ドル円、200日線を突破 維持できるか注目=NY為替概況

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
ドル円、200日線を突破 維持できるか注目=NY為替概況

 きょうも市場は全般に手掛かり材料に乏しい中、為替市場はドル高が強まり、ドル円は148円台後半に上昇。先週は100日線を一時割り込んだが、今度は148円台半ばに来ている200日線を突破している。明日以降、維持できるか注目される。

 今週の市場はFRB幹部の発言を注視しているが、先週のFOMCで示された金利見通し(ドット・プロット)が示すほど、FRB幹部は利下げに前向きにはなっていないようだ。労働市場の冷え込みは認識しているものの、根強い高インフレが利下げ姿勢にブレーキをかけている模様。それがドルを底堅くしている。

 一方、円相場に関しては、海外勢中心に自民党の総裁選が注目を集めているようだ。海外勢も高市氏と小泉氏が本命と見ているようだが、経済政策だけで言えば、「ガソリン暫定税率廃止」、「年収の壁見直し」ではほぼ一致。消費減税についても「可能性は排除しない」としている。

 違う点は国債。高市氏は「一時的な赤字国債の増発も容認」なのに対して、小泉氏はいまのところ慎重スタンス。思い切った減税策の“程度も含めた実現性”という観点で見れば、将来的に成長でカバーできると仮定したとしても、一時的な国債増発は現実的に不可避とも考えられる。従って、総裁選告示前の下馬評と変わらず、高市氏ならば円安、小泉氏であれば円高との見方で変わらずのようだ。

 もし、シナリオ通りになったとしても一時的な反応とは思われる。

 ユーロドルは1.17ドル台半ばに下落。本日の21日線が1.1730ドル付近に来ているが、その水準に顔合わせした格好。しかし、上向きのトレンドはまだ維持されている。

 この日はドイツの9月調査分のIfo景況感指数が発表になっていたが、予想外に悪化していた。期待指数も現況指数も低下し、ドイツ経済の回復の芽が弱いことを浮き彫りにしている。Ifoの所長は「現在の事業環境に対する企業の満足度は後退し、先行きへの期待も明らかに曇った」と指摘。景気回復見通しにつまずきが生じたとの見解を示した。

 ただ、今週発表になっていたドイツのPMIは好調ぶりを示していた。一部のエコノミストからは、PMIの数字は回復の強さを誇張している可能性があるとの警告も出ていた。しかし、ECBの追加利下げ期待が復活するような動きには至っていない。

 ポンドドルは戻り売りが強まり、一時1.34ドル台前半まで下落。本日の下げで100日線を下回り、明日以降、水準を維持できるが注目される。目先は直近安値1.3335ドル付近が下値メドとして意識される。一方、ポイド円は200円台を回復。ドル円の動きに追随したようだ。

 本日はベイリー英中銀総裁のインタビュ-が伝わっていたが、英国の消費者が外食や買い物を控える傾向が強まっているとし、利下げをさらに進める必要があるとの考えを改めて示した。総裁は「金利にはまだ引き下げ余地がある。ただし、いつどの程度引き下げるかは、インフレの推移次第だ」とも述べていた。市場では年内の利下げの可能性は低いと見ており、早くても来年第1四半期の利下げを有力視している。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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