プラチナの現物相場は10月、米政府機関の一部閉鎖や米中の貿易摩擦に対する懸念 を受けて金が史上最高値を更新したことに加え、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ 見通しも支援要因となって2013年2月以来の高値1729.52ドルを付けた。そ の後は、米地銀不安などを受けてリスク回避の動きが出ると、上げ一服となった。ドル 安一服や金反落も圧迫要因となり、調整局面を迎えたが、中国勢の安値拾いの買いが下 支えになった。一方、米中閣僚級協議で大枠の通商合意に達し、30日の米中首脳会談 でまとまるとみられている。金急落につれ安となる場面も見られたが、株高に振れたこ とが下支えであり、どの水準で下げ止まるかを確認したい。 米政府機関の一部が1日に閉鎖されたが、共和党と民主党の対立から、米上院でつな ぎ予算案の否決が続いている。ホワイトハウスは、民主党が優勢な地域向けの支出を凍 結し、政府職員の解雇を進める方針である。航空管制官の欠勤が増加するなか、航空便 の遅延が目立つようになった。管制官の給与支払いが28日に止まるなか、航空便の混 乱が続くとみられている。対立解消の糸口がつかめず、過去最長となった35日間の閉 鎖を超える可能性が出ている。一方、トランプ米大統領が中国によるレアアース(希土 類)の輸出規制強化に反発し、100%の追加関税を11月から課すと表明し、米中の 貿易摩擦に対する懸念が高まった。ただベセント米財務長官が26日に米中閣僚級協議 で実質的な枠組みで合意したことを明らかにし、追加関税は回避され、中国のレアアー ス輸出規制は1年延期されると述べた。30日の米中首脳会談でまとまる見通しであ り、合意内容を確認したい。米主要株価3指数が最高値を更新しており、リスク選好の 動きが続くと、プラチナの支援要因になるとみられる。上海プラチナの出来高が 1602枚まで増加し、中国勢の押し目買い意欲が強いことも下支え要因である。 【米FOMCで年末まで2回の利下げを織り込む】 9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが決定され、年末までさらに2回 の利下げが見込まれている。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は講演で、米経 済見通しは9月の会合以降、変わっていないとみられると述べた。また雇用の伸びが鈍 いことを指摘し、今後さらに弱まる可能性があるとした。米政府機関の一部閉鎖を受 け、米雇用統計など各省庁の経済指標の発表は延期された。ただ9月の米消費者物価指 数(CPI)は24日に発表された。前年比3.0%上昇と前月の2.9%上昇から伸 びが加速したが、事前予想の3.1%上昇は下回り、今夜の米FOMCで利下げが見込 まれている。利下げを受けてドル安が再開すると、金主導でプラチナも買われるとみら れる。 【英国のプラチナETFに投資資金が流入】 プラチナETF(上場投信)残高は10月24日の米国で37.77トン(9月末 38.36トン)、23日の英国で12.82トン(同10.68トン)、南アで 7.27トン(同7.78トン)となった。英国で投資資金が流入し、合計で1.04 トン増加した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告は10月に入 り、米政府機関の一部閉鎖を受けて発表が延期された。9月23日時点のニューヨー ク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万2042枚(前週1万5203枚)と7月 1日以来の高水準となっている。 (MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行) *28日、Yahoo!ファイナンスに掲載された記事を再配信します。
 
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