株価指数先物 【週間展望】―ロール中心ながらボラティリティの高い状況で波乱も

配信元:株探
著者:Kabutan
 今週の日経225先物は反発して始まりそうだが、トランプ米大統領の関税を巡る発言が警戒されるほか、週末に先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)を控えて、ボラティリティの高い不安定な相場展開が見込まれる。

 7日の米国市場では主要な株価指数が反発した。注目された2月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が15万1000人増と市場予想を下回った。失業率は4.1%と予想をわずかに上回った。トランプ政権が連邦政府職員の削減を進めていることで、職種別では連邦政府などの就業者が1万人減少しており、今後も減少幅が拡大するとみられている。雇用統計の結果を受けて米経済の減速懸念が高まり、NYダウの下げ幅は一時400ドルを超えた。

 ただし、機関投資家がベンチマークとするS&P500指数がおよそ4カ月ぶりに5700を一時割り込み、下値メドとされる200日移動平均線を下回ったことで、売られ過ぎとの見方から買い戻しが入った。また、前日にはマーベル・テクノロジーが20%下落したことでエヌビディアなど他の半導体株に売りが広がったが、この日はブロードコムが決算評価により9%近く上昇したことで半導体株の買い戻しにつながった。

 また、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長はシカゴ大主催のイベントで講演し、米経済は良好な状態が続いているとの認識を示した。米経済は不確実性が高まっているが、政策調整を急ぐ必要はないと述べている。

 日経225先物のナイトセッションは米国市場に連動する形で、一時3万6470円まで売られる場面もみられたが、終盤にかけてロングが強まり、日中比490円高の3万7260円で終えた。週明けはこの流れを引き継ぐ形により買いが先行することになりそうだ。

 しかし、日経225先物は2月下旬以降、下向きで推移するボリンジャーバンドの-2σを挟んだ-1σと-3σによるレンジで調整を継続している。ナイトセッションでは-3σに接近した後の切り返しにより、-2σを上回って終えた。-2σが3万6900円、-1σは3万7670円、-3σが3万6120円辺りに位置しているため、-2σを上回って推移することができるかが注目される。

 まずはオプション権利行使価格の3万7000円を固めたいところであり、上下の権利行使価格である3万6250円から3万7750円処のレンジが意識される。3万7000円処で底堅さがみられるようだと、-1σ突破を試す展開もありそうだ。メジャーSQ週であるため、限月交代に伴うロールオーバーが中心で仕掛け的なトレードは限られるとみられるが、ボラティリティの高い状況での下げが続いていたことで、-1σを捉えてくるとヘッジ対応のロングが強まりそうだ。一方で、-2σを割り込むと、-3σに接近する形でショートが加速しそうである。

 トランプ大統領は自身のSNSを活用した発言が多く、投資家は常に緊張感を保った状態であり、その投稿によって市場では売買が集中し、過剰に反応しやすい。トランプ関税を巡る状況は二転三転しており、予測できない状況が大きな懸念につながる。また、今週は12日に2月の米国消費者物価指数(CPI)、13日には米国生産者物価指数(PPI)の発表を控えており、結果を受けた米長期金利や為替市場への影響を見極めることになりそうだ。

 なお、週足ベースの日経225先物も-2σ(3万6610円)を上回っているが、-1σ(3万7690円)を捉えることができないと、-3σ(3万5530円)とのレンジが継続することになる。明確な底入れを見極めにくいなかで、-2σを割り込んでくると、昨年9月前半以来の3万6000円割れが警戒されてくるだろう。

 7日の米VIX指数は23.37(6日は24.87)に低下した。週間(2月28日:19.63)では上昇となった。一時26.56まで切り上がり、昨年12月18日の高値(28.32)が射程に入っている。7日の米国市場が売り一巡後に急速に切り返したことで、VIX指数は低下する形だったが、下値を切り上げる形状で上昇しており、慎重姿勢は崩せないと考えられる。

 先週末のNT倍率は先物中心限月で13.59倍(6日は13.70倍)に低下した。昨年8月6日につけた13.65倍を下回っていることで、次のターゲットは2023年9月下旬につけた13.55倍が射程に入る。7日の半導体SOX指数が3%超上昇したことで、週初は指数インパクトの大きい値がさハイテク株の反発により、NTショートを巻き戻す動きが入りそうだ。ただし、下へのトレンドが強まるなか、戻りの場面ではNTショートによるスプレッド狙いのスタンスに向かわせやすいだろう。

