【米CPI低下もくすぶるインフレ懸念や見通し不透明感が金を下支え】 NY金4月限は2月24日に2974ドルに達し一代高値を更新した後に値位置を落 とし、同月28日に2844.1ドルまで反落となった。その後、安値を離れ、3月に 入ってからは概ね2900〜2940ドルの往来となったが、12日に2948ドル台 まで上伸した。 2月のNY金は、トランプ政権の関税政策や移民政策に対する不安感や米経済指標の 弱気な内容、インフレ観測を受けて安全資産を求める動きが刺激され、期近4月限が一 代高値を更新した。25日以降は、ファンド筋を含む大口投機家の買い玉の整理が膨ら んだことが背景を修正安場面となった。 しかし、2月の米消費者信頼感指数、1月の米新築住宅販売件数が落ち込み1月の米 個人消費支出(PCE)デフレーターなどが弱気な結果となったことに加え、2月の雇 用統計も非農業部門雇用者数は事前予想を下回ったうえ前月分も下方修正された。さら には失業率は前月の4.0%から4.1%に上昇したうえ、平均の時間当たり賃金の前 月比も1月に記録した+0.4%を下回る+0.3%を記録するなど、弱めの内容とな っている。 米国の消費者物価指数が低下傾向を維持するかは、トランプ政権による追加関税が 次々と発動され、不透明感が強い。トランプ政権下では中国からの輸入に対し20%の 追加関税を賦課しているほか、鉄鋼・アルミニウムに対しても25%の追加関税を発動 した。 これにより米国内での輸入品の価格の値上がりは避けられない状況となっており、こ れが将来的に米インフレを押し上げる可能性がある。 1月の米小売売上高は2024年1月以来、1年ぶりの落ち込み幅となる−0.9% を記録した。輸入物価の上昇が加われば減退傾向を見せる米小売売上高に影響を与える 可能性が警戒される。特に、2月賃金上昇率は低下しているため、この傾向が継続する ようであればこれまでのように価格の上昇を賃金の上昇が吸収する結果インフレが加速 化するという流れに変化が生じると同時に、米経済成長の約70%を占めている個人消 費が押し下げられ、米経済全体に影響が出てくる可能性がある。 トランプ関税が与える懸念は米経済にとどまらない。12日に米トランプ政権による 鉄鋼・アルミニウムへの関税賦課に対抗しEU及びカナダが報復関税を発動しており、 米国と諸外国との間での貿易戦争激化の様相を強めている。貿易戦争が激化すれば関税 の引き上げ合戦となり、米国内外での経済成長へのネガティブな影響が見られると予想 される。 さらに、関税の引き上げ合戦によって物価が上昇するようであれば、金にはインフレ ヘッジとしての需要が見られる可能性がある。トランプ政権による関税政策が貿易戦争 を激化させるとの懸念、そして貿易戦争が経済に与える影響への警戒感は安全資産とし ての金需要を引き続き支えると予想される。 なお、NY金市場では引き続き取組が減少しており、2900ドルを超える水準では 玉整理の動きが膨らんでいる様子が示されている。 とはいえ、金を巡る環境は依然として強気が目立つ状況にある。そのため、玉整理一 巡感が強まると更に上を目指す可能性を含んだうえでは2900ドル台前半での高下が 続くと予想される。 MINKABU PRESS
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