プラチナ週間展望=上げ一服、ドル高や金軟調が上値を抑える

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [5月5日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2026 年  4 月限  4 月 28 日〜 5 月 2 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金          15,358    15,443 (28)   14,992 ( 2)     15,288         -75
  銀           157.0     157.0 (28)    151.0 ( 1)      154.0        -3.0
 プラチナ       4,321     4,445 (30)    4,311 (28)      4,410         +80
 パラジウム     4,300     4,400 ( 2)    4,300 (28)      4,400        +100
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
         2  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       ( 6) 3,243.3     -55.1   | ドル・円    145.19      1.67 円安
  銀       ( 7) 3,225.9    -106.9   | 日経平均  36,830.69     +1124.95
 プラチナ   ( 7)   966.1      -6.8   | NY原油 ( 6)  58.29        -4.73
 パラジウム ( 6)   951.10    +14.40  |* ドル・円は15時45分現在、原油は  2日
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【前週のレビュー】
 プラチナは米中貿易戦争の緩和期待が支援要因、とした。
 プラチナは米中貿易戦争の緩和期待が支援要因となったが、ドル高や金軟調を受けて
上げ一服となった。現物相場は4月1日以来の高値993.81ドルを付けたのち、上
げ一服となった。プラチナ先限は4月4日以来の高値4445円を付けたのち、上げ一
服となった。一方、パラジウムの現物相場は961.21ドルで上げ一服となった。
 中国政府は米国に対する125%の報復関税を巡り、米国からの一部輸入品を対象か
ら除外することを検討していると伝えられた。ただ中国外務省報道官は会見で、米政府
が対中関税交渉について「国民に誤解を与えている」と主張、「米中は関税問題につい
て協議や交渉を行っていない」と述べた。トランプ米大統領は、米政権が今週、中国と
関税協定を結ぶために協議しており、中国の習近平国家主席から電話があったと述べ
た。中国側はこれを繰り返し否定している。中国国営中央テレビ(CCTV)傘下のメ
ディア「玉淵譚天」は1日、米政権が145%の対中追加関税を巡る協議を求めて中国
側に接触していると報じた。一方、ラトニック米商務長官は、25%の自動車・部品に
対する追加関税の影響を軽減する措置を発表した。米国内で車両を生産する全ての自動
車メーカーが対象で、自動車部品のサプライチェーンを米国に回帰するために猶予を与
えることが目的。ベッセント米財務長官は、日本を含む主要貿易相手国との交渉が「非
常に好調」に進んでおり、最初の貿易合意はインドとの間で締結される可能性が高いと
の見通しを示した。
 4月の米消費者信頼感指数は86.0と、前月から7.9ポイント低下して2020
年5月以来の低水準となった。事前予想の87.5も下回った。関税に対する懸念が経
済見通しの重しとなっている。第1四半期の米国内総生産(GDP)速報値は年率換算
で前期比0.3%減となった。米経済がマイナス成長に陥るのは2022年第1四半期
以来3年ぶり。トランプ米大統領が打ち出す関税措置を前に、企業による大量の駆け込
み輸入があったことが響いた。4月の全米雇用報告によると、民間雇用者数は6万
2000人増となり、予想以上に鈍化した。事前予想は11万5000人増だった。3
月の米個人消費支出(PCE)価格指数は、前年比2.3%上昇した。伸びは前月の
2.7%から鈍化したものの、事前予想の2.2%を上回った。4月の米ISM製造業
購買担当者景気指数は一段と低下し、48.7と5カ月ぶりの低水準となった。低下は
2カ月連続。ただ事前予想の48.0を上回った。
【ロンドンのプラチナETF残高が増加】
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、30日のロンドンで19.27トン
(前週末19.23トン)に増加、1日のニューヨークで32.49トン(同
32.49トン)、29日の南アで10.73トン(同10.73トン)と変わらずと
なった。またパラジウムETFの現物保有高はロンドンで4.22トン(同4.22ト
ン)、ニューヨークで11.03トン(同11.03トン)、南アで0.24トン(同
0.24トン)と変わらずとなった。米中貿易戦争の緩和期待を受けてロンドンのプラ
チナETF残高が増加した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告
によると、4月22日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは
5677枚(前週6034枚)に縮小、パラジウムの売り越しは1万0843枚(同
1万0008枚)に拡大した。
【予想以上のユーロ圏GDPも先行き懸念が強い】
 欧州自動車工業協会(ACEA)によると、3月の欧州連合(EU27)の新車(乗
用車)登録台数は前年同月比0.2%減の102万9519台となった。1〜3月は前
年同期比1.9%減の271万5008台となった。第1四半期の欧州連合の新車(商
用車)登録台数はバンが前年同期比12.2%減の35万2490台、トラックが同
16.0%減の7万2941台、バスは同1.8%減の8674台となった。第1四半
期のユーロ圏の域内総生産(GDP)速報値は前期比0.4%増加で事前予想の0.2
%増を上回った。昨年第4四半期の0.2%増から加速した。ただトランプ米政権の関
税政策、それによる金融市場の不安定化で第2四半期に入ってから情勢は大幅に悪化し
ている。欧州中央銀行(ECB)のチポローネ専務理事は、世界的な貿易戦争はユーロ
圏の経済成長率とインフレ率を抑制し、関係国に「明白な景気下押し圧力」をもたらす
恐れがあるとの見解を示した。
当面の予定(イベント・経済統計)
5日 ●子供の日、中国(労働節)、香港(仏誕節)、英国(アーリー・メイ・バン
   ク・ホリデー)
   米非製造業景況指数 2025年4月(ISM)
6日 ●国民の祝日
   中国サービス業購買担当者景況指数 2025年4月(財新)
   ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数 2025年4月確報(Markit)
   ユーロ圏生産者物価指数 2025年3月(EUROSTAT)
   米貿易収支 2025年3月(商務省)
   米連邦公開市場委員会(FRB、7日まで)
7日 独製造業受注 2025年3月(経済技術省)
   ユーロ圏小売売上高 2025年3月(EUROSTAT)
   米FOMC声明文公表(FRB)
8日 ●フランス(第二次世界大戦戦勝記念日)
   金融政策決定会合議事要旨公表 3月18-19日分(日本銀行)
   独貿易収支 2025年3月(連邦統計庁)
   独鉱工業生産指数 2025年3月(経済技術省)
   英中銀政策金利公表(BOE)
   米新規失業保険申請件数(労働省)
   米卸売在庫 2025年3月確報値(商務省)
9日 全世帯家計調査・消費支出 2025年3月(総務省)
   中国貿易収支 2025年4月(税関総署)
   建玉明細報告(CFTC)
MINKABU PRESS 東海林勇行
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