金・銀週間展望=堅調、米国売りも関税交渉の行方を確認

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [4月21日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2026 年  2 月限  4 月 14 日〜 4 月 18 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金          14,840    15,451 (17)   14,782 (15)     15,350        +420
  銀           146.0     155.0 (17)    146.0 (14)      153.0        +8.0
 プラチナ       4,277     4,410 (18)    4,227 (14)      4,410        +155
 パラジウム     4,400     4,400 (14)    4,400 (14)      4,400           0
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
        17  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       ( 6) 3,328.4      +83.8   | ドル・円    142.34      1.72 円高
  銀       ( 5) 3,247.0     +56.0   | 日経平均  34,730.28       +1144.70
 プラチナ   ( 7)   977.0      +32.4   | NY原油 ( 6)  64.01         +3.11
 パラジウム ( 6)  960.80     +54.10  |* ドル・円は15時45分現在、原油は 17日
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【前回のレビュー】
 金は米国の相互関税一部停止や米中貿易戦争激化が支援要因、とした。
 金は米中の貿易戦争激化や米国のトリプル安、米半導体大手エヌビディアに対する規
制を受けて上値を試した。現物相場は史上最高値3355.21ドルを付けた。金先限
は上場来高値1万5451円を付けた。
 中国は11日、米国からの輸入品への関税を84%から125%に引き上げると発表
した。米国が数値の駆け引きを続けても中国は反応しないとしたが、別の種類の報復措
置を講じる余地は残し、最後まで米国と戦う姿勢を改めて示した。ホワイトハウスはス
マホなどの電子機器について、相互関税の免除を発表したが、トランプ米大統領は、米
国に輸入される半導体への新たな関税率を発表すると明らかにした。半導体および医薬
品の輸入品への関税賦課計画を前進させるため、商務省主導の調査を開始した。また米
半導体大手エヌビディアは人工知能(AI)向け半導体「H20」について、中国向け
輸出にライセンスが必要になると米政府から通知を受けた。H20は米国の輸出規制に
準拠するために同社が設計した中国向けのAIチップだが、中国企業ディープシークの
AIモデルがオープンAIの最新モデルと同等の高い性能を持つと評価され、先行き懸
念が出ていた。輸出停止により、エヌビディアは約55億ドルの費用を計上する。イン
フレと景気後退でスタグフレーションに陥るとの見方から米国の株安・ドル安、債券安
でトリプル安となり、金が安全資産として買われた。
 米国が相互関税の90日間停止を発表するなか、各国は米国との関税交渉を開始し
た。トランプ米大統領は、米国の関税措置を巡る初の日米交渉に関連し、日本の代表団
との間で「大きな進展」があったと自身のSNSに投稿した。赤沢亮正経済再生担当相
は米国から日本との協議が最優先との説明があったとし、今月中に次回協議が行われる
よう日程調整することを明らかにした。為替は議題に上らなかったという。最初のテス
トケースとして世界が注目している。米大統領はワシントンを訪問したメローニ伊首相
と会談した。両首脳は共に、米国と欧州は何らかのディール(取引)を交渉できると自
信を示した。一方、中国商務省は米国に対し、貿易交渉を行うのであれば、中国に極端
な圧力をかけることを止め、相互尊重を重視すべきだと主張した。米大統領は、米国が
中国に対する大規模関税を発表して以降、中国側から協議の申し出があったと明らかに
した。記者団に対し、米国は中国と関税について協議を行っているとし、中国とのディ
ール(取引)は実現すると思うと語った。関税交渉が順調に進むと、金は利食い売り主
導で調整局面を迎える可能性が出てくる。
【金ETF残高は小幅減少】
 世界12カ国に上場している金ETF(上場投信)の現物保有高は17日時点で
1143.59トンとなり、前週末比0.74トン減少した。16日に1148.47
トンまで増加したのち、利食い売りが出た。米国で0.86トン、英ETFSで
0.86トン減少、オーストラリアで0.35トン、南アで0.03トン増加した。一
方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月8日時点のニュ
ーヨーク金の大口投機家の買い越しは20万0715枚となり、前週の23万8434
枚から縮小した。今回は手じまい売りが5万8103枚、買い戻しが2万0384枚入
り、3万7719枚買い越し幅を縮小した。
 米政府は16日、イランの石油取引に関する制裁対象に「ティーポット」と呼ばれる
中国の独立系石油精製業者1社を、新たに追加したと発表した。米財務省は今回の制裁
対象について、10億ドル強相当のイラン産原油を購入していたことを理由に挙げた。
米政権は、イランとの間で核開発を巡る協議再開に動いている。またイランに対して最
大限の圧力を行使するため、石油輸出をゼロにする取り組みも進めている。トランプ米
大統領は、核協議決裂ならイランの核施設攻撃も選択肢と述べており、協議の行方を確
認したい。
【銀はドル安や金堅調が支援】
 銀の現物相場はドル安や金堅調を受けて買い優勢となり、3日以来の高値33.08
ドルを付けた。金堅調につれ高となったが、米中の貿易戦争激化で景気の先行き懸念が
出ていることが上値を抑える要因になった。ただ米国と各国の関税交渉が開始されてお
り、今後の行方を確認したい。
 17日のニューヨークの銀ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比147.13
トン増の1万4120.10トンとなった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)
の建玉明細報告によると、4月8日時点のニューヨーク銀の大口投機家の買い越しは
4万6516枚となり、前週の5万7258枚から縮小した。手じまい売りが買い戻し
を上回った。
当面の予定(イベント・経済統計)
21日 ●豪州、欧州(イースター・マンデー)、南ア(家族の日)
    米景気先行指数 2025年3月(カンファレンスボード)
22日 加鉱工業製品価格指数 2025年3月(カナダ統計局)
23日 ユーロ圏製造業購買担当者景況指数 2025年4月速報(Markit)
    ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数 2025年4月速報(Markit)
    米新築住宅販売 2025年3月(商務省)
    米地区連銀経済報告・ベージュブック(FRB)
24日 独景況感指数 2025年4月(ifo)
    米耐久財受注 2025年3月速報値(商務省)
    米新規失業保険申請件数(労働省)
    米中古住宅販売統計 2025年3月(全米不動産協会)
25日 ●豪州(アンザック記念日)
    英小売売上高 2025年3月(国立統計局)
    米消費者信頼感指数 2025年4月確報値(ミシガン大)
    建玉明細報告(CFTC)
MINKABU PRESS 東海林勇行
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