株価指数先物 【週間展望】―3万7500円処で底堅さがみられるかを確認

配信元:株探
著者:Kabutan
 今週の日経225先物は、米景気減速懸念が根強いなか、米国市場を睨んでの相場展開となりそうだ。2月28日の米国市場は主要な株価指数が上昇した。1月の米個人消費支出(PCE)統計では、総合指数が前年比2.5%上昇、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は2.6%上昇といずれも前月から減少したが、概ね市場予想に一致。ただ、個人消費支出は前月比では0.2%減と予想外のマイナスとなったことを受けて、NYダウは下げに転じる場面もみられた。その後、米長期金利が低下したことで主力株に買いが入ったほか、前日までの大幅な調整で売りに傾いていたポジションを買い戻す動きにより切り返した。

 NYダウは先週の下げで割り込んだ75日移動平均線水準を回復し、ナスダックは200日線が支持線として機能する形で反発した。この流れを引き継ぎ、週明けの東京市場は買い先行で始まりそうだ。ただし、前週末28日の日経225先物は1190円安と3%を超す下落を演じ、一時3万6840円まで下げてボリンジャーバンドの-3σ(3万7180円)を下回る場面もみられた。-3σを割り込んだことで売られ過ぎが意識されやすく、当然の自律反発といったところである。

 ナイトセッションで-3σは3万6990円、-2σは3万7620円まで下がってきた。-2σに上値を抑えられるようだと、下向きで推移するバンドに沿った調整が続く可能性もあろう。前週の下落によって昨年10月以降のレンジ下限を割り込んだこともあり、これまでのレンジ下限水準であった3万7500円辺りを明確に上回ってこないと、同水準が抵抗線として強く意識されてくる可能性がある。戻り待ち狙いのショートを吸収しつつ、3万7500円水準で底堅さをみせてくるかを見極めたいところだ。

 3万7500円処で底堅さがみられれば、自然体で-2σを上回ってくる。-2σと-1σ(3万8250円)によるレンジに移行することで、ショートカバーが入りやすくなるだろう。週足ではナイトセッションで-2σ(3万7230円)を上回ってきており、-1σ(3万8120円)とのレンジになりそうだ。そのため、まずはオプション権利行使価格の3万7500円を中心とした上下の権利行使価格である3万7125円から3万8125円のレンジを想定する。

 ただし、3万7500円処で上値の重さが強く意識されてくると、バンドに沿った調整が警戒されやすい。昨年10月以降のレンジ下限が抵抗線に変わることで、トレンドとしては昨年9月9日安値の3万4970円が射程に入ってくるだろう。今週の米国では3月3日にISM製造業景気指数、5日にISM非製造業景気指数、ADP雇用統計、6日に卸売売上高、7日に雇用統計の発表を控えており、積極的なロングの動きは期待しづらい。

 また、28日のトランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領による会談は激しい応酬となった。トランプ大統領はウクライナ側に退出を命じ、予定されていた共同記者会見やレアアース資源の権益を巡る合意文書の署名が見送られた。停戦交渉への影響は避けられず、地政学リスクが重荷になりそうだ。ドイツやフランスなど欧州各国はウクライナを支援する姿勢を鮮明にしており、ウクライナや関税を巡って欧米関係がこじれれば、リスク回避姿勢が強まろう。

 来週末には3月限の先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)が控えている。限月交代に伴うロールオーバーの動きは来週に入ってからになるが、先週の大幅な下げによってレンジが切り下がっていることもあり、ポジションを圧縮する動きが続く可能性がある。現物市場でも、週末に米雇用統計の発表を控えて積極的にポジションを積み上げる動きは期待しづらい。商いは膨らみづらく、先物主導によるインデックス売買に振られやすい需給状況である。

 28日の米VIX指数は19.63(27日は21.13)に低下した。一時22.40まで切り上がり、1月27日の高値(22.51)に接近する場面もみられた。2月21日に15.63で始まり、一時19.03まで急伸した後は、18.00~21.00辺りでの推移が続いている。1月の戻り高値水準では上値を抑えられていることもあり、過度なリスク回避姿勢には向かっていないようである。ただし、20.00を上回る状態が恒常化してくる局面では慎重姿勢が強まろう。

 なお、先週末のNT倍率は先物中心限月で13.86倍に低下した。連休明け25日は14.12倍で始まり、その後はNTショートの動きが強まった。昨年9月5日の直近安値である13.93倍を割り込んでおり、方向性としては昨年8月6日につけた13.65倍が射程に入っている。28日の米国市場でエヌビディアが自律反発したこともあり、週初はNTショートの巻き戻しが入りやすい。ただし、トランプ政権による対中半導体規制の強化が警戒されるなか、方向性としてはTOPIX型優位になりそうだ。

