ドル円、153円台をうかがう展開続く 原油急騰による利回り上昇もサポート=NY為替概況 きょうのNY為替市場、ドル円は152.80円付近まで一時上げ幅を伸ばした。終盤は152円台半ばに伸び悩んだものの、下押す動きも限定的で、高市トレードの直近高値153円台をうかがう展開は続いている。 高市トレード自体は一服感が出ているものの、財政政策が一段と緩和的になることで円安とのシナリオは根強い。半面、日銀については来週の決定会合での利上げは見送られるとの見方で一致しているようだが、12月については見解が分かれている状況。本日は米国によるロシア石油企業への制裁で原油急騰し、米国債利回りが上昇したこともドル円をサポート。 米政府機関閉鎖は依然として出口が見えない中、明日は米消費者物価指数(CPI)が発表になる。短期金融市場では来週と12月の年内2回の利下げ実施を完全に織り込んでいるが、内容次第では、その見方に変化が出るリスクもある。「市場はFRBの利下げを織り込み過ぎている」との指摘もエコノミストからは出ている。 きょうのユーロドルはNY時間に入って買いが優勢となっとり、1.16ドル台前半で推移。ただ、全体的には動意薄の展開に変化はなく、次の展開待ちとなっている。一方、ユーロ円は買戻しが続いており、177円台に戻す展開。 来週は各国中銀が政策委員会を開催するが、ECB理事会も予定されている。エコノミストは「ECBがこれ以上利下げを行う根拠は現時点でほとんどない」と述べている。「インフレがECBの目標水準付近で安定しつつあることを踏まえると、中銀預金金利は2.00%で当面据え置かれる可能性が高い」と指摘。 また、ECBは今後もデータ依存の政策運営を維持し、柔軟性を強調しつつ、あらゆる選択肢を開いた姿勢を保つと見ている。次回のECB理事会は10月30日に予定されている。 きょうもポンドドルは下値模索が続き5日続落。本日は1.33ドル台前半まで下げ幅を広げたが、目先は10月14日の安値1.3250ドル付近、その下には200日線が来ている。本日は1.3220ドル付近。一方、ポンド円はリバウンドの流れを継続し、203円台後半まで一時上昇。高市トレードの直近高値205.30円を視野に入れた動きが続いている。 前日発表の英消費者物価指数(CPI)は下振れサプライズとなったが、これはコロナ後から持続しているトレンドであり、年末にかけてポンドを圧迫する要因になるとの指摘が出ている。近年の英インフレ指標は、4月に行われる大幅な価格改定によって歪められている。これらの改定は新しい現象ではないが、コロナ以降の高インフレによって、価格圧力がより持続的となり、予測を狂わせているという。 過去数年の傾向として、第4四半期には英景気関連データが下振れする傾向がある。同じことがインフレについても言え、年末にかけてデータが出揃うにつれて、英中銀が利下げに動く余地がさらに広がり、ポンドにとっては逆風になると述べている。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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