プラチナ週間展望=もみ合い、ドル安と貿易戦争に対する懸念で

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [3月10日からの1週間の展望]
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
   週間高低(カッコ内は日)   2026 年  2 月限  3 月 3 日〜 3 月 7 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金          13,924    14,166 ( 6)   13,820 ( 3)     13,906         +1
  銀           152.0     155.0 ( 7)    152.0 ( 3)      155.0        +3.0
 プラチナ       4,496     4,586 ( 6)    4,459 ( 3)      4,533           +50
 パラジウム     4,600     4,600 ( 3)    4,500 ( 4)      4,500          -100
======================================
  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
         6  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       ( 4) 2,926.6     +78.1   | ドル・円    147.50      2.49 円高
  銀       ( 5) 3,333.8    +184.2   | 日経平均  36,887.17       -268.33
 プラチナ   ( 4)   979.7     +41.8   | NY原油 ( 4)  66.36         -3.40
 パラジウム ( 6)   951.70    +39.80  |* ドル・円は15時45分現在、原油は  6日
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【前週のレビュー】
 プラチナは米大統領の関税発言やドル高が圧迫要因、とした。
 プラチナはドル安や金堅調を受けて買い優勢となった。現物相場は2月26日以来の
高値975.49ドルを付けた。プラチナ先限は2月25日以来の高値4586円を付
けた。一方、パラジウムの現物相場は2月24日以来の高値961.32ドルを付け
た。
 米国は4日、カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税、中国に対して10%の
追加関税を発動した。カナダもこれに対し報復関税を発動した。中国政府は米国の関税
への報復措置として、米国産の農産物や食品などに対して10〜15%の追加関税を課
すと発表した。ただ5日になり、トランプ大統領は米大手自動車メーカートップらとの
電話会議で、北米製の一部の自動車について関税導入を30日間延期することで同意し
た。米大統領は6日、メキシコとカナダに対する25%の関税について、米・メキシ
コ・カナダ協定(USMCA)対象の製品に関しては4月2日まで関税を免除すると表
明した。ただ鉄鋼とアルミニウムの関税引き上げ計画には変更はないとした。4月2日
には「相互関税」が発表される見通しであり、貿易戦争に対する懸念が残る。
 2月の全米雇用報告によると、民間部門雇用者数は7万7000人増加した。伸びは
前月の18万6000人増から大幅に鈍化し、7カ月ぶりの低水準となった。2月の米
ISM製造業購買担当者景気指数は50.3だった。前月の50.9から低下し、市場
予想の50.6も下回った。また米ISM非製造業総合指数は53.5と前月の
52.8から上昇した。価格指数が上昇し、最近みられる工場での原材料価格の急騰と
相まって、今後数カ月でインフレが加速する可能性を示唆した。一方、欧州中央銀行
(ECB)理事会では、主要政策金利の預金金利を0.25%引き下げ2.50%とし
た。インフレ鈍化と成長減速を踏まえた決定となる。ラガルドECB総裁は理事会後の
会見で、金利の方向性は下向きとする従来の指針を繰り返し表明することは避け、利下
げと据え置きの双方の可能性があると強調した。
【プラチナETF残高は銘柄ごとにまちまち】
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、5日のロンドンで19.96トン(前
週末19.85トン)に増加、6日のニューヨークで33.65トン(同33.80ト
ン)に減少、5日の南アで10.71トン(同10.68トン)に増加した。またパラ
ジウムETFの現物保有高はロンドンで4.12トン(同4.08トン)に増加、ニュ
ーヨークで11.04トン(同11.04トン)、南アで0.24トン(同0.24ト
ン)と変わらずとなった。プラチナETF残高は銘柄ごとにまちまちとなるなか、合計
で0.01トン減少した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告に
よると、2月25日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万
6176枚(前週2万3537枚)に縮小、パラジウムの売り越しは8134枚(同
5631枚)に拡大した。
【プラチナは3年連続の供給不足見通し】
 ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)の四半期報告によ
ると、プラチナは3年連続の供給不足見通しとなった。2024年は31トン、
2025年は26トンの供給不足見通しとなった。2024年のプラチナは、総需要が
2019年以来初めて258トンを上回り、31トンの大幅不足(前回予想比46%
増)を記録した。旺盛な投資需要と宝飾品需要の伸びにより、総需要は前年比5%増の
258トンとなる一方、総供給量は同3%増の227トンとなった。2025年は3年
連続の不足が予想され、これも前回予想から拡大し、26トンの不足が予想された。ト
レヴァー・レイモンドCEOは、2024年下期に世界第3位の小売業者であるコスト
コが北米でプラチナの地金およびコインを販売したほか、中国では法定通貨コインの正
規販売店である中国金貨グループがプラチナパンダとプラチナルナの両シリーズに加え
て1キログラムのプラチナ地金を発売したことで、投資需要が高まったことを指摘し
た。
当面の予定(イベント・経済統計)
10日 国際収支(経常収支) 2025年1月(財務省)
    独貿易収支 2025年1月(連邦統計庁)
    独鉱工業生産指数 2025年1月(経済技術省)
11日 国内総生産 2024年10-12月期2次速報(内閣府)
12日 企業物価指数 2025年2月(日本銀行)
    米消費者物価指数 2025年2月(労働省)
    米財政収支 2025年2月(財務省)
    政策金利発表(カナダ銀行)
13日 ユーロ圏鉱工業生産 2025年1月(EUROSTAT)
    米新規失業保険申請件数(労働省)
    米生産者物価指数 2025年2月(労働省)
14日 独消費者物価指数 2025年2月確報(連邦統計庁)
    英貿易収支 2025年1月(国立統計局)
    英鉱工業生産指数 2025年1月(国立統計局)
    米消費者信頼感指数 2025年3月速報値(ミシガン大)
    建玉明細報告(CFTC)
MINKABU PRESS 東海林勇行
※投資や売買については御自身の判断でお願いします。

このニュースの著者

MINKABU PRESS

みんなの株式をはじめ、株探、みんかぶFX、みんなの仮想通貨など金融系メディアの 記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコン テンツなど幅広く提供しています。