 2月第3週(2月10日-14日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では2週ぶりの売り越しであり、売り越し額は6248億円(2月第2週は1884億円の買い越し)だった。なお、現物は1632億円の売り越し(同964億円の買い越し)と2週ぶりの売り越しであり、先物は4616億円の売り越し(同920億円の買い越し)と2週ぶりの売り越し。個人は現物と先物の合算で930億円の買い越しと2週ぶりの買い越し。信託銀行は現物と先物の合算で1164億円の買い越しとなり、2週ぶりの買い越し。

 主要スケジュールでは、3日に中国2月財新製造業PMI、米国2月ISM製造業景気指数、4日に1月完全失業率、10-12月期法人企業景気予測調査、トランプ政権による中国輸入品への追加関税引き上げ、5日に中国全人代開幕、中国2月財新サービス業PMI、米国2月ADP雇用統計、米国2月ISM非製造業景気指数、6日にECB(欧州中央銀行)政策金利、ラガルドECB総裁記者会見、米国1月貿易収支、米国1月卸売売上高、7日に中国2月貿易収支、米国2月雇用統計などが予定されている。

――プレイバック・マーケット――

●SQ値
03月限 日経225 39863.92  TOPIX  2716.15
04月限 日経225 39820.59  TOPIX  2766.89
05月限 日経225 38509.47  TOPIX  2728.75
06月限 日経225 38535.35  TOPIX  2714.56
07月限 日経225 41531.26  TOPIX  2893.54
08月限 日経225 35661.68  TOPIX  2510.68
09月限 日経225 36906.92  TOPIX  2585.41
10月限 日経225 39701.93  TOPIX  2721.72
11月限 日経225 39901.35  TOPIX  2765.26
12月限 日経225 39434.85  TOPIX  2738.68
01月限 日経225 39343.19  TOPIX  2726.70
02月限 日経225 39432.64  TOPIX  2775.06

◆日経225先物(日足)
         始値   高値   安値   清算値  前日比
25/03 02月28日  38250  38400  36840  37110  -1190
25/03 02月27日  38210  38470  37920  38300  +80
25/03 02月26日  38050  38320  37670  38220  -20
25/03 02月25日  38810  38870  37870  38240  -550

◇TOPIX先物(日足)
         始値   高値   安値   清算値  前日比
25/03 02月28日  2736.5  2745.0  2669.0  2676.0  -62.5
25/03 02月27日  2719.5  2741.0  2704.0  2738.5  +18.0
25/03 02月26日  2715.5  2729.5  2691.0  2720.5  -5.0
25/03 02月25日  2737.0  2741.0  2679.5  2725.5  -9.5

●シカゴ日経平均 円建て
          清算値  前日大阪比
02月28日(03月限) 37590  +480
02月27日(03月限) 37585  -715
02月26日(03月限) 38055  -165
02月25日(03月限) 37955  -285
02月24日(03月限) 38020  -770
 ※前日比は大阪取引所終値比

□裁定取引に係る現物ポジション裁定残(金額)
        売り   前週末比   買い    前週末比
02月21日    1669億円  +53億円 1兆9184億円  -1573億円
02月14日    1616億円  -93億円 2兆0757億円  +841億円
02月7日    1709億円  +60億円 1兆9916億円  -1714億円
01月31日    1649億円  +111億円 2兆1630億円  +1062億円
01月24日    1538億円  +35億円 2兆0567億円  +2743億円
01月17日    1502億円  -127億円 1兆7824億円  -5615億円

□裁定取引に係る現物ポジション(株数)
        売り      前日比  買い       前日比
02月26日    6476万株   +351万株  7億7818万株   -277万株
02月25日    6124万株   +953万株  7億8096万株   -312万株
02月21日    5171万株   +271万株  7億8408万株   -1943万株
02月20日    4900万株    -58万株  8億0352万株   -6616万株
02月19日    4959万株    +16万株  8億6968万株   -223万株
02月18日    4942万株    -2万株  8億7191万株   +697万株
02月17日    4944万株    -29万株  8億6494万株   +2264万株
02月14日    4974万株   -161万株  8億4229万株   -1181万株
02月13日    5135万株    -5万株  8億5411万株   +1132万株
02月12日    5141万株   -166万株  8億4278万株   +154万株
02月10日    5307万株    +64万株  8億4123万株   +1231万株
02月07日    5243万株   -520万株  8億2891万株   -2744万株
02月06日    5763万株    -12万株  8億5636万株   +2221万株
02月05日    5775万株   +182万株  8億3415万株   -546万株
02月04日    5592万株   +122万株  8億3961万株   -3214万株
02月03日    5470万株   +452万株  8億7175万株   -1404万株

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