【前週のレビュー】ニューヨーク原油4月限は23日に67.28ドルまで上伸して年 初来高値をさらに更新したものの、その後は頭打ち傾向。米国のイラン攻撃の可能性残 り、今後数週間は、越週玉(とくに売り玉)は保有リスクが高いだろう。週末中に米国 のイラン攻撃が実施された場合、週明けのアジアの時間帯にギャップを開いて急騰する 可能性が高くなるとした。 【NY原油はイラン攻撃で80ドル台乗せ】 前回の当欄でその可能性を指摘した週末中の米国のイラン攻撃が現実のものとなり、 週明けのニューヨーク原油4月限は2日のアジアの時間帯の朝方からギャップを開いて 急騰して、期近つなぎ足ベースとして昨年7月以来の70ドル台に乗せとなった。その あと5日には82.16ドルまで急騰して、昨年1月以来の80ドル台乗せとなった。 目先は14日の相対力指数(RSI)が80を超えて、極めて買われ過ぎとなってい るが、米国とイスラエルのイランとの交戦は長期化することが予想されるうえ、最も注 目されているホルムズ海峡経由の石油輸出が事実上停止しており、現状では原油相場が 急落する要素に乏しい。今後80ドル台に定着してさらに上値を伸ばす展開も十分に予 想される。 今後の上値の目安としては、週足ベースで見ると、2024年4月の高値87.67 ドル、2023年9月の高値95.03ドルなどが挙げられるが、期近つなぎ足ベース のうえ、時期も古いためあまり意味はない。いずれにせよ、投機的な動きが加速しやす くなることを含めて考えると、ロシアのウクライナ侵攻による2022年以来の100 ドル台乗せもあながち不可能ではなくなってきた。゜ 材料的には、米国とイスラエルのイランとの交戦状況、とくにホルムズ海峡の封鎖が いつまで続くのかが焦点となる。ホルムズ海峡は世界の石油と液化天然ガス(LNG) の約20%が通過するエネルギー輸送にとって最も重要な海峡だが、現在同海峡の船舶 航行はほぼ停止している。 それに伴って、ペルシャ湾内の各国の石油貯蔵施設が数週間以内に満杯になるいわゆ る「タンク・トップ」の危機が迫っていることで、産油国は減産方針を打ち出してい る。イラクは日量150万バレル減産を近日中に同300万バレルの減産に引き上げる ことを明らかにした。またアラブ首長国連邦(UAE)、クウェートなども減産の方針 を打ち出した。3月2日に合意した石油輸出国機構(OPEC)プラスの4月からの増 産もほとんど意味のないことになってしまった。 2月28日の米国とイスラエルのイラン攻撃以降、この紛争に巻き込まれた国は12 カ国に達しており、イランはサウジアラビア、クウェート、バーレーンなど湾岸諸国に ミサイルやドローを発射し、イスラエルはこれまで12回もテヘランを空爆した。米国 はクウェート大使館業務を閉鎖。 イランではこれまでの死者が1230人に達して、米兵の死者も6人と発表されてい る。 また攻撃初日に死亡したイランの最高指導者、ハメネイ師の息子モジタバ師を後継者 にする動きをトランプ米大統領は拒否して、他国の指導者を自分で選定するつもりだ。 注目される原油価格の高騰についても、トランプ米大統領は「原油への圧力を減らす ための措置を間もなく実施する」と述べており、どのようなことが発表されるのか注目 したい。トランプ米大統領は一期目にもたびたび「口先介入」して原油価格を急落させ た「前科」がある。 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は米国のイラン攻撃以降大きく崩れる 展開となり、4万8000ドル台を割り込んだ。 ドルインデックスはイラン攻撃以降、ドル高が進展して99ポイント台に乗せてき た。 【米国、ホルムズ海峡護衛検討もイランのミサイル標的になる懸念】 トランプ米大統領がホルムズ海峡を航行する石油タンカーやその他の船舶の安全確保 のため、保険と海軍による護衛を提供する考えを示したことが報じられているが、これ は射程の短いイランの対艦ミサイルの絶好の標的になる可能性が懸念されている。イラ ンの保有する対艦ミサイル6種は中国製の射程最大120kmと短いが、ホルムズ海峡 は40kmしかないないため完全にカバーできるという。 【東京原油のテクニカル分析】 東京原油の6番限である8月限は上昇中のボリンジャーバントの1シグマ(6万 8580円辺り)と2シグマ(7万1810円辺り)で急騰。7万円の節目を大幅に上 回り、ここまでの高値は4日に付けた7万3000円。 【NY原油、ブレント原油のテクニカル分析】 ニューヨーク原油4月限は典型的なランナウェイ相場。上昇中のボリンジャーバンド の2シグマ(76.02ドル辺り)を大幅に上にはみ出して急騰。5日には80ドル台 に乗せた。 ブレント原油4月限もほぼ同様の展開。ランナウェイ相場となり、上昇中のボリンジ ャーバンドの2シグマ(82.04ドル辺り)を大幅に上にはみ出して急騰。5日には 85ドル台に乗せた。 MINKABU PRESS *投資や売買については御自身の判断でお願いします。
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