【来週の注目材料】ECB理事会は、今後の姿勢に注目

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
【来週の注目材料】ECB理事会は、今後の姿勢に注目

 24日の欧州中央銀行(ECB)理事会では、主要3政策金利の据え置き(リバースレポ金利2.15%、預金ファシリティ金利2.00%、限界貸出金利2.40%)が見込まれています。昨年6月に利下げを開始したECBは、昨年7月の据え置きを経て、昨年9月から先月まで7会合連続、合計で8回の利下げを実施してきました。3つの政策金利のうち市場金利に近い預金ファシリティ金利は、ピークの4.00%から2.00%まで引き下げられています。

 ユーロ圏経済に対する悲観的な見通しがこれまでの利下げにつながってきました。もっとも2023年には前期比でマイナス成長になるなど落ち込みが目立っていたユーロ圏経済はこのところ比較的堅調。米国の関税政策を受けた不確実性などはありますが、いったん利下げを休止するだけの状況になってきたとみられています。物価についても5月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)が前年比1.9%まで低下、6月速報値は2.0%となっており、ECBのインフレターゲット近辺での推移となっています。

 こうした状況を受けて前回の理事会後のラガルドECB総裁による会見では、ECBは良好な状況にあると確信しているとの発言がありました。新型コロナウイルス、ウクライナ戦争、エネルギー危機などのこれまでの複合的なショックに対応した金融政策サイクルは終わりに近づいているとの認識を示しています。声明では現状のような不確実性が高い状況では、経済・金融データ、基調的なインフレ動向や見通しの評価などに基づいて金利を決定するという姿勢を強調しました。事前のコミットをせずにデータ次第で判断するとしています。

 これらの状況から、市場は今回の理事会では利下げをいったん休止し、据え置きに回るという見方が大勢となっています。匿名の関係者筋情報として、7月の据え置きはメンバーにより大筋で合意しているとの報道もありました。
 
 据え置きが濃厚となり、相場を動かす材料とはなりにくい中、市場が注目しているのは今後に向けた姿勢です。短期金利市場は今回の据え置きの後、9月に利下げを実施するとの見方がほぼ半数となっています。9月が据え置きとなった場合でも、年内どこかのタイミングで利下げを行うという見方はほぼ100%となっています。もっとも欧州金融機関の一部は6月の利下げが当面最後のものになる可能性が高いという見方を示すところも出てきました。短期金利市場は変化をやや大きめに見積もる傾向がありますので、年内利下げを完全に織り込んだとは言い切れないところです。声明や会見で今後の利下げについて慎重な姿勢を示すと、現状で利下げと据え置きで見方が2分されている9月会合での利下げ期待が後退。年内据え置きの期待も強まる形で、ユーロ買いにつながる可能性があります。

MINKABUPRESS 山岡

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