コモディティレポート(金)

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【NY金は中東情勢不安の長期化懸念の高まりで頭重い動きが続く】
 NY金6月限は4月17日に米国とイランの和平協議の進展期待を受け4917.7
ドルまで値を伸ばした。その後は米国とイランの和平協議が再開に至らず、米国とイラ
ンの戦争長期化懸念が強まるなか値を落としながらも4670ドルが支持線ななってい
たが、28日に4670ドルを割り込み、4567.6ドルまで値を崩し、3月31日
以来の安値をつけた。翌29日も軟調地合いを払しょくできず前日比46.9ドル安の
4561.5ドルと3月30日以来の安値で取引を終えている。
 約1か月振りの水準まで値を落とした背景は原油価格の再度、高騰していることが挙
げられる。トランプ米大統領が今月21日にイランとの無期限での停戦延期を発表した
ものの、その後は米国とイランの和平協議の再開見通しが立たないうえ、両国間の話し
合いに進展が見られないことで、米国とイラン戦争の長期化が警戒されている。原油高
でインフレ抑制のため、米金利の先高感が強く、ドル高が進みやすい環境だ。
 3月の米消費者物価指数は前年同月比+3.3%を記録し、インフレ高進傾向にあっ
た。また、3月の米小売売上高は前月比で+1.7%で事前予想の+1.4%を上回る
伸びを見せているが、その主因は前月比で+15.5%の大幅上昇を記録したガソリン
スタンドの伸び率にあった。
 2月28日に行われた米国によるイラン攻撃を受けNY原油は上昇傾向を強めたが、
3月上旬はまだ90ドルを下回る状態であり、NY原油の本格的な高騰は90ドルを上
回る値位置が定着した3月12日以降となる。4月に入り。NY原油は上旬に100ド
ル台で高下したうえ、ほぼ90ドルを上回る水準を維持し、3月に比べると高水準での
高下が続いている。
 そのため、4月の消費者物価指数(CPI)の前年同月比は3月時点の記録を上回っ
てくる可能性があるうえ、ガソリンスタンドの伸びが4月の小売売上高を更に押し上げ
る可能性がある。
 原油価格の高止まりはインフレ懸念を深めている。原油高が10年債の利回りを上昇
させている。特に米国とイランの和平交渉に進展が見られず中東情勢不安が長期化する
ことが見込まれる状況にあるだけに、米10年債の金利は高止まりする可能性がある。
 また、インフレ高進が見込まれるうえ、個人消費が堅調な状況下では米連邦準備理事
会(FRB)による利下げも見込み難い。米国とイランの和平協議に進展が見られない
限り、これらは引き続きNY金の上値抑制要因になりそうだ。
 なお、3月小売売上高ではその他雑貨は—0.9%、衣料品や スポーツなどは横ば
いにとどまっており、生活必需品の売り上げが増加する一方で嗜好品への支出が抑制さ
れている様子が示されていた。賃金が伸び悩む中でガソリン価格の高騰が続けば、嗜好
品への支出はさらに引き締められる可能性がある。
 米国では雇用統計において3月の賃金の伸び率は鈍化していたうえ、実質賃金は前月
比で−0.9%となっていたことが明らかとなっている。賃金が伸び悩む中での原油価
格の高騰継続は、米国の国内総生産(GDP)のうち約70%を占めている個人消費に
マイナスの影響を与えかねない。
 米経済へのネガティブな影響が警戒されるようであれば安全資産を求める資金がNY
金に再流入してくると見られるが、目先は中東情勢の長期化不安、エネルギー価格の高
騰が米10年債の利回り高止まりを促していること、さらにはFRBによる利下げ観測
後退が重石となり、NY金6月限は前週末までの支持線だった4600ドルが抵抗線に
転じたうえでの安値圏でのもみあいとなりそうだ。今後1週間の予想レンジは4480
〜4620ドル。ボラティリティ(変動率)が高くで広めにとった。
MINKABU PRESS

このニュースの著者

MINKABU PRESS

みんなの株式をはじめ、株探、みんかぶFX、みんなの仮想通貨など金融系メディアの 記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコン テンツなど幅広く提供しています。