石油週間見通し=ロシアの供給懸念と世界的な供給過剰見通しのせめぎ合い

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【前週のレビュー】ニューヨーク原油10月限は12日午後の時点で61ドル台後半ま
で崩れており、5日の安値61.45ドル、8月13日の安値61.29ドル(ボリン
ジャーバンドの−2シグマ61.27ドルにも近い)などを割り込んだ場合、60ドル
の節目が下値目標となる可能性が出て来るとした。

【NY原油11月限は64ドル台で上値抑制】
 ニューヨーク原油10月限は22日に納会するため、11月限が指標限月になる。そ
の11月限は4月9日に付けた一代安値の54.10ドルから6月23日に付けた一代
高値の73.49ドルまでの上げ幅に対する61.8%押しとなる61.47ドルが8
月以降支持線として機能している。直近は12日の安値61.42ドルから反発基調と
なっており、前述の半値水準である63.75ドルを挟んだエリアまで戻しているが、
64ドル台では上値が抑えられ、もみ合いレンジ上限を抜け切れない状況だ。なお、本
稿執筆時の19日午後には高値からの下げ幅を拡大して62ドル台後半まで軟化してい
る。

 材料的には、前回の当欄で触れたウクライナによる度重なる石油施設攻撃によるロシ
アからの供給懸念という強材料と、国際エネルギー機関(IEA)の月報などをきっか
けにした世界的な供給過剰見通しの弱材料がせめぎ合っている形だが、現状は後者の方
が優勢になりつつある。
 一方、米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ決定により、米株が過去最高値
水準で騰勢を強めているのに加えて、ドルインデックスが下落してドル安傾向となって
いるものの、これらの外部要因は現在それほど原油の支援材料となっていない。今後、
中長期的には60ドル台割れを予想する向きも多くなっている。
 ブレント原油は、中長期的に60ドルどころか50ドル割れの見方がある。15日に
権利行使価格49ドルと50ドルの2月限のプットオプション(売る権利)計1万枚
(1000万バレル相当)が買われたことが話題になっている。ちなみにブレント原油
2月限の18日の帳入値は66.24ドル。
 そこまで下落するのか否かは神のみぞ知るだが、大口投機家の見方が大勢で弱気に傾
きつつあるのは確かのようだ。

 産油国側のニュースとしては、18〜19日の予定で石油輸出国機構(OPEC)プ
ラス」の代表団がウィーンで生産能力の評価手法を協議されている模様。これはテクニ
カルなものなのであまり原油相場に影響はしないだろう。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は引き続き4万6000ドル台の過去
最高値水準を維持している。
 ドルインデックスは一時95ポイント台後半まで急落していたが、直近は97ポイン
ト近辺まで戻している。

【EU、新たな対露制裁策を提示へ】
 トランプ米大統領が主要7カ国(G7)に対してロシア産原油を購入する中国とイン
ドに最大100%の関税を課すよう働き掛けているが、 欧州連合(EU)は19日にも
最新の対露制裁案を加盟国に提示する計画であることが報じられている。これは16日
のフォンデアライエン欧州委員長とトランプ米大統領との電話会談を経たもので、詳細
は不明だが、ロシアの主要石油会社をはじめ、同国の石油輸送や取引に関与する第三国
(中国やインドを念頭か)を含む企業を対象とした措置も盛り込まれる見通しという。

【東京原油のテクニカル分析】
 東京原油の6番限である2月限はこのところ21日移動平均線でもあるボリンジャー
バンドの中心線(6万0390円辺り)と1シグマ(6万0980円辺り)を跨いだも
み合いとなっているが、19日には高値から大きく崩れ長い上ひげを付けて、引けで中
心線を下回った。

【NY原油、ブレント原油のテクニカル分析】
 ニューヨーク原油11月限もボリンジャーバンドの中心線(63.15ドル辺り)と
1シグマ(64.01ドル辺り)を跨いだもみ合いとなっているが、直近2営業日は陰
線を付けて中心線を試す展開となっている。

 ブレント原油11月限もほぼ同様の展開。ボリンジャーバンドの中心線(67.34
ドル辺り)と1シグマ(68.17ドル辺り)を跨いだもみ合いで、直近は中心線を試
している。


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