【NY金は米雇用情勢悪化が警戒され高値圏での高下継続か】 NY金12月限は10月23日に2722.1ドルまで値を落とした後、持ち直し た。その後、2760ドルを抵抗線に小康状態となったが、29日に地合いを引き締め 2787.7ドルと指標限月の最高値に達した。30日も堅調に推移し、2800ドル 台に乗せ2801.7ドルを記録し、史上最高値を連日、更新した。 反騰のきっかけは米労働省が発表した9月雇用動態調査(JOLTS)だ。非農業部 門の求人件数が前月から41万8000件の大幅減少となり744万3000件と21 年1月以来の水準まで落ち込んだことが明らかとなった。 10月4日発表の失業率を基にして割り出すと9月の求職者一人当たりの求人件数は 21年6月以来の低い水準となる約1.1件にとどまっていると推計される。今なお、 求人件数が求職者数を上回っているが、22年前半は2.0件前後で推移した後、22 年終盤以降は低下し続けており1.0件を割り込んで労働力の需給のバランスが逆転す る可能性も高まっている。 その一方で気になるのが自発的な離職率も同時に低下している点だ。自発的な離職率 は現状に比べてより良い転職先が見つかる可能性が高い場合に上昇すると想定されるた め、離職率の低下からは新規の雇用先を見つけられるとの見通しが低下している様子が 窺われる。自発的な離職率の低下は離職を希望するほどの賃金の上昇に対する期待が後 退している可能性を示しており、今後の賃金上昇率の低下に繋がることも見込まれる。 求人件数の大幅な縮小と自発的な離職率の低下は共に米雇用情勢が軟化傾向にあるこ とを示唆していると見られるが、米雇用情勢の悪化は米経済悪化に対する警戒感を強め るものとなる。 9月の米消費者物価指数(CPI)からは賃金が上昇していることでサービス部門が 下げ渋っている様子が窺われたが、求人件数の減少が賃金上昇率の抑制に繋がるようで あれば今後はサービス部門の低下とこれに伴うコアCPI低下の可能性が出てきている と言えるだろう。 米連邦準備理事会(FRB)は金融政策の目標の軸足をインフレ率の抑制から雇用最 大化へとシフトしたと見られるが、この雇用情勢悪化の可能性はFRBの利下げ観測を 強める要因となるが、CMEのFedwatchでも、12月時点のフェデラルファン ド・レートを現時点から0.50%低下の4.25〜4.50%と見込む比率が70. 8%に達するなど、年内2回の利下げを見込む向きが再び強まっている。 NY金は米雇用情勢悪化の可能性に対する警戒感や雇用情勢悪化による追加利下げの 可能性や米景気不安から安全資産を求める動きが強まるなか2800ドル前後を維持す る高値圏での高下が見込まれる。 ただ今週は重要な経済指標の発表が続くため、その内容次第でNY金の足取りに変化 が生じる可能性もある。NY金が更に史上最高値を更新するのか、軟化に転じるのか、 米雇用情勢の状況を把握するためにも今週末の米雇用統計の発表が待たれるところだ。 MINKABU PRESS
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