【前週のレビュー】ニューヨーク原油4月限は一時的に70ドル台割れも早期に回復し ている。チャート上は、昨年9月10日の安値63.61ドルから今年1月15日の高 値77.86ドルまでの上げ幅の61.8%押しの69.05ドルを達成後に戻した形 だが、これで底入れとなるか否かが目先のチャート上の焦点となるとした。 【NY原油4月限はさらに底割れして、70ドルが今後上値抵抗となるか】 ニューヨーク原油4月限は結局、大きく崩れる展開となっている。さらに底割れして 前述した上げ幅78.6%押しの66.66ドルも割り込んでおり、65ドルの節目、 そして全値押しとなる一代安値の63.61ドルが次の下値目標となる。2月中旬まで 続いた70ドル台前半のもみ合いから完全にレンジダウンした形となっており、逆に今 後は70ドルの節目が上値抵抗となる可能性が高くなってきた。 期近つなぎ足ベースではほぼ2年振りの安値水準となっている。 材料的には、石油輸出国機構(OPEC)プラスの4月からの自主減産の段階的縮小 (つまり増産)と、中国、カナダ、メキシコからの輸入に対する高関税賦課による貿易 摩擦激化と需要減退懸念が供給面と需要面から圧迫要因となった。とくに後者は、米国 内の石油製品、とくにガソリン価格に転換されることになるため、トランプ政権の米国 産原油の増産計画がうまく行かないと、ガソリン価格の高騰→需要減退懸念が一気に拡 大することになる。 ただ6日には、4日に発動したメキシコとカナダに対する25%の関税について、 「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」対象の製品に関しては4月2日まで関 税を免除するとしており、トランプ大統領の「関税攻撃」には相変わらず不確定要素も 多いため、今後も見守る必要がある。 OPECプラスは3日、現在実施している日量220万バレルの自主減産をこれまで の予定通り4月から段階的に縮小することを発表した。具体的には、4月から生産を段 階的に同13.8万バレルずつ増加し、2026年までに同220万バレルの供給を増 加させる見込みだ。 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価はさらに下落する展開。ついに4万 2000ドル台まで軟化してきた。 ドルインデックスは再び崩れる展開となっており、直近は104ポイント台を割り込 んだ。 【カナダからの輸入原油に高関税実施なら米国の石油製品価格への転嫁は必至】 カナダとメキシコからの輸入へ高関税発動した場合の米国の原油輸入に対する影響を 俯瞰すると、メキシコ産原油に25%、カナダ産原油に10%の関税を発動し、逆にベ ネズエラからは輸入停止(シェブロンのベネズエラでの事業許可取消)となるが、昨年 のこの3国からの原油輸入は日量476万バレルと全輸入量の8割を占めている。その うち410万バレルがカナダ産となるが、今後はよりカナダ産にシフトする可能性が高 く、高関税による石油製品価格への転換は必至の状況と言える。当然カナダ以外でこの 規模の原油輸入を代替できるような産油国は見当たらない。 【東京原油のテクニカル分析】 東京原油の6番限である8月限は下降中のボリンジャーバンドのー2シグマ(6万 2100円辺り)に沿った下落トレンドが続いている。7日には6万1000円台前半 まで崩れて、6万円の節目も視野に入って来た。 【NY原油、ブレント原油のテクニカル】 ニューヨーク原油4月限も下降中のボリンジャーバンドのー2シグマ(66.63ド ル辺り)に沿った下落トレンド。直近は65ドルの節目を維持できるか否かが焦点とな ろう。 ブレント原油5月限も同様の下落トレンドで、ボリンジャーバンドのー2シグマ (69.69ドル辺り)を下回る状況が続き、ついに70ドル台も割り込んだ。 MINKABU PRESS *投資や売買については御自身の判断でお願いします。
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