プラチナはイランとの停戦交渉の延長を受け大幅上昇

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
 プラチナ(白金)の現物相場は、イラン戦争長期化の見方を背景とした有事のドル買
いを受けて調整局面を継続し、昨年12月以来の安値1742ドルを付けたのち、トラ
ンプ米大統領が早期撤退を示唆したことなどを受けて下げ一服となった。ただイランが
米国の停戦案を拒否し、戦争の恒久的な終結などを要求した。米大統領は合意に応じな
ければイランの発電所や橋を攻撃すると警告したが、発電所攻撃は戦争犯罪になると指
摘されており、攻撃期限を延期しながら脅しを繰り返した。市場ではTACO(トラン
プはいつも尻込みする)トレードを織り込んでいる。一方、イランは新防空システムを
稼働させ、米軍の戦闘機を撃墜した。乗組員の救出作戦が展開され、成功したが、輸送
機2機がイラン領内から離陸できず、破壊して撤退した。米大統領はこれまでイランの
制空権を確保したと主張していたが、疑問視される格好となった。濃縮ウランの奪取作
戦も検討されたが、不可能とみられたもようで、米大統領はホルムズ海峡の開放を要求
した。ただイランの友好国に限り、海峡を通過する船舶が増加しており、各国は独自で
動きつつある。日本時間の8日午前9時が米国とイランの停戦交渉期限であった。交渉
期限の直前にトランプ大統領はイランとの交渉期限を2週間延期するとの報道を受け、
原油価格が急落、金相場の急上昇を受け、プラチナ現物相場は2030ドル台まで大幅
に上昇した。ただイラン戦争は終結したわけではなく、このまま2000ドル台で安定
した値動きが続くかは不透明だ。
【米国のガソリン小売価格は4ドルを突破】
 米国でガソリンの小売価格が1ガロン当たり4ドルを突破し、ロシアがウクライナに
侵攻した2022年8月以来の高値となった。米国とイスラエルが2月末にイランを攻
撃し、イランがホルムズ海峡を事実上封鎖したことが背景にある。3月の米消費者信頼
感指数で1年後のインフレ期待は5.2%と前月の4.5%から大幅に上昇し、
2025年5月以来の高水準となった。ガソリン価格が高止まりすると、消費者心理が
悪化し、米国の景気後退につながる可能性がある。一方、3月の米雇用統計によると、
非農業部門雇用者数は17万8000人増加した。医療従事者のストライキが終結した
ことなどを受けて2月の落ち込みから回復した。2月は9万2000人減から13万
3000人減に下方修正された。ただイラン戦争長期化に対する懸念を受け、労働市場
の下振れリスクが高まった。
【プラチナETFから投資資金が流出】
 プラチナETF(上場投信)残高は4月6日の米国で39.09トン(2月末
44.47トン)、2日の英国で10.75トン(同11.51トン)、1日の南アで
5.03トン(同5.28トン)となった。イラン戦争長期化の見方で有事のドル買い
が警戒されるなか、投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の
建玉明細報告によると、3月31日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い
越しは1万6337枚(前週1万6198枚)に拡大した。2月10日の1万2084
枚を当面の底として拡大している。ただ売り玉の減少で買い戻しが入ったことが背景に
ある。買い玉も減少しており、安値拾いの買いは見送られた。
(MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行)
*8日、Yahoo!ファイナンスに掲載された記事を再配信します。


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