コモディティレポート(金)

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【NY金は大統領選後の材料織り込みと追加利下げ見送りの可能性に注意が必要】
 NY金12月限は10月9日にかけ軟化した後に反発となった。その後は上値を試す
動きとなり、連日、指標限月としての史上最高値を更新した。22日に2763.3ド
ルに到達。終値で2760ドル台を維持し、地合いの強さを示したが、23日はドル高
が警戒され、30ドルに近い下落となった。
 米大統領選を11月5日に控え、大統領選の接戦が続き不透明感が強まっていること
や、中東情勢の緊迫化から安全資産を求める動きが活発化していることが金価格を押し
上げた。その一方では高値警戒感や、ドル高から金市場から資金を引き上げる動きもあ
る。
 米大統領選は11月5日に投票日を迎えるが、異例の接戦となっている。ハリス氏は
法人税の引き上げを公約に掲げると同時に、低所得者や子どもへの支援、持ち家購入者
に対する頭金の支給などを表明。一方のトランプ氏は法人税の引き下げや2017年に
導入した個人所得減税などのトランプ減税の恒久化を掲げると同時に、中国からの輸入
品に対する関税の引き上げや、移民排斥の動きを見せている。

 ハリス氏の政策の場合、法人税が引き上げられることによって景気が下押される可能
性がある一方、住宅購入の補助金支給は住宅需要を高め価格の高騰を招く可能性があ
る。一方のトランプ氏の政策の場合、中国からの輸入品への関税引き上げは物価高を招
きかねず、また移民排斥により労働力の低下および雇用情勢の悪化が促されるリスクが
あると考えられ、どちらが大統領選に勝利しても経済面にマイナスの影響が生じる可能
性が意識される。
 これに加え、イスラエルによるヒズボラ本部空爆とこれを受けたヒズボラの指導者ナ
スララ氏殺害をきっかけに中東情勢が緊迫化していることも金市場における注目要因と
なっている。
 イスラエルに指導者が殺害されたことを受けてヒズボラはイスラエルに対する攻撃の
手を強める一方、イスラエルはイランの軍事施設への攻撃実施の意向を表明し、戦火の
拡大が懸念されている。米国のブリンケン国務長官がイスラエルを訪問しガザ停戦を巡
る協議が行われながらもその行方には不透明感が強い。
 米大統領選の不透明感や中東情勢の緊張の高まりは安全資産を求める動きを刺激して
おり、これはSPDR金ETF残高に現れている。10月22日時点の残高は895.
24トンと昨年8月14日以来の水準まで膨らんだ。

 安全な投資先としての金需要の増加を受け、最高値を連日更新したことでその反動が
今後も続く可能性が出てきていることを23日の大幅下落が示唆している。
 同時に11月に開催される公開市場委員会(FOMC)で追加利下げが実施されない
可能性についても考慮しておく必要がある。追加利下げ見送りの可能性が上値を圧迫す
る要因になってきそうだ。
 NY金市場では米連邦準備理事会(FRB)による追加利下げが期待がこれまでの買
い支援要因となってきた。9月に0.50%の大幅利下げが実施されたが、今後も続く
利下げサイクルの開始を示すものであるとの認識は金市場で強気材料になっている。
 高金利環境が米製造業、住宅販売件数などにマイナスの影響を与える一方、インフレ
率の軟化傾向が確認されていることは今後の追加利下げを期待させる要因となる。注意
すべきは、そのペースや利下げ幅だ。強気な雇用情勢が賃金の上昇を支えるなか、9月
の米消費者物価指数(CPI)でサービス部門の下げ渋りが確認出来たうえ、旺盛な個
人消費を促されていることでインフレ率が下げ渋る可能性も見受けられるからだ。
 CMEのFedwatchによると、11月FOMCで0.25%の利下げを見込む
比率は約90%と圧倒的多数を占めており、追加利下げ観測と安全資産を求める動きが
今後も金の高止まりを支えると予想される。ただ、米大統領選を終えて材料を消化した
後にFOMCで利下げが見送られるようならば、これまでの上昇後の反動が見られる可
能性がある点に注意したい。
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