プラチナ週間展望=上げ一服、金急落も米利下げ見通しが下支え

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [11月4日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2025 年  8 月限  10 月 28 日〜 11 月 1 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金          13,361    13,806 (31)   13,309 (28)     13,555        +210
  銀           168.0     169.0 (30)    160.3 ( 1)      162.0        -5.0
 プラチナ       4,923     5,183 (30)    4,813 ( 1)      4,822        -108
 パラジウム     5,800     5,800 (28)    5,600 ( 1)      5,600           0
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
         1  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       (12) 2,749.2      -5.4   | ドル・円    152.48      0.63 円安
  銀       (12) 3,268.1    -109.8   | 日経平均  38,053.67       +139.75
 プラチナ   ( 1) 1,002.9     -33.8   | NY原油 (12)  69.49         -2.29
 パラジウム (12) 1,108.80    -93.90  |* ドル・円は15時15分現在、原油は  1日
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【前週のレビュー】
 プラチナは金上昇や中国の景気刺激策に対する期待感が支援要因、とした。
 プラチナは金堅調を受けて買い優勢となったが、予想以上の全米雇用報告や金急落を
受けて調整局面を迎えた。現物相場は5月29日以来の高値1054.08ドルを付け
たのち、上げ一服となった。プラチナ先限は7月18日以来の高値5188円を付け
た。一方、パラジウムの現物相場は昨年10月以来の高値1246.71ドルを付け
た。
 米大統領選の世論調査によると、民主党候補ハリス副大統領と共和党候補トランプ前
大統領の支持率は拮抗している。ただトランプ氏が当選すれば、関税引き上げなどでイ
ンフレが再燃するとの見方が強い。米10年債の利回りは4.34%と7月5日以来の
高水準まで上昇した。第3四半期の米国内総生産(GDP)速報値は前期比2.8%増
と事前予想の3.0%増を下回った。コア個人消費支出(PCE)価格指数は2.2%
上昇と第2四半期の2.8%上昇から大幅に伸びが鈍化した。10月の全米雇用報告に
よると、民間部門雇用者数は23万3000人増となった。事前予想の11万4000
人増を上回った。9月の米個人消費支出(PCE)価格指数は前年比2.1%上昇し、
前月の2.3%から鈍化、2021年2月以来の小幅な上昇となった。CMEのフェド
ウォッチで、6〜7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の25ベーシスポイント
(bp)利下げの確率は94.2%(前週95.5%)に変わりはなかった。
 第3四半期のユーロ圏の域内総生産(GDP)速報値は前期比0.4%増加し、事前
予想の0.2%増を上回る伸びとなった。ただパリ五輪特需などが指摘された。また工
業部門は景気後退(リセッション)に陥り、個人消費もほとんど伸びておらず、依然と
して弱さが残ることが示された。10月のユーロ圏の消費者物価指数(HICP)速報
値は前年比2.0%上昇で、9月の1.7%上昇から予想以上に加速した。事前予想は
1.9%上昇。ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁は、ユーロ圏のインフレ率は来年
にECBが目標とする2%に戻る軌道に乗っていると述べた。シュナーベルECB専務
理事は、ユーロ圏のインフレ率はECBが目標とする2%を下回る可能性は低く、段階
的な利下げが適切になるとの見解を示した。
【NYのパラジウムETF残高が増加】
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、29日のロンドンで16.79トン
(前週末16.79トン)、31日のニューヨークで33.16トン(同33.16ト
ン)、30日の南アで11.20トン(同11.20トン)と変わらずとなった。また
パラジウムETFの現物保有高はロンドンで3.94トン(同3.94トン)と変わら
ず、ニューヨークで12.70トン(同12.13トン)に増加、南アで0.24トン
(同0.24トン)と変わらずとなった。ニューヨークのパラジウムETF残高が増加
した。テクニカル面で改善し、投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(C
FTC)の建玉明細報告によると、10月22日時点のニューヨーク・プラチナの大口
投機家の買い越しは3万4876枚(前週2万8387枚)に拡大、パラジウムの売り
越しは5080枚(同6698枚)に縮小した。
【中国の全人代で財政刺激策の規模を確認】
 中国国務院は28日、出産を奨励するための子育て家族支援の施策を発表した。2年
連続で人口が減少したことが背景にある。施策にはより充実した出産保険、産休、育児
補助金や小児科医などの拡充が含まれる。また中国は4〜8日に開催する全国人民代表
大会(全人代)常務委員会で、経済支援に向け今後数年間で国債など10兆元超の追加
発行を承認することを検討している。米大統領選挙でトランプ前大統領が勝利した場
合、財政出動をさらに拡大することが予想されるという。一方、欧州連合(EU)は、
中国製の電気自動車(EV)に対する関税を最大45.3%まで引き上げることを決定
した。中国の対抗措置も確認したい。
当面の予定(イベント・経済統計)
4日 ●振替休日
   ユーロ圏製造業購買担当者景況指数 2024年10月確報(Markit)
   米耐久財受注 2024年9月確報値(商務省)
   米製造業新規受注 2024年9月(商務省)
5日 中国サービス業購買担当者景況指数 2024年10月(財新)
   キャッシュレートターゲット公表(オーストラリア準備銀行)
   米貿易収支 2024年9月(商務省)
   米非製造業景況指数 2024年10月(ISM)
6日 金融政策決定会合議事要旨公表 9月19-20日分(日本銀行)
   独製造業受注 2024年9月(経済技術省)
   ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数 2024年10月確報(Markit)
   ユーロ圏購買担当者総合景況指数 2024年10月確報(Markit)
   ユーロ圏生産者物価指数 2024年9月(EUROSTAT)
   米連邦公開市場委員会(FRB、7日まで)
7日 中国貿易収支 2024年10月(税関総署)
   独鉱工業生産指数 2024年9月(経済技術省)
   ユーロ圏小売売上高 2024年9月(EUROSTAT)
   英中銀(BOE)政策金利公表
   米新規失業保険申請件数(労働省)
   米卸売在庫 2024年9月確報値(商務省)
   米FOMC声明文公表(FRB)
8日 全世帯家計調査・消費支出 2024年9月(総務省)
   米消費者信頼感指数 2024年11月速報値(ミシガン大)
   建玉明細報告(CFTC)
MINKABU PRESS 東海林勇行
※投資や売買については御自身の判断でお願いします。

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