石油週間見通し=高値から崩落、目先は米露首脳会談などに注目

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【前週のレビュー】ニューヨーク原油9月限は6月23日以来の70ドル台乗せ。目先
は達成感から利食い売りが出やすい状況となっているが、これらを消化してさらに上値
を目指すのか否かに注目したいとした。

【NY9月限は70ドル台から大きく崩れる】
 ニューヨーク原油9月限は結局、70ドル台乗せは極めて短期的なものに終わり、一
気に崩れる展開となってきた。直近の安値は6日に付けた63.64ドル。目先の下値
メドは6月の暴落時に付けた62.84ドルとなる。仮にこれを割り込むと、60ドル
の節目が意識されて来そうだ。

 材料的には、石油輸出国機構(OPEC)プラスが9月からの日量54万8000バ
レルの増産が合意したことや、さらに直近は「トランプ関税」の発動のタイミングで今
後の世界的な需要低迷懸念がクローズアップされるなか、また近々に米露首脳会談が実
施されることになり停戦期待が浮上していることなどが圧迫要因となった。
 産油国サイドで最大のニュースとなったOPECプラスの9月の増産合意だが、有志
国の自主減産は最大でこれまで日量220万バレルあったが、4月以降段階的にその減
産枠が縮小され、これで完全に解消されることになる。

 またもう一つ産油国側のニュースとして注目されているのは、ロシアのウクライナ侵
攻後、米国がロシア産原油の二大輸入国になっているインドと中国に対して、「二次関
税」をちらつかせて同国からの原油輸入を止めさせる動きに出ていることだが、米国は
6日、インドがロシア産原油の購入を継続しているとして、インドに25%の追加関税
を課ことを決定した。これにより同国にな対する関税は発表済みの25%の相互関税に
加えて、税率は最大50%となる。中国に関しては正式な発表はないが、同様にロシア
産原油の輸入を理由に追加関税を課す可能性があることをちらつかせてけん制してい
る。
 なお、両国がロシア産原油の輸入を停止した場合、代替需要などで世界の原油価格を
5ドル程度上昇させるとの強気筋の見方もあったが、現在のところ思惑外れとなってい
る。ただ直近の速報として、インドの大手国営製油会社、インディアン・オイル
(IOC)とバーラト・ペトロリアム(BPCL)が、非ロシア産原油を9〜10月積
みで少なくとも合計2200万バレル購入との報道が飛び込んで来た。

 米露首脳会談については、近々に実施されると報じられているだけで、現時点では明
確な日程の発表はない。またウクライナのゼレンスキー大統領は三者会談にこだわって
いるとの報道もあるが、現時点ではそうなるのか否かも不透明だ。電撃的な停戦合意に
至る可能性は低いとみられているが、これは成り行きを注視したい。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は7月下旬のて高値からの下落は一服
して、まだ高値圏のもみ合いの範疇にある。
 ドルインデックスは8月に入り高値から反落基調だったが、97ポイント台後半で下
げ渋り模様となってきた。

【7月米国産原油輸出、2021年のコロナ禍以来の低水準=調査会社】
 米国内に目を移すと、米調査会社、ケプラー社によると、7月の米国産原油輸出が日
量約310万バレルまで減少して、コロナ禍にあった2021年10月以来の低水準と
なった。
 また米エネルギー情報局(EIA)も過去5週間の輸出が日量平均320万バレル
と、6月の360万バレルを下回ったと指摘している。ブレント原油とのスプレッド縮
小で、欧州向け輸出の妙味が薄くなっていることが背景にありそうだ。

【東京原油のテクニカル分析】
 東京原油の6番限である12月限はボリンジャーバンドの2シグマ(6万3580円
辺り)近辺から急落して、−2シグマ(5万811020円)手前まで崩れた。7営業
日連続で陰線引け。目先は6万円の節目が上値抵抗となりそうだ。

【NY原油、ブレント原油のテクニカル分析】
 ニューヨーク原油9月限もボリンジャーバンドの2シグマ(69.34ドル辺り)を
上抜いた70ドル台から崩落。ほぼ−2シグマ(63.14ドル辺り)水準まで下落し
ている。

 ブレント原油10月限もほぼ同様の展開ボリンジャーバンドの2シグマ(71.74
ドル辺り)超えから−2シグマ(65.57ドル辺り)近辺まで崩れている。


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