【NY金は強弱材料に挟まれるなか安全資産需要に支えられる】 NY金2月限は前週末の24日の取引で昨年10月31日以来の高水準、2822. 1ドルまで値を切り上げた。その後、週明け27日は軟化に転じて2760.2ドルま で値を落としながらも28日に反発に転じて2800ドル近辺まで値を戻している。 27日は12月の米新築一戸建て住宅販売戸数が年率換算で前月比3.6%増の69 万8000戸となり、市場予想の67万5000戸を上回ったことが旺盛な個人の消費 意欲を連想させ、これがインフレ率を下支えるとの見方が強まったことに加え、米株式 市場の不安定な足取りも弱材料視されてNY金4月限は急落に転じた。 ただ、12月の米耐久財受注の前月比が事前予想の0.6%増に反して前月比2. 2%減となったことがドル売りの動きを強めるなか28日には大幅反発に転じている。 1月20日に発足した米トランプ新政権の政策を巡る思惑で高下する足取りがNY金 市場では続いている。トランプ氏が大統領に就任した1月20日には移民排斥の動きを 強める大統領令を始め、数々の大統領令への署名が行われながらも、大統領選時に掲げ られていた中国からの輸入に対する60%の関税措置に関する言及はなく、これがイン フレ再燃懸念を後退させ、前述の24日の大幅高に繋がった。 ただその一方で中国からの輸入に対する発言が見られるとインフレ再燃が警戒されて 上値が重くなるなど、トランプ政権の政策によって一喜一憂する足取りが続いている。 肝心の米国のインフレ動向は、12月時点では生産者物価指数(PPI)および消費 者物価指数(CPI)が共に前月比または前年同月比を下回る結果が示されており、イ ンフレ低下傾向にあることが確認されている。 インフレが継続的に安定して低下するようであれば、米連邦準備理事会(FRB)に よる追加利下げ観測が強まるものの、トランプ政権が大統領選時の公約に掲げてきた関 税の引き上げを実行に移すようであればインフレ懸念が高まる。 1月29日時点でトランプ政権が関税の負荷を検討しているのはカナダ、メキシコ、 中国からの輸入品に対してであり、その時期は2月1日で検討されていることが伝わっ ている。 ただ、この関税発動もトランプ大統領が提示する条件に合意しないのであれば関税を 賦課する、とするトランプ大統領による取引外交である。実際、コロンビアに対する2 5%の制裁関税については一度、発表されながらも同国が不法移民の強制送還に合意し たことを受けて関税賦課の撤廃を発表している。 そのため、現在言及されているカナダ、メキシコ、中国に対する関税賦課措置に関し ても、米政権が掲げる提案に対するこれら3か国の判断次第では、2月1日からの関税 賦課が見送られる可能性もある。 とはいえ、経済規模の大きい国々に対するこのような取引外交は摩擦を強める可能性 があり、そうなれば米国の対外政策に対する警戒感が強まりリスク回避の動きが広がる 可能性があるが、それと同時に金の安全資産としての需要が刺激されることも見込まれ る。 その一方で米国内の不法移民の強制送還が雇用情勢の引き締まりを促すと予想される ことは、インフレ再燃見通しの根拠の一つとなり、これは金市場にとって弱材料になり 得る。強弱材料に挟まれているのが現在のNY金市場の状況ながら、トランプ政権によ る関税政策の見通し不透明感や安全資産としての需要、インフレ再燃の場合、資産防衛 としての金需要を刺激する可能性が依然として意識されるだけに2800ドル前後の値 位置を維持する底堅い足取りが続きそう。 MINKABU PRESS
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