21日からの週は、米国売りの様相は落ち着いている。米国債は神経質に上下動も、売り圧力は後退。10年債利回りは4.43%付近から4.24%付近に一時低下した。株式市場も各主要指数が堅調に推移した。為替市場ではドル高や円安の動きが優勢だった。ドル円は一時139円台に突入も、週末にかけては144円付近に反発する動きをみせた。トランプ関税の世界的な影響が懸念され、IMF世界経済成長見通しは下方修正された。G20財務相・中央銀行会合や日米財務相会談は波乱なく通過した。市場が警戒していた米国からの円安是正要求は見られなかった。トランプ大統領がパウエルFRB議長に再三利下げを要求、解任の動きもみられた。中央銀行の独立性を損なう言動として市場に忌避された。後で大統領自身が解任について取り下げている。市場はひと安心も、トランプ大統領の不規則発言を印象付けた面はあったようだ。米中貿易戦争について、米国は中国にボールがあると譲歩を迫った。一方、中国は交渉は行っていないと態度を硬化させた。ただ一部報道で、米国が対中関税の引き下げを検討、中国側からも貿易戦争による経済的損失を理由に、米国からの一部の輸入品を対米関税の対象外とすることを検討などと報じられた。現時点では中国は否定しているものの、今後の貿易戦争緩和への期待感が広がった。 (21日) 東京市場では、ドル円が上値重く推移。昼にかけて軟化し、、昨年9月以来7カ月ぶりの安値となる140.62付近まで水準を切り下げた。午後はいったん140.90台まで戻したが、その後は再び安値水準に並ぶ動きで、戻りは限定的。 週末にトランプ米大統領がパウエル米FRB議長の解任を検討していると報じられたことを受けてドルが売られた。また、24日に予定されている日米財務相会談で円安是正を求められるとの見方や、米中貿易摩擦への警戒感などが広がっていることもドル円相場の重石となった。ユーロドルは朝から堅調に推移し、午後に2021年11月以来およそ3年半ぶりの高値となる1.1534付近まで上昇した。ポンドドルは昨年9月以来7ヶ月ぶりの高値となる1.3397付近、豪ドルドルは昨年12月以来4ヶ月ぶりの高値となる0.6430付近を付けるなど、ドル全面安となった。ユーロ円はもみ合い。ドル主導で動きが不安定となり、162円ちょうど前後で方向性の定まらない展開が続いた。 ロンドン・欧州市場はイースターマンデーのため休場。 NY市場で、ドル円は一時140.50円付近まで急落した。本日も市場はトランプ大統領絡みでリスク回避の雰囲気が強まり、米株式市場でダウ平均が一時1300ドル超急落する中、ドル円も下げを加速させた。140円を試しそうな気配が濃厚となって来ている中、下値ではショートカバーも散見されていたものの、141円付近にレジスタンスが形成されたようで上値を抑えていた。市場はトランプ大統領の関税政策のほか、パウエルFRB議長の解任を巡る発言に神経を尖らせている。ハセット米NEC委員長は市場が休場だった18日に、パウエル議長の解任を検討していると発言し、議長に対する米政権の不満が浮き彫りに。それに輪をかけるように、トランプ大統領が本日、パウエル議長に再度利下げを要請。ユーロドルは一時1.1550ドル付近まで上昇。2021年11月以来の高水準を記録した。今回のドル安の受け皿にユーロも入っているようで、ユーロドルは活発に買い戻されている格好。ポンドドルは1.34台まで一時上昇。本日で10日続伸となっており、昨年9月以来の高値水準に上昇した。 (22日) 東京市場では、ドル円が一時139円台に突入。朝方に141.17近辺まで買われたあとは、再び売りが強まった。140円手前でいったん踏みとどまったものの、上値は重く短期投資筋の売りなどが強まると139.89近辺まで安値を広げた。朝に日銀関係者筋情報として日銀が利上げ姿勢を継続と報じられたことなども海外勢を中心に円買いの材料としており、安値トライのきっかけになったようだ。