不確実性が不安を生み、目先ボラの高い相場に【ヴェロシュのウォール街 Watch】

配信元:株探
著者:Kabutan
●2026年2月の米国株式市場の振り返り(2026年3月配信)

「まず共に祈りなさい。そして、平和のうちに交わりなさい。」
――ヌルシアのベネディクトゥス(480年3月2日~547年3月21日)

 2月27日より週末にかけて、米国とイスラエルはイランを標的とする共同軍事作戦を開始し、イランの最高指導者ハメネイ師を含む40名超の高官が死亡したと報じられています。これに対しイランは報復措置として、同地域における複数の軍事および民間施設を攻撃しました。情勢の緊迫化を受け、世界の主要株価指数は下落し、原油価格はVIX指数とともに急上昇しています。

 状況は依然として極めて流動的であり、紛争の長期化や地域全体への波及拡大といったリスクも想定されます。軍事攻撃により中東のエネルギー輸送は既に深刻な混乱に陥っています。世界経済に深刻かつ長期的な打撃を与えるのは、持続的かつ大規模な原油ショックに限られると考えられますが、目先は高いボラティリティが続く可能性が高いです。日次のダッシュボードはこちら です。

 中東情勢の先行きは誰にも予測できません。人は「分からない」という答えを受け入れにくいものです。不確実性は不安を生み、世界の市場参加者の多くがポートフォリオのリスク縮小(デリスキング)を検討するでしょう。しかし、そのコストは決して小さくありません。危機局面ではヘッジコストが急騰する傾向があり、それに伴い、最も流動性の高い金融商品であっても取引執行時の摩擦(スリッページや取引コスト)が同時に増大します。通常、世界で最も取引されている証券はS&P 500に連動するETFですが、画面上のビッド・アスク・スプレッドはVIXの動きとほぼ比例して変動する傾向があります(下図参照)。言い換えれば、取引を行う必要がある場合は、スプレッドに留意しつつ慎重に執行することが賢明です。

 このような局面では、「血が流れるときに買え」というネイサン・ロスチャイルドの言葉が、しばしば引き合いに出されます。VIX指数が公表されて以降36年間のデータを見ると、確かにVIX指数が高水準となった後の30日間において、S&P 500指数は他の期間と比較して平均的に高いリターンを記録してきました(本稿執筆時点でいわゆる「恐怖指数」は23で、金曜(2月27日)終値比+4ポイント上昇、月曜(3月2日)早朝には25まで急騰しました)。もっとも、そのリターンの幅も非常に大きく、「左側テール」がより厚くなります。それでも、短期的な急落リスクを許容できる投資家にとっては、売却の必要性や意向を持つ市場参加者に流動性を提供する機会が生じているとも言えます。

 週末の出来事の前までは、世界の株式市場のセンチメントは強気でした。S&P Developed BMIは2月に1.6%上昇し、構成25地域のうち20地域がプラスを記録しました。中でも韓国とルクセンブルクはそれぞれ20%、17%と大幅上昇しました。また、S&P Emerging BMIは先進国市場指数を上回るパフォーマンスとなり、2月は2.5%の上昇を記録しました。特にタイの19%上昇が相場を主導しました。

 3月2日(月)朝の米国市場の取引開始にあたり、米株式市場全体は他のリスク資産と同様に下押し圧力を受けることが想定されました。一方で、相対的にアウトパフォームが見込まれるセクターの一つがエネルギーです。エネルギーは米国セクターの中で年初来最も好調で、すでに25%超上昇しています。なかでもエネルギー機器・サービスは、S&P Composite 1500の業種別分類において最も高いパフォーマンスを示しており、2026年に入ってから39%上昇、2月単月でも13%上昇しています。対照的に、ヘルスケア・テクノロジーは2月に21%下落し、年初来では33%下落しています。

[執筆者]
ベネデック・ヴェロシュ
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
指数戦略部門
ディレクター


 このレポートは、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本については こちらをご参照ください。

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