コモディティレポート(金)

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【NY金は米トランプ政権の関税違法問題や利下げ思惑から高値圏でもみあいか】
 NY金12月限は8月20日以降は地合いを引き締めて上値を探る動きを維持してい
たが、9月2日に3602.4ドルに達し、翌3日も3640.1ドルを記録し、一代
高値の更新が続いている。
 米トランプ大統領による米連邦準備理事会(FRB)のクック理事の解任劇を受けて
FRBの独立性と大統領権限の領域を巡る混乱が安全資産を求める動きを刺激し、金の
買い材料となった。米トランプ政権による関税政策の大部分は違法との判決が出たこと
で更なる混乱が発生した結果、逃避買い需要が高まり金価格は大きく押し上げられてい
る。
 トランプ政権による関税政策について、連邦控訴裁判所は8月29日に大部分が違法
とする判断を下したが、これは一審判決に続く2回目の違法判決となる。この結果を受
けてトランプ大統領は最高裁に3日にも迅速審理を求める意向を明らかにしているが、
これまで裁判所が違法と判断をくだした根拠は関税の決定は議会によるものであり大統
領にはその権限は与えられていない、という伝統的な考え方にある。
 これまでのところトランプ政権による最高裁への上訴の機会の確保のため、関税措置
は10月14日まで継続することが認められている。米トランプ大統領の2期目の就任
に当たり米最高裁の判事の構成は保守派5名、リベラル派3名の計9名と保守的な傾向
が強まっているが、関税決定の権限は大統領に与えられていない、という伝統的な考え
方を保守派が支持する傾向が強い。現時点では最高裁がどのような判断を下すか見通し
に不透明感が強い。
 現時点ではトランプ政権下で発動された米関税は相互関税に関しては国際緊急経済権
限法(IEEPA)や分野別関税に関しては通商報232条がその拠り所とされていた
が、最高裁で違法判決が下された場合にはトランプ政権はその根拠を他の法に準拠した
うえで関税政策の継続を求めたり、他の代替手段を採用する可能性がある。
 とはいえ、裁判所が判決の根拠としているのは関税を決定する権限の主体であるた
め、他の法を拠り所にしたとしても司法によって認められるかどうかは不確かだ。
 仮にトランプ政権による関税政策が司法の壁を乗り越えることが出来ず行き詰まった
場合、米政権はこれまでに受けた関税収入の返還を求められる可能性があるうえ、トラ
ンプ大統領による外交政策にも問題が生じかねないだけに、米政権および米財政に対す
る警戒感が深まっている。
 NY金市場では米トランプ政権の関税政策違法問題に対する警戒感が高まる前から、
9月公開市場委員会(FOMC)での利下げ観測が買い支援材料視されてきた。米国で
は雇用情勢の軟化が懸念されるなかでのインフレ加速化が米消費活動に与える影響が懸
念される一方、旺盛な消費が米経済の底堅さを印象付けていることもあり、米連邦準備
理事会(FRB)による利下げ観測が強まっているが、利下げの実施が金市場にとって
の買い支援要因になる一方、米経済に停滞感が強まり利下げが見送られたとしても、米
経済不安が金価格をサポートする要因になるなど、米経済指標の内容が強気でも弱気で
も金市場にとっての買い支援要因になり得る強気な投資環境が続いている。
 そのようななか、新たな買い支援要因が浮上したことはNY金市場の買い意欲をさら
に強めるとみられる。NY金12月限は2日の取引で3600ドル台に達し、その後も
3600ドル台を維持している。米トランプ政権の関税政策の危うさや米財政に対する
警戒感に支えられるなか、再び高値を更新する可能性を含んだ高値圏でもみあいが続く
と予想。
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