プラチナ週間展望=堅調、地政学的リスクや金上昇が支援

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [12月29日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2026 年 10 月限  12 月 22 日〜 12 月 26 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金          22,175    23,199 (26)   22,135 (22)     23,135       +1,018
  銀           330.9     355.0 (26)    327.1 (22)      350.0        +38.6
 プラチナ       9,128    10,990 (26)    9,128 (22)     10,990       +1,835
 パラジウム     8,500     9,000 (24)    8,500 (22)      8,800         +500
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
        25  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       ( 2) 4,502.8    +115.5   | ドル・円    156.25      0.10 円高
  銀       ( 3) 7,168.5    +419.6   | 日経平均  50,750.39      +1243.18
 プラチナ   ( 4) 2,274.0    +219.2   | NY原油 ( 2)  58.35         +1.83
 パラジウム ( 3) 1,806.90    +20.00  |* ドル・円は15時45分現在、原油は 25日
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【前週のレビュー】
 プラチナはドル安や金上昇で踏み上げの動き、とした。
 プラチナは米国の石油タンカー拿捕や金上昇を受けて内外で史上最高値を更新したの
ち、クリスマス休暇を控えた利食い売りが出て上げ一服となった。現物相場は史上最高
値2451.40ドルを付けた。プラチナ先限は上場来高値1万1010円を付けた。
一方、パラジウムの現物相場は2022年12月以来の高値1953.49ドルを付け
た。
 米沿岸警備隊は20日、ベネズエラ沖の国際水域で2隻目の石油タンカーを拿捕し
た。また3隻目の石油タンカーを追跡中とした。米当局者は「米沿岸警備隊はベネズエ
ラの違法な制裁回避に加担している制裁対象のダークフリート船を積極的に追跡してい
る。この船は偽旗を掲げており、司法による差し押さえ命令を受けている」と述べた。
ブラジルのルラ大統領は、ベネズエラに対して米国が圧力を強化するなか「ベネズエラ
への武力介入は人道的大惨事となる」と警告した。米ホワイトハウスは24日、米軍に
対し、少なくとも今後2カ月間はベネズエラの石油の「封鎖」に専念するよう命じたこ
とが分かった。マドゥロ政権が米国に対して大幅な譲歩をしない限り、ベネズエラは来
年1月下旬までに経済的破綻に直面するとみられている。またトランプ米大統領と米軍
は25日、ナイジェリア北西部でイスラム過激派組織に対して空爆を行ったと発表し
た。
 第3四半期の米国内総生産(GDP)速報値は前期比4.3%増加した。伸びは第2
四半期の3.8%から加速し、過去2年間で最も速いペースでの成長となった。旺盛な
個人消費にけん引され、事前予想の3.3%を上回って成長した。12月の米消費者信
頼感指数は89.1と前月から3.8ポイント低下し、事前予想の91.0を下回っ
た。雇用と所得に対する不安の高まりを反映した。米新規失業保険申請件数は21万
4000件と、前週から1万件減少した。事前予想は22万4000件。減少したが、
雇用の伸びが鈍い状況が続いているため、失業率は高止まりしている可能性がある。C
MEのフェドウォッチで、米連邦準備理事会(FRB)の次回利下げは4月の確率が
44.2%(前週45.4%)となった。一方、トランプ米大統領は次期連邦準備理事
会(FRB)議長候補としてウォーシュ元FRB理事、ハセット国家経済会議(NE
C)委員長、ウォラーFRB理事の3人に面接した。米大統領は「金融市場が好調な時
は利下げしてほしい。私に反対する者は決して議長になれない」と述べた。ただウォラ
ー理事は、米大統領がFRBの独立性に異議を唱えた場合、「絶対に」FRBの独立性
を擁護すると述べている。
【欧米のプラチナ・パラジウムETF残高が増加】
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、24日のロンドンで11.00トン
(前週末10.93トン)、ニューヨークで43.10トン(同42.40トン)に増
加、23日の南アで6.47トン(同6.47トン)と変わらずとなった。またパラジ
ウムETFの現物保有高はロンドンで5.38トン(同5.32トン)、ニューヨーク
で19.85トン(同19.57トン)に増加、南アで0.30トン(同0.30ト
ン)と変わらずとなった。欧米のプラチナ・パラジウムETF残高が増加した。米国の
石油タンカー拿捕や金上昇を受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会
(CFTC)の建玉明細報告によると、12月16日時点のニューヨーク・プラチナの
大口投機家の買い越しは2万3293枚(前週1万9890枚)に拡大、パラジウムは
978枚買い越し(同18枚売り越し)に転じた。
【中国の不動産大手のデフォルト回避も先行き懸念】
 中国の不動産大手、万科企業の社債権者は、15日に償還期限を迎えた社債20億元
について、猶予期間を30営業日に延長する案を承認、土壇場で債務不履行(デフォル
ト)は回避された。万科企業は資金繰りに苦しんだ他のデベロッパーと同様、最終的に
債務再編を提案する前に、社債返済の短期的な猶予を複数回求める可能性が高いとみら
れている。米格付け会社S&Pグローバル・レーティングは、資金繰りが悪化している
万科企業の格付けを一部債務のデフォルトを意味する「選択的デフォルト(SD)」に
引き下げたと発表した。一方、中国政府は、外国からの投資を奨励する産業リストを改
定し、対象となるセクターを拡大した。税制優遇や用地価格の優遇などを通じ、長期化
する外資流入の減少に歯止めをかける狙いがある。
当面の予定(イベント・経済統計)
29日 米中古住宅販売仮契約指数 2025年11月(全米不動産協会)
    建玉明細報告(CFTC)
30日 米ケース・シラー住宅価格指数 2025年10月(S&P)
    シカゴ購買部協会景気指数 2025年12月(シカゴ購買部協会)
31日 中国製造業購買担当者景況指数 2025年12月(中国物流購買連合会)
    中国非製造業購買担当者景況指数 2025年12月(中国物流購買連合会)
    中国製造業購買担当者景況指数 2025年12月(RatingDog)
    米新規失業保険申請件数(労働省)
    米FOMC議事録公表 12月9-10日(FRB)
 1日 ●元旦
 2日 ●ニュージーランド(年始祝日)
    ユーロ圏製造業購買担当者景況指数 2025年12月確報(Markit)
MINKABU PRESS 東海林勇行
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