【米関税政策や外交政策受け高下するもNY金の底意は依然として強い】 NY金4月限は今月11日にかけて2968.5ドルに達して一代高値を更新。一代 高値更新の原動力となったのは、米関税政策を受けた米国と諸外交の貿易摩擦の激化に 対する警戒感だった。米トランプ政権が9日に米国に輸入される全ての鉄鋼とアルミに 対する25%の関税賦課を発表し、米国貿易相手国が米国からの輸入に対して課してい る関税と同水準まで輸入関税を引き上げる相互関税の近日中の発表が示唆された。 既に米トランプ政権はメキシコ、カナダ、コロンビアからの輸入に対する輸入関税引 き上げを発表しながらも、その後の交渉でこれを取り下げる動きを見せると同時に中国 からの輸入に対する関税引き上げを発動し、これに対し中国側も対米報復関税を発動さ せるなど、関税引き上げの報復合戦の動きが見られたうえ、欧州連合(EU)からも米 国の関税政策に反対する声が挙がっていることを受け、米国と他国間での貿易摩擦の激 化に対する警戒感が安全資産を求める動きを活発化させ、これが金価格を押し上げる背 景となった。 関税の引き上げは米国にとってはインフレ率加速化を促す要因となる一方、米国に輸 出している国々にとっては輸出歳入が減少する可能性が高まることを意味する。特に米 国への輸出依存度が高い国は米トランプ政権による関税引き上げの影響を受けやすく、 それだけにこのような国々の経済を不安視する向きが強い。 その一方で、地政学不安の大幅な後退は安全資産としての金を求める動きを後退させ るとの見方から、米露ウクライナの停戦協議に対する期待が高まった14日には大きく 値を崩し、4月限は2889.9ドルまで下落。終値で2900ドル台を維持しながら も前日からは44.7ドルの下げ幅を記録する暴落となった。 18日時点で停戦に向けた話し合いは行われているが、当事者のウクライナのゼレン スキー大統領の同席はなく、ロシアと米国で話し合われており、停戦交渉が難航する可 能性が高い状況となっている。 14日の大幅安で地政学不安の後退に伴う下落が一巡したと見られる一方で、米関税 政策や地政学不安の根強さがNY金の下値を支えている様子が確認された格好だ。 関税の引き上げは、1月のインフレ率の鈍化傾向からインフレ加速化に向けた動きを 誘発しかねない。インフレの加速化は米追加利下げ観測を後退させるものの、インフレ ヘッジとしての金の役割を意識させる。また、1月の米小売売上高の伸び率は前年同月 比−0.9%とおよそ1年ぶりの落ち込みを見せるなど、物価の上昇が続くなか消費者 の買い控えの動きが広まるなかでのインフレ率の上昇は、米経済に悪影響を及ぼす可能 性がある点も懸念される。 14日の急落後、すぐに値を切り返したのは金に対する安全資産としての需要の根強 さを示す動きと見られる。一代の高値を更新した後だけに上昇に対する警戒感も強く、 4月限は19日の取引でも12.9ドル安を記録している。ただ、終値で2930ドル 台を維持しており底意の強さも示唆している。 引き続き逃避買い需要に下値を支えられ、NY金4月限は2900ドルを下値支持線 にしての高もみ継続となりそうだ。 MINKABU PRESS
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