 2月第4週(2月25日-28日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では2週連続の売り越しであり、売り越し額は1兆1672億円(2月第3週は6248億円の売り越し)だった。なお、現物は6071億円の売り越し(同1632億円の売り越し)と2週連続の売り越しであり、先物は5601億円の売り越し(同4616億円の売り越し)と2週連続の売り越し。個人は現物と先物の合算で7039億円の買い越しと2週連続の買い越し。信託銀行は現物と先物の合算で2762億円の買い越しとなり、2週連続の買い越し。

 主要スケジュールでは、10日に1月景気動向指数、2月景気ウォッチャー調査、11日に1月全世帯家計調査、10-12月期GDP改定値、12日に1-3月期法人企業景気予測調査、米国2月消費者物価指数、13日に米国2月生産者物価指数、14日にメジャーSQ、米国3月ミシガン大学消費者信頼感指数などが予定されている。

――プレイバック・マーケット――

●SQ値
03月限 日経225 39863.92  TOPIX  2716.15
04月限 日経225 39820.59  TOPIX  2766.89
05月限 日経225 38509.47  TOPIX  2728.75
06月限 日経225 38535.35  TOPIX  2714.56
07月限 日経225 41531.26  TOPIX  2893.54
08月限 日経225 35661.68  TOPIX  2510.68
09月限 日経225 36906.92  TOPIX  2585.41
10月限 日経225 39701.93  TOPIX  2721.72
11月限 日経225 39901.35  TOPIX  2765.26
12月限 日経225 39434.85  TOPIX  2738.68
01月限 日経225 39343.19  TOPIX  2726.70
02月限 日経225 39432.64  TOPIX  2775.06

◆日経225先物(日足)
         始値   高値   安値   清算値  前日比
25/03 03月07日  37610  37640  36770  36770  -980
25/03 03月06日  37410  37880  37100  37750  +330
25/03 03月05日  37310  37620  36260  37420  +60
25/03 03月04日  37820  38260  36810  37360  -500
25/03 03月03日  37230  37890  37040  37860  +750

◇TOPIX先物(日足)
         始値   高値   安値   清算値  前日比
25/03 03月07日  2747.0  2748.5  2688.5  2705.5  -49.5
25/03 03月06日  2720.0  2758.0  2705.5  2755.0  +33.5
25/03 03月05日  2709.0  2729.5  2647.5  2721.5  +10.5
25/03 03月04日  2731.0  2762.5  2684.5  2711.0  -24.0
25/03 03月03日  2682.0  2735.5  2678.0  2735.0  +59.0

●シカゴ日経平均 円建て
          清算値  前日大阪比
03月07日(03月限) 37270  +500
03月06日(03月限) 36895  -855
03月05日(03月限) 37695  +275
03月04日(03月限) 36955  -405
03月03日(03月限) 37310  -550
 ※前日比は大阪取引所終値比

□裁定取引に係る現物ポジション裁定残(金額)
        売り   前週末比   買い    前週末比
02月28日    2680億円 +1010億円 1兆9120億円  -64億円
02月21日    1669億円  +53億円 1兆9184億円  -1573億円
02月14日    1616億円  -93億円 2兆0757億円  +841億円
02月7日    1709億円  +60億円 1兆9916億円  -1714億円
01月31日    1649億円  +111億円 2兆1630億円  +1062億円
01月24日    1538億円  +35億円 2兆0567億円  +2743億円

□裁定取引に係る現物ポジション(株数)
        売り      前日比  買い       前日比
03月05日    8697万株   +163万株  7億8274万株   -1150万株
03月04日    8534万株   +229万株  7億9424万株   -2533万株
03月03日    8305万株    +80万株  8億1957万株   +1980万株
02月28日    8225万株   -306万株  7億9977万株   -412万株
02月27日    8531万株   +2055万株  8億0390万株   +2571万株
02月26日    6476万株   +351万株  7億7818万株   -277万株
02月25日    6124万株   +953万株  7億8096万株   -312万株
02月21日    5171万株   +271万株  7億8408万株   -1943万株
02月20日    4900万株    -58万株  8億0352万株   -6616万株
02月19日    4959万株    +16万株  8億6968万株   -223万株
02月18日    4942万株    -2万株  8億7191万株   +697万株
02月17日    4944万株    -29万株  8億6494万株   +2264万株
02月14日    4974万株   -161万株  8億4229万株   -1181万株
02月13日    5135万株    -5万株  8億5411万株   +1132万株
02月12日    5141万株   -166万株  8億4278万株   +154万株
02月10日    5307万株    +64万株  8億4123万株   +1231万株

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