ユーロドルはドル安一服もあって朝の1.1510台から1.1482近辺まで下落もその後のドル売り再開に1.1547近辺まで上昇。その後はドル円の安値からの反発もあって1.1510ドル台に小反落した。ユーロ円は午前中は162円台前半で推移も、その後のドル円の下げの勢いもあって161.35近辺まで下落した。 ロンドン市場では、円買いが優勢。ドル円はロンドン朝方に139.89近辺まで安値を広げた。その後は買戻しが入り140.60付近まで反発も、再び140円台前半と上値重く推移している。クロス円は終日上値を抑えられており、ロンドン時間に入ってからも軟化。ユーロ円は161円ちょうど手前水準、ポンド円は187.50割れ水準へと安値を広げている。欧州株は独仏株が小幅安、英株は堅調。米株先物・時間外取引は反発。原油安や金の上昇は一服。米債利回りの上昇も落ち着いており、全般に米国売りといったリスク警戒の動きは一服している。ユーロドルは1.15台を再び割り込んでおり、ポンドドルも1.33台後半へ再び軟化。ドル安の動きは一服している。そのなかでの円高の動きの背景には、今週の日米財務相会談での円安是正の動きへの警戒感があるようだ。 NY市場では、前日のドル安が一服している。ドル円は141.60近辺まで買い戻された。本日はドル自体が買い戻されている。米株式市場が大幅反発となったこともドル円をサポートした。ベッセント財務長官の発言に敏感に反応する場面も見られた。長官は「関税を巡る中国との対立は長くは続かず、緩和していく見通しだ」と述べていた。しかし、トランプ関税による貿易摩擦と景気後退懸念、米中のエスカレート、そして米国離れといったワードは消えておらず、情勢に何も変化はない。ドルが買い戻されても上値は限定的との指摘は依然多い。今週、ワシントンでG20およびG7の財務相・中央銀行総裁会議が開催され、そこではドル安が主要な議題になると見られている。ユーロドルは1.15付近から1.14付近へと軟化。本日はラガルドECB総裁のインタビューが伝わり、インフレを2%へと戻す目的はほぼ達成したが、経済情勢は一段と不安定なため引き続き柔軟な姿勢でいる必要があるとの考えを示していた。ポンドドルも1.33台後半から前半へと戻り売りに押された。 (23日) 東京市場で、ドル円は神経質に上下動。朝方には買いが強まった。 前日の139円台までのドル安進行の材料ともなったトランプ大統領によるパウエル米FRB議長に対する解任要求について、トランプ氏が「解任するつもりはない」と発言したことで、一転して一気にドル高となり、143.22近辺まで急伸した。イーロンマスク氏が政府効率化省の活動を大幅に減らし、テスラにより時間を割く姿勢を示したことも、ドル高・円安に寄与した。しかし、直近安値から3円超の大幅な値動きには行き過ぎ感も出てその後は一転して下落。141円台まで反落している。トランプ氏の発言に対する信用の問題もあり、解任に向けた動きに対する警戒感が根強いほか、今日からのG20およびG7財務相・中央銀行総裁会議への警戒感も広がっていた。ユーロドルは1.14台から1.1308近辺まで急落したあとは、一時1.14台を回復した。ユーロ円は162.46近辺を高値に161円台前半へと下落。 ロンドン市場では、ドル売りが優勢。東京朝方のトランプ発言を受けたドル買いの動きは一時的にとどまり、ロンドン時間にかけてはドル売り圧力が優勢に。米債が買い戻されて、利回りは低下。欧州株や米株先物・時間外取引は堅調に推移しており、いわゆる米国売りは一服している。ただ、不規則に変化するトランプ発言を警戒するムードは残っているようだ。また、ドル円相場に関してはあすの日米財務相会談を控えて、米国側からの円安是正要求が警戒される面もあるようだ。ドル円は東京朝方の143円台乗せから141円台半ばまで一時反落した。