11日からの週は、ドル買いと日本の介入警戒がせめぎ合う不安定な展開となった。ドル円は156円台半ばから158円目前まで上昇したものの、米・イラン交渉の停滞や原油高、米金利上昇といった外部要因で押し上げられる一方、158円に厚く意識される防衛ラインが上値を抑え、急落と反発を繰り返した。英政局不安や欧州景気の弱さを背景にユーロ・ポンドは対ドルで軟調となり、クロス円も乱高下が続いた。背景には原油急騰による日本の貿易赤字懸念、日銀の慎重姿勢とタカ派発言の交錯、英地方選の与党大敗による政治リスクなど複数の不確実性が重なっている。結果として、ドル円は有事のドル買いと介入警戒の綱引きで方向感を欠き、欧州通貨は戻りの弱さが際立つ構図となった。週後半にはようやくドル円が158円台に乗せた。一連の米インフレ指標が上昇加速し、ドル高を下支えした。しかし、介入リスクも強く、急落リスクを常に抱えた相場環境が続いている。政治的には米中首脳会談が一大イベントだったが、無難に通過した。ただ、週末には中国が米国産原油輸入を拡大と表明したことが、トランプ米大統領のホルムズ海峡早期開放に向けた関心を後退させたとの見方で、原油高がドルを一段と押し上げている。 (11日) 東京市場では、円安がやや優勢。イランと米国の戦闘終結に向けた合意への期待が後退し、トランプ大統領の強硬姿勢による紛争長期化懸念から有事のドル買いと原油買いが進行した。原油価格の急騰による日本の貿易赤字拡大への警戒感も加わり、ドル円は早朝の156円台半ばから一時157.18円までドル高円安が進んだ。ユーロは欧州中央銀行(ECB)の追加利上げ期待を背景に買われる場面もあったが、有事のドル買いに押されて上値が重い展開となった。また、ポンドは英地方選挙での与党大敗への警戒感から対ドルで下落した一方、クロス円ではユーロ円が184円台後半へ、ポンド円が213円台半ばへと、朝方の円高推移から一転して円売りが優勢となるなど、中東情勢を睨みながらのリスク回避と円安が交錯する相場展開となった。 ロンドン市場では、ドル円が落ち着いた動き。東京市場での上昇を受けた後、日本の通貨当局による為替介入への強い警戒感から157円台での買いが手控えられた。一方で中東情勢の緊迫化に伴う下値でのドル買い需要も根強く、156.90円台から157.10円台の狭い範囲でもみ合う方向感に欠ける展開に終始した。ユーロドルは欧州中央銀行(ECB)による早期利上げ観測が下支えとなり、1.17ドル台後半での底堅い推移が続いた。これに牽引される形でユーロ円も堅調な地合いを保ち、一時185.02円まで上値を伸ばした。ポンドは英中銀委員の利上げに対する慎重姿勢が重石となり一時売られる場面があったものの、全般的な底堅さは維持され、ポンド円も下押し後に買い戻されて一時213.80円台後半まで力強く上昇した。 NY市場では、ドル円の買戻しが優勢。出口の見えないイラン情勢の長期化懸念が再び台頭し、東京時間早朝に下落したドル円が157円台へと上昇した。ただし上値での介入警戒感と下値での買い圧力が拮抗し、156円から157円台でのレンジ取引にとどまっている。市場ではベッセント米財務長官の来日と日本の政財界要人との会談内容に注目が集まっており、日銀が4月の利上げを見送ったことで介入への警戒が一段と高まった。ユーロドルは欧州中央銀行(ECB)の6月利上げ期待が下支えとなり1.17ドル台半ばで底堅く推移したが、上値は重い状況である。ポンドは1.36ドル台へ買い戻されたものの、英地方選挙での与党大敗に伴うスターマー首相の責任問題など政治的不透明感が重石となり、今後の上値の重さが懸念されている。 (12日) 東京市場では、ドル円が振幅。米国のベッセント財務長官と片山財務相の会談を無難に通過した安堵感からじりじりとドル高が進み、午後には157.75円まで上昇した。しかしその後、防衛ラインと目される158円を目前にして突如156.78円まで約1円幅の急落を見せ、為替介入やレートチェック、あるいは大口の売り仕掛けに対する警戒感が一気に高まった。もっとも下落は一時的で、すぐに157円台前半へ反発して底堅さを示している。クロス円もドル円に連動して乱高下し、ユーロ円は185.46円から184.74円へ、ポンド円も214.20円近辺から212.80円台へと急落後に買い戻された。一方、ユーロドルやポンドドルは中東紛争の長期化懸念に伴うリスク回避のドル買いに押され、軟調な推移となった。 ロンドン市場では、ドル買いの動き。