石油週間見通し=NY原油は70ドル視野、露ウ停戦協議やイラン制裁に注目

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【前週のレビュー】ニューヨーク原油3月限は70ドルの節目維持が焦点。2月10日
からの週は、米エネルギー情報局(EIA)、石油輸出国機構(OPEC)、国際エネ
ルギー機関(IEA)の月報が3本発表されるため、需給緩和が再び意識される可能性
もあるため注意したいとした。

【NY原油4月限は70ドル台割れの可能性も】
 ニューヨーク原油はいったん戻したものの、その後はほぼ「往って来い」の反落とな
っている。3月限は20日に納会するため、4月限が指標限月となるが、ここまでの安
値は13日の70.16ドル。ひとまず70ドル台割れに下値抵抗を強めているが、い
つ70ドル台を割り込んでもおかしくない状況と言える。
 チャート上は、昨年9月10日の安値63.61ドルから今年1月15日の高値
77.86ドルまでの上げ幅の半値押し水準である70.73ドルまでの下落を達成し
ていることで、70ドルの節目を割り込んだ場合は61.8%押しの69.05ドル。
それを割り込むと、78.6%押しの66.66ドルが下値メドとなる。
 なお本稿 執筆時の14日午後時点、4月限は71ドル台前半で推移している。
 材料的には、トランプ政権発足後、金融市場を含めて関税政策に右往左往する展開が
続いているが、原油も御多分に漏れず強弱感が交錯して高下する場面もあった。ただ現
状は、ロシア・ウクライナ戦争の停戦協議の合意、米国のイラン制裁強化観測に焦点が
移ってきた。

 前者はロシア・ウクライナ戦争終結→ロシアに対するエネルギー制裁解除→世界への
ロシア産原油・石油製品の供給増加のシナリオで圧迫要因となるが、戦争終結が必ずし
も即制裁解除にはならないとの見方もあり、現状では不透明感が強い。ただ今後停戦交
渉の進展が原油にとって圧迫材料となるのは確実だろう。
 後者は支援材料となるが、現状停戦合意破棄が懸念されているガザ問題より、原油相
場にとっては重要な問題となろう。トランプ大統領のイラン嫌いは鮮明で、政権が発足
後にさらにイラン制裁が強化されることは事前に予想されていたことだが、イランに対
して「最大限の圧力」をかける大統領令に署名するとともに、イスラエルが年内にイラ
ンの核施設を大規模攻撃する計画を米紙が報じている。トランプ政権発足後、明らかに
中東地域の地政学リスクが増大していることには注意したい。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は引き続き4万4000ドル台後半で
高止まりしており、相変わらず過去最高値を伺う水準にある。
 ドルインデックスは上値が重くなっており、年始から続く高値もみ合いのレンジ下限
を試す展開となり、直近は107ポイントの節目を試す動きとなっている。
【今年と来年の世界石油需要の伸びを据え置き=OPEC月報】
 発表物では、12日の石油輸出国機構(OPEC)の月報では、今年、来年ともに世
界の石油需要の伸びが前月から据え置きとなり、それぞれ日量145万バレル、同
143万バレルとなった。
 また13日の国際エネルギー機関(IEA)の月報では、今年の世界の石油需要の伸
びが同110万バレルと、前月の同105万バレルから小幅に上方修正された。

【東京原油のテクニカル分析】
 東京原油の6番限である7月限は直近の反発も21日移動平均線でもあるボリンジャ
ーバンドの中心線(7万0330円辺り)や7万円の節目に跳ね返される形で、−1シ
グマ(6万8530円辺り)水準まで反落している。

【NY原油、ブレント原油のテクニカル】
 ニューヨーク原油4月限の直近の反発もボリンジャーバンドの中心線(73,42ド
ル辺り)に跳ね返される形で反落。ただ13日は70ドル台割れに下値抵抗を見せる形
で、長い下ひげを付けて、引けでは−1シグマ(71,09ドル辺り)水準まで戻し
た。

 ブレント原油4月限も同様に直近の反発もボリンジャーバンドの中心線(76.88
ドル辺り)に跳ね返される形で反落。ただ13日は安値から戻して、75ドル水準にあ
る−1シグマ(75.00ドル辺り)水準まで戻して引けた。

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