【前週までのレビュー】JPXゴムRSS3は、産地価格の下落やドル・円の上値が 重くなるとの見方から、上値の重い展開になると予想した。 【売り優勢、ファンダメンタルズに買い材料は見当たらず】 JPXゴムRSS3号の活発限月5月限は、上下に振れたものの、終値ベースではほ ぼ横ばい。17日に321.2円まで下落後、334.4円まで急騰したが、これは上 海高を契機とした踏み上げによるものとみられる。ただし上海ゴムはレンジ内での急伸 に過ぎず、新規の買い材料は乏しい。18日に335.9円まで上昇後は値を削り、産 地価格も豪雨にもかかわらず下落している。ファンダメンタルズに買い材料は見当たら ず、内部要因による突発的な上昇があっても、次第に売り優勢の展開が続く可能性が高 い。 【産地価格の下落傾向は続く】 東南アジアを襲った豪雨により閉鎖されていたタイ現物市場が、12月8日に再開さ れた。8日に提示されたタイ南部の天然ゴム主要積み出し港のソンクラ渡しのオファー 価格は、66.54バーツ、非常事態宣言が発令される直前の先月21日の67.94 バーツを下回った。その後も下落を続け、16日には65.63バーツが提示された。 同水準で支持されると、18日には66.44バーツが提示されている。下げ一服とな っているが、依然として、豪雨前より低い水準に位置している。豪雨により長時間に渡 りゴム樹の根が水没したことから、今後、根腐れを起こし、ゴムの供給が細る可能性は ある。ただ、オファー価格の推移をみると、現時点では豪雨が天然ゴム需給をタイトに すると見ている向きは少ないようだ。 【中国景気の回復は鈍い】 15日に中国国家統計局が発表した11月の中国鉱工業生産は、前年同月比年4. 8%増となった。市場予想の5.0%を下回ったうえ、伸び率も10月の4.9%から 縮小した。また同時に発表された11月の中国小売売上高は、同1.3%増となったも のの、市場予想の3.0%を大きく下回ったうえ、伸び率も10月の2.9%から鈍化 した。 中国は依然として不動産不況を背景とした内需の弱さが目立っている。1〜11月の 固定資産投資も前年比2.6%減と1〜10月は1.7%減から減少幅が拡大。不動産 投資自体も1〜11月が前年比15.9%の減少と前月の14.7%減少から拡大し た。 【上海ゴムはもみ合い】 上海ゴムは、もみ合いとなった。中心限月の5月限は、11月5日に1万4825元 まで下落後、押し目を拾われ、11月21日には1万5640元まで上昇した際は、1 万5500元超で戻り売りを浴びた。現状、1万5000〜1万5500元前後でのレ ンジ相場が継続している。ファンダメンタルズからゴム独自の支援材料は見当たらな い。チャート的には1万5500元付近の売りをこなせば、10月23日の高値1万5 740元を目指すことになる。 【東京ゴム活発限月の5月限のテクニカル要因】 ゴムRSS3号の活発限月の5月限は、買い優勢となった。11月下旬からの値動き を確認すると、11月19日に一代の高値を更新すると買い意欲が一段と高まり、同月 28日には、344.4円まで上値を伸ばした。同水準で上値が抑えられると、一転し て売りが先行、12月4日の夜間取引(チャート上は5日)では一時321.1円まで 下落し、一代の高値を付けてからわずか4営業日で23.3円もの急落となった。その 後は、調整高場面となり、11日には331.7円まで戻した。だが、同水準で戻りが 鈍くなると、17日に321.2円まで下落した。同水準で支持されると急反発し18 日に335.9円まで水準を引き上げた。だが、その後は330円前後で推移してい る。 買いが先行すれば、18日の高値335.9円が最初の関門。高値更新となれば、節 目の340.0円や11月28日に付けた一代の高値344.4円が視野に入る。一 方、売りが先行すれば、節目の325円付近が支持になる。同水準を割り込むと、17 日の安値321.2円を試そう。安値更新となれば、節目の320円や315円を目指 すとみる。 【今週の注目ポイント】 引き継ぎ産地相場に注目したい。天然ゴムの主要産地である東南アジアは、11月に 記録的な豪雨に見舞われた。だが、産地価格に大きな変化はなく、むしろ下落してい る。産地価格が一段安となれば、JPXゴムRSS3は、期近主導で崩れる可能性があ る。 【相場予想レンジ】 12月22〜26日のJPXゴムRSS3号3月限の中心レンジ予想は315〜34 5円前後。テクニカルの支持線321.1円(12月5日安値)、抵抗線は340.0 円(節目)。 MINKABU PRESS ※投資や売買は御自身の判断でお願いします。
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