ドル円、150円台後半で上下動 金曜日の米CPIは追加利下げ正当化との見方も=NY為替概況

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
ドル円、150円台後半で上下動 金曜日の米CPIは追加利下げ正当化との見方も=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、ドル円は150円台後半での上下動に終始した。東京時間に一時151円台まで買い戻される場面が見られたものの、海外市場に入ると、150円台前半まで一時下落。ただ、NY時間にかけて下げ渋っている。先週は米地銀の貸倒損失への懸念と米利下げ観測を背景としたドル安から、ドル円も節目の150円を割り込んでいたが、週明けになって買い戻された。

 東京時間には日本の政治的な不確実性が解消されたことが円安を誘発したようだ。自民と維新による連立政権が発足することになり、維新の藤田共同代表も自民と合意に至ったと述べている。これで明日、高市氏が日本初の女性首相に選出され、当日のうちに組閣を行い高市政権が発足する見通し。

 投資家は今後の利下げペースの手掛かりを求めて、金曜日に発表される9月の米消費者物価指数(CPI)の発表を注視している。同統計は当初先週水曜日に発表予定だったが、政府機関閉鎖により発表が延期していた。来週のFOMCでの追加利下げを正当化する内容になるとの見方も出ているようだ。

 ユーロドルは動意薄の展開。1.16ドル台半ばでの振幅に留まり、本日のレンジは25ポイント程度。チャート的には21日線と100日線の間におり、次の展開待ちといった状況。一方、ユーロ円は日本の政治情勢を受けて、一旦175円台前半まで下落したものの、175円台後半まで戻している。こちらは21日線の上を維持しており、上向きの流れは維持しているものの、上値に慎重になっている状況。

 金曜日にS&Pがフランスの格付けを「AA-」から「A+」に引き下げた。ただ、ユーロは特にネガティブな反応を見せていない。週明けの仏国債も安定的に推移している。格下げは織り込み済みだったが、S&Pが事前に発表していた格付けスケジュールから逸脱したため、予想より早くは発表された。

 ただ、フランスのルコルニュ首相が先週、不信任決議を乗り切り、ユーロは回復しているが、アナリストからは「フランスを楽観視するのは難しい」との声が出ている。ルコルニュ首相の年金制度改革凍結の決定は、一時的な政治的猶予をもたらすとしても、予算決定を複雑にすると指摘。「政府の脆弱性を考えると、ユーロからフランスへの懸念を完全に切り離すのは時期尚早だ」と述べている。

 ポンドドルも動意薄の展開が見られ、1.34ドル台前半での振幅が続いた。21日線付近での推移が続いており、次の展開待ちの雰囲気となっている。一方、ポンド円は202円台前半で推移。21日線の上での推移が続いており、上向きのトレンドは維持されているものの、調整の動きが続いている。

 ストラテジストからは、ポンドは英国債利回りとの正の相関が低下しており、相対的に高い英国債利回りがポンドを支えることができていないという。11月26日の秋季予算案の発表を前に英財政への懸念が高まる中、相対的に高い英国債利回りがポンドを支えることができていないとの指摘が出ている。トラス元首相の退陣直前の数週間以来となる市場の力学の再来を示しているという。トラス元首相が、裏付けのない減税案を発表したことで2022年に市場を混乱させた。

 為替市場ではポンドに対して弱気なポジションが取られているが、秋季予算案で資金調達ギャップがより小さく、かつ歳出削減を優先する姿勢が示されれば、ポンドは強含む可能性があるという。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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