米国とイランの合意に対する暗雲が漂い原油先物価格が急騰したことや、米長期金利の反発を背景に、有事のドル買いが市場を席巻した。東京市場の終盤に介入警戒感から急落したドル円は、早くも157.60円台まで買い戻されるなど強い上昇圧力を示している。一方、欧州通貨は対ドルで全面安となり、ユーロドルは1.17ドル台前半へ下落した。特にポンドは、英地方選での与党大敗を受けたスターマー首相への退陣圧力が強まるとの懸念から「英国売り」の様相を呈し、ポンドドルは1.35ドル近辺まで急落し、英債利回りも歴史的な高水準へと跳ね上がった。クロス円は東京時間の円買いの影響を引きずりつつも、ユーロ円が185円付近、ポンド円が213円台半ばで上値を抑えられる神経質な展開となった。 NY市場では、ドル高が進行。この日発表された4月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回ったことで米連邦準備制度理事会(FRB)による年内の金利据え置き観測が補強され、米長期金利の上昇とともに全般的なドル高が進行した。これにより、東京時間に急落したドル円は完全に下げを取り戻す底堅さを見せた。日本の通貨当局による介入警戒感は根強いものの、積極的な円高誘導よりも160円への上昇を防ぐ防衛的な姿勢と受け止められている。ユーロドルは欧州中央銀行(ECB)の6月利上げ期待が支えとなる一方で戻り売りに押され、1.17ドル台半ばを中心とする値動きとなった。ポンドはスターマー英首相の進退を巡る政治リスクプレミアムが意識され始め、ポンドドルは1.35ドル台前半へと一段の下落を余儀なくされた。 (13日) 東京市場は、全般に落ち着いた値動きの中で方向感を探る展開となった。ドル円は朝方の157.60円前後からじりじりと上昇し、午前中には前日の高値を僅かに上回る157.78円まで上値を伸ばした。しかし、市場参加者の間で日本の通貨当局による防衛ラインが158円ちょうどに設定されているとの見方が強く、その手前では介入への警戒感から買い手控える動きが広がり、その後は157.50円台へと押し戻されるなど上値の重さが目立った。ユーロドルは1.17ドル台前半での狭いレンジ取引に終始し、ユーロ円も午前中に185.16円まで上昇したものの、午後には利益確定売りに押されて184.90円前後まで反落した。ポンド関連も午後にかけて一時的に買われた直後に失速するなど、各通貨ともに膠着感が強い一日であった。 ロンドン市場では、米国とイランの合意交渉が暗礁に乗り上げたことによる原油価格の再上昇を背景に、有事のドル買いが優勢となった。ドル円は介入警戒水域である157円台後半から158円を窺う水準まで上昇したが、158円ちょうどに控える大口のオプション設定が防波堤となり、足踏み状態が続いた。一方、欧州通貨は対ドルで下落基調を強めた。ユーロドルはこの日発表されたフランスのインフレ率が米国の水準を大きく下回ったことで両国の金利差が意識され、一時1.16ドル台へと急落した。また、ポンドドルもスターマー英首相の対抗馬であるストリーティング保健相が党首選の準備を進めているとの報道を嫌気し、一時1.35ドル割れを記録するなど、英政局不安がクロス円も含めたポンド全体の下押し圧力となった。 NY市場は、この日発表された4月の米生産者物価指数(PPI)が予想を大きく上回る強い結果となったことで、利上げ観測の再燃を伴うドル高が相場を牽引した。ドル円は介入警戒水準である157円台後半に高止まりしており、日銀が明確なタカ派姿勢へ転換しない限り為替介入による下支えが不可欠との見方が市場で広がっている。ユーロドルは米国とユーロ圏の労働市場の力強さの格差が意識される中、欧州中央銀行(ECB)の利上げペース鈍化への思惑から一時1.16ドル台へ下落した。また、ポンドドルは英国内の深刻な政治不信を背景に売り込まれ、一時1.34ドル台へと大きく水準を切り下げた。スターマー首相は続投を表明したものの、党内対立による先行き不透明感がポンドの重石となる状況が長期化しそうな気配である。 (14日) 東京市場は円相場が神経質に上下動。ドル円は、米中首脳会談の無難な通過を背景にじりじりと下値を切り上げ、昼頃には4月末以来の高値となる157.99円を記録した。しかし、注目の防衛ラインである158円ちょうどを前に足踏みしていたところへ、日銀の増審議委員が「できる限り早い段階での利上げが望ましい」と予想外のタカ派的発言を行ったことで状況が一変し、一時157.54円まで急激な円買いが走った。