消費者物価指数 2024年8月確報(EUROSTAT)
    米住宅着工・許可件数 2024年8月(商務省)
    対米証券投資 2024年7月(財務省)
    米FOMC声明文公表(FRB)
19日 金融政策決定会合(日本銀行、20日まで)
    ユーロ圏国際収支 2024年7月(ECB)
    英中銀政策金利公表(BOE)
    米経常収支 2024年4-6月期(商務省)
    米新規失業保険申請件数(労働省)
    米製造業景況指数 2024年9月(フィラデルフィア連銀)
    米中古住宅販売統計 2024年8月(全米不動産協会)
20日 消費者物価指数 2024年8月(総務省)
    総裁記者会見(日本銀行)
    独生産者物価指数 2024年8月(連邦統計庁)
    英小売売上高 2024年8月(国立統計局)
    建玉明細報告(CFTC)
MINKABU PRESS 東海林勇行
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