【前週のレビュー】ニューヨーク原油1月限は60ドルの節目テスト。60ドルの節目 を明確に上抜けるようであれば、11月上旬まで強い上値抵抗となっていた61.8% 押しの61.08ドル辺りまで上値余地が拡大することになるとした。 【NY原油2月限は60ドル水準から跳ね返される】 ニューヨーク原油1月限は20日に納会を迎えるため、今後2月限が指標限月となる (出来高はまだ1月限の方が多いが、取組高は逆転した)が、その2月限は1月限より やや下ザヤで推移している。チャートを見ると、60ドルの節目に跳ね返さられる展開 となり、11日には56.85ドルの安値を付け、10月17日の安値56.11ドル が目先の下値目標となっている。仮にこれを下回ると、一代安値の54.71ドルも射 程に入っている。前回は5日の満月天井(60.12ドル)だったことを考えると、 20日の新月(営業日ではない)前後に底入れするような展開となるか。クリスマス前 にもうひと下げもありそうだ。 ただ、後述するように米国とベネズエラとの緊張が激化して、まさに一触即発の状況 となっているためこれには注意する必要がある。 材料的には、このところ月の中旬前半にパターン化している3機関(OPEC、 EIA、IEA)の月報が弱気されて売りバイアスのかかった展開となっている。 またウクライナ和平を巡る交渉も引き続き焦点となっている。これに関しては欧米の 対立が深刻化するなか混迷を深めており、年内の合意は難しい状況。ただこのような状 況だからこそ電撃的に和平合意となれば弱気のインパクトが大きくなる可能性があるの で注意したい。 逆に米国とベネズエラの関係が緊迫化していることは上振れリスクとして注意する必 要があろう。仮に米国のベネズエラ空爆あるいは地上侵攻などがあれば、少なくとも短 期的には相場が噴き上げることになる。 米国はベネズエラからの原油タンカー1隻を拿捕して、ベネズエラ政府がそれを非難 するなど緊張が一気に高まっているが、米国は船舶のさらなる拿捕を行う準備を進めて いると報じられている。また米国は麻薬対策の名目でカリブ海に空母を展開し、約1万 5000人の兵士を周辺に配備している。加えて、米国は麻薬撲滅を名目にベネズエラ への地上侵攻の可能性も示唆しており、まさに一触即発の状況となっている。 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は4万8000ドル台でさらに過去最 高値更新。 ドルインデックスは軟化。99ポイント台前半から98ポイント台前半まで下落して いる。 【来年の世界石油需給、供給過剰が過去最高も前月からは下方修正=IEA月報】 国際エネルギー機関(IEA)の月報では、世界の石油市場の供給過剰見通しに変化 はないものの、その過剰幅は下方修正された。下方修正は今年5月以来のこととなる。 IEAの月報では、2026年の世界の石油市場の供給過剰は日量381万5000 バレル。これでも供給過剰幅としては過去最高だが、11月の発表からは日量23万 1000バレル下方修正された。 【東京原油のテクニカル分析】 東京原油の6番限である5月限は4営業日連続の陰線引けとなり、12日にはボリン ジャーバンドの−2シグマ(5万9270円辺り)を大幅に下回ったが、安値はかなり 戻して日足は長い下ひげを付けた。 【NY原油、ブレント原油のテクニカル分析】 ニューヨーク原油2月限は11日の大陰線で、安値ではボリンジャーバンドの−2シ グマ(57.26ドル辺り)を割り込んだが、引けでは上回った。 ブレント原油2月限もほぼ同様の展開。11日の大陰線で、安値ではボリンジャーバ ンドの−2シグマ(61.26ドル辺り)をを割り込んだが、引けはほぼ同水準だっ た。 MINKABU PRESS *投資や売買については御自身の判断でお願いします。
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