これまで中立派と見られていた同委員の発言は市場にサプライズを与えたが、下値ではすぐに押し目買いが入り、再び157.90円台へと反発する底堅さを見せた。クロス円もこの動きに連動し、ユーロ円は一時184円台半ばへ、ポンド円も213.17円まで急落した直後に買い戻されるなど、神経質ながらも底堅い展開となった。 ロンドン市場は、その後に控える米小売売上高などの重要指標の発表を前に様子見ムードが広がり、全体的に値幅の狭い小動きな展開に終始した。東京時間に日銀委員のタカ派発言を受けて急落したドル円は、ロンドン入り後には157.80円から90円レベルでの狭い揉み合いへと収束した。158円ちょうどにはニューヨーク時間のカットに向けた大規模なオプションが観測されており、日本政府や日銀による為替介入への警戒感も相まって、上値を追うには極めて慎重な地合いとなっている。ユーロドルも大口オプションに挟まれて1.17ドル台前半での小動きが続いた。一方、ポンドドルはこの日発表された英GDPが予想外のプラス成長を示したにもかかわらず買い反応は薄く、深刻化する国内政情不安を嫌気して上値の重い推移となった。 NY市場ではドル高圧力が一段と強まり、ドル円はついに警戒されていた158円台を回復した。その過程で突如157円台前半へと急落する場面があり、相場の急騰を牽制する日本の財務省による「上値抑え型」の覆面介入の可能性が疑われた。しかし、ベッセント米財務長官が為替変動に一定の理解を示していたこともあり下値は限定的で、急落前を上回る水準まで力強く買い戻されている。一方、米長期金利のさらなる上昇観測は欧州通貨への強い逆風となり、ユーロドルは1.16ドル台へと沈み200日移動平均線に顔合わせした。ポンドの下げ幅はさらに深刻で、第1四半期の英GDPが良好な結果を示したにもかかわらず、労働党内での首相降ろしなど激化する政治不信と景気先行き懸念から売り込まれ、ポンドドルは1.33ドル台へと急落した。 (15日) 東京市場はドル全面高となった。米中首脳会談で中国が米国産原油の輸入に前向きと報じられ、イラン紛争長期化への思惑から原油高が進行。米インフレ警戒による米10年債利回りの上昇も相まってドル買いが強まった。ドル円は、国内企業物価指数の上振れによる円買い材料をドル高の勢いが上回り、午後には158.67円まで高値を伸ばした。欧州通貨も対ドルで下落し、ユーロドルは1.1633ドル、ポンドドルは1.3340ドル前後と、ともに4月8日以来の安値を付けた。一方、クロス円は上値が重い展開。日本の物価統計を受けて国内金利も上昇し、30年債利回りが初の4%台を付けたことで対ドル以外では円高が優勢となり、ユーロ円は184円台半ば、ポンド円は211円台半ばへと下落した。 ロンドン市場は原油価格の上下動に翻弄され、ドルや円相場が神経質に振幅している。序盤はNY原油先物が105ドル付近へ急伸し、米債利回りが4.54%台に上昇したことを受けてドル買いが先行。ユーロやポンドが対ドルで下落し、ドル円も158円台後半へ上昇した。ただ、ドル円は介入警戒感や日銀利上げ観測に上値を抑えられ、クロス円はユーロ円が184円台前半へ安値を広げるなど軟調となった。しかし昼にかけて、イラン外相による停戦維持やホルムズ海峡の船舶通過に言及した発言で原油が103ドル割れへ急反落すると、相場の歯車が逆回転。ドル円は158円台前半へ安値を小幅に更新し、欧州通貨やクロス円にも買い戻しが入った。売買が神経質に交錯するなか、欧米株は金利高や週末の調整圧力で総じて軟調に推移している。 NY市場はドル高が優勢となり、ドル円も158円台後半に上昇。今月連休中の財務省の介入による下げを完全に戻している。来週はフランスでG7財務相・中央銀行総裁会議が行われるが、それを機に財務省が何らかのアクションと取ってくるか注目される。片山財務相は国債利回りの急騰に関して議論が及ぶと述べていた。きょうの市場は全体的に不安定な値動きが広がった。株安・原油高のほか、米国債利回りが欧州や日本と伴に1年ぶりの高水準まで急上昇。米10年債利回りは節目の4.50%を上回り、4.60%付近まで上昇。その動きがドルを下支えしていた。米中首脳会談も終了し、イベントがある程度通過した中、今週の予想を上回る米インフレ指標とFRBの利上げ期待の台頭を市場は改めて意識しているとのコメントも聞かれた。
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