ユーロドルは1.14台前半へ、ポンドドルは1.33台前半へと買い戻されており、東京朝方のドル買いを帳消しにしている。一連の欧州PMI速報値は製造業が予想を上回る一方で、非製造業が落ち込む傾向がみられた。また、英PMI速報値では製造業と非製造業がいずれも弱含んだ。トランプ通商政策への警戒感が垣間見られる結果だった。クロス円はロンドン朝方までは円高優勢も、ロンドン時間に入ってからは円売りが入っている。ユーロ円は161円台前半から162円付近へ、ポンド円は188円台前半から189付近に下げ渋っている。 NY市場は、ドル買いが優勢。ドル円は143円台半ばまで上昇した。東京時間に一旦143円台を付けた後に、141円台まで下落していたものの、NY時間に入ってドル買いが強まり、ドル円を押し上げている。トランプ政権が中国に対する強硬姿勢を緩和するとの観測が流れた。対中関税について、国家安全保障上の脅威とみなされない品目には35%の関税を課す一方、脅威とみなされる品目には100%以上の関税を課す段階的なアプローチを検討していると報じられている。当局者によると、結果として中国の関税率は全体で50-65%程度になるという。ただ、トランプ大統領が一方的に関税を引き下げることは検討しておらず、中国との協議と連動して行う可能性があるとも伝えた。ベッセント財務長官の発言もドル円をサポート。日本との通商交渉で具体的な通貨目標を追求するつもりはないと述べた。トランプ政権は円高を求めるのではとの観測も出ていただけに、長官の発言は円安を誘発したようだ。ユーロ円やポンド円も上昇。ユーロドルは1.14台から1.13台に値を落とした。ただ、上値追いの流れには変化はみられていないようだ。 本日はラガルドECB総裁の発言が伝わり、「関税は恐らくインフレ的というよりもディスインフレ的」との認識を示していた。貿易転換を意識した発言との指摘も聞かれた。ポンドドルは再び1.32台に下落。トランプ関税の影響を市場は警戒しているが、英インフレリスクは米関税の影響で抑制されるとの見方があった。 (24日) 東京市場で、ドル円は調整売りの動き。昼にかけて前日のドル高の反動で142.60付近まで軟化した。午後には下げも一服して142円台後半での小動きとなった。日米財務相会談を控え、結果を見極めたいとの見方から模様眺めムードが広がった。ユーロ円は午後にかけて円高傾向となり、一時161.85付近まで下落した。ユーロドルはドル売り優勢。午前に一時1.1358付近まで上昇したあといったん伸び悩んだが、下押しは限定的となった。 ロンドン市場では、ドル売りが優勢。G20中央銀行・財務相会合が開催されるなかで、あす未明には日米財務相会談が行なわれる見込みとなっている。ベッセント米財務長官からは、日本に通貨目標求めずとの発言があり、市場が安堵する面があった。しかし、トランプ米大統領はあくまでも米国の赤字解消を主眼としている。中国や日本の通貨安を問題視する発言を再三再四してきた経緯がある。市場は警戒感を解ききれない面があるようだ。ドル円は東京朝方の143円台前半からロンドン市場では142円台前半まで下落。下げ幅は1円を超えている。ロンドン時間にはドル安の面が強く、ユーロドルは1.14手前水準へ、ポンドドルは1.33台乗せへと上昇。クロス円も下げ渋りの動きとみせているが、ユーロ円は162円台前半、ポンド円は189円台半ばなど前日NY終値よりは円高水準で推移している。独連銀月報では独GDPが第2四半期に後退する可能性があると指摘。4月独Ifo景況感指数は予想外の改善を示した。独財政政策への期待が米関税への不透明感を上回ったようだ。ただ、米関税を控えた駆け込み需要の面も指摘される。期待指数は予想を上回ったものの前回からは低下していた。 NY市場では、ドル売りが一服。