石油週間見通し=NY原油は再び100ドル台乗せも、これから戦争本番か

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【前週のレビュー】ニューヨーク原油5月限は乱高下続く。中東地域の戦争を巡る報道
で一方的に大きく動く展開。水準としては、突発的に100ドル台乗せもあるが、定着
は難しく、80ドル台後半〜90ドル台のエリアで激しく動いている。1日最低でも5
ドル幅ぐらいで動く(10ドル幅で動くこともよくある)極めてボラティリティ(変動
率)の高い相場付きとなっており、当面はそれが続きそうだとした。

【NY原油はこれからも100ドル台乗せ可能性残る】
 ニューヨーク原油は乱高下が続いている状況に変化はない。チャートを見ると、2月
28日の米国とイスラエルのイラン攻撃の前と後では全く違う値動きとなっているが、
5月限は昨年12月16日の安値54.97ドルから3月9日の高値113.41ドル
までの上げ幅に対する半値押し84.19ドル〜23.6%押し99.62ドルをコア
レンジとした値動きになってきた。直近は23日に付けた安値84.37ドルからの戻
り相場となっており、38.2%押しの91.09ドルを上回り、90ドル台半ばまで
上昇してきた。本稿執筆時の27日午後時点には93ドル台後半で推移。
 後述するように、戦争の本番はまだこれからと見れば、これからも100ドル台乗せ
の可能性は十分にありそうだ。

 材料的には、米国がイランに15項目の停戦案を提示したものの、イラン側がそれを
拒否する構えで停戦協議が始まる気配がないことが支援材料となってきたが、直近はト
ランプ米大統領がイランの発電所などのインフラ施設への攻撃を4月6日まで再び延期
することを表明したことで、ひとまず上値の重い展開となっている。
 ただ、近々の停戦合意の可能性は低く、ニュースサイト「アクシオス」によると、米
国がイランに対する「最終攻撃」として、原油輸出の拠点のカーグ島侵攻や、ホルムズ
海峡の要所のララク島への侵攻、内陸部での地上作戦、大規模な空爆によるウランの関
連施設の破壊などが検討されているという。
 また、米ウォール・ストリート・ジャーナルは、最大で1万人の地上部隊を中東に追
加派遣することを検討していると伝えている。戦争はこれからがむしろ本番と見た方が
良さそうだ。

 なお、米軍の地上作戦にはアラブ首長国連邦(UAE)が協力するとみられているこ
とで、イラン側も米国がハーグ島やその他のイラン領土に対して地上作戦を開始した場
合、標的とするUAEの攻撃対象リストを公開した。このリストにはUAE全域の脱塩
プラント(淡水化装置)、原子力発電所、およびその他の拠点となる電力施設が含まれ
ているという。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は下げ止まらない状況が続いており、
直近は4万5000ドル台まで下落している。4万5000ドルの節目を維持できるか
どうかに注目したい。
 ドルインデックスはドル高傾向に変化はないものの、今週に入り100ポイントの節
目が上値抵抗となっている。
【ロシア産原油、漁夫の利でアジアからの需要急増】
 イラン攻撃以降、ロシア産原油に対する世界的な風向きも変わって来た。イラン攻撃
前は、ウクライナ侵攻以降の欧米を中心とした対露エネルギー制裁により、ロシア産原
油の目ぼしい輸入国は中国とインド(両国で約80%)だけになり、そのインドもトラ
ンプの関税攻撃でロシア産の輸入を停止していたが、イラン攻撃後は世界的な供給ひっ
迫懸念からアジア諸国からのロシア産原油に対する引き合いが急増している。5年振り
にロシア産原油(シベリアのエスポ原油)の輸入を再開したフィリピンをはじめ、検討
中も含めると、ベトナム、タイ、インドネシア、スリランカなどが買い付けに乗り出し
ているという。
 需要が供給を上回ることも予想されており、ロシアにとってはまさに漁夫の利となっ
ている。

【東京原油のテクニカル分析】
 東京原油の6番限である8月限は一代高値9万3850円から暴落して、特大陰線を
引いた24日以降は、上昇中のボリンジャーバントの1シグマ(8万8300円辺り)
を上値抵抗とした値動き続く。

【NY原油、ブレント原油のテクニカル分析】
 ニューヨーク原油5月限も23日に大陰線でボリンジャーバントの1シグマ
(96.48ドル辺り)を割り込んだ後は、逆に同ラインが上値抵抗として機能してい
る。

 ブレント原油5月限もほぼ同様の展開となり、23日の大陰線でボリンジャーバンド
の1シグマ(106.93ドル辺り)を割り込んだが、100ドル台割れには下値の堅
さを見せており、26日には1シグマを再び上回って引けた。

MINKABU PRESS

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