ドル円はロンドン市場で142円台前半まで軟化したが、NY時間に入ると再び142円台後半へと下げ渋った。市場のドル安期待は根強いものの、下値ではショートカバーが入っている。本日発表の財務省の統計によると、ドル離れにより円に資金が流入していた。ユーロドルはここ数日の下げが一服し、1.14付近まで買い戻された。今週に入ってユーロドルは伸び悩む動きも見せていたものの、下押しする動きまではなく、上昇トレンドは堅持されている。トランプ関税に端を発した米国離れとドル離れの資金がユーロに流れているようだ。ポンドドルは1.33台を回復。市場でのドルへの信任が低下する中で、ポンドドルは上値追いの流れに変化はない。ベイリー英中銀総裁のインタビューが伝わっていたが、英政府による報復関税はインフレを押し上げる可能性があると指摘しつつも、他国からの輸入が米国からの輸入障壁回避のために再配分された場合、逆にインフレを低下させる可能性があると述べた。 (25日) 東京市場では、円売りが広がった。朝方に加藤財務相が日米財務相会談で為替水準や目標に関する話はなかったと発言したことや、5・10日(ゴトー日)絡みの国内輸入企業からとみられる買いなどに支え、142円台後半から143円台に乗せた。昼過ぎには、中国が貿易戦争による経済的損失を理由に、米国からの一部の輸入品を対米関税の対象外とすることを検討していると一部で報じられた。これを受けて一時143.85付近まで一段高となった。クロス円は軒並み円安方向に振れ、ユーロ円は163円ちょうど付近まで、ポンド円は191円ちょうど付近まで高値を伸ばした。ユーロドルは終日ドル買い圧力を受けて、午後には1.1316近辺に安値を広げた。 ロンドン市場では、売買が交錯している。東京市場でドル買いが強まったあとで、水準的には引き続きドル高圏で推移している。ただ、ドル円やユーロドルなど主要通貨は神経質に売買が交錯している。日米財務相会談で円高要求を突き付けられることなく無難に通過したことや、米中貿易戦争が緩和されるとの期待などが東京市場でのドル買戻しにつながっていた。ロンドン時間に入ると中国外務省が米国と交渉していないと否定し、ドル買いは一服。その後、トランプ氏がタイム誌インタビューで、習氏が電話してきたかとの問いに「イエス」と回答、習氏が電話しないなら、自分は電話しないなどとの発言が報じられた。ドル円は143円台後半から前半で神経質に振幅している。ユーロドルは1.13台前半まで下落したあとは、1.13台後半まで一時反発。ポンドドルは1.32台後半に下落したあと、1.33台乗せへと下げ渋り。株式市場では、欧州株がプラス圏推移を続けているが、米株先物・時間外取引は下げに転じている。クロス円はロンドン朝方に高値をつけたあとは売買が交錯している。ユーロ円は163円台乗せのあと162円台後半に、ポンド円は191円台前半まで買われたあとは190円台半ばまで一時反落した。 NY市場でドル円は一時144円台を回復、東京昼過ぎの高値を超えてドル高円安が進んだ。その後週末を前にポジション整理の動きが見られ、143円40銭台までの押し目となったが、少し戻して143円台後半で週の取引を終えた。トランプ大統領が日本との合意に近づいていると発言するなど、日本を中心に米国と各国との関税に関する協議の進展が期待される状況となっており、リスク警戒の動きがやや後退。ユーロ円やポンド円などクロス円全般に買いが出る展開。ユーロ円は朝から約1円の上昇を見せている。ユーロドルは対円での買いなどを支えにい維持か割れたが、1.14手前がやや重く、1.13台での推移。ポンドは朝方対円に加え、対ユーロでも買いが出たが、ユーロポンドでのポンド買いには調整が入り、対円でも191円70銭台を付けた後、少し落として週の取引を終えている。
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