【NY金に米国とイランの停戦合意期待や米経済不安から資金流入が続くか】 NY金6月限は4月21日以降は軟化に転じ4月28日に3月31日以来の4600 ドル割れとなった。その後、4600ドルを前後する動きが続くなど頭の重さを窺わせ る展開が続いた。5月に入ると軟化傾向を強め4日、5日と終値で4600ドル割れと なったが、6日に3ケタの上げ幅を記録する急伸に転じている。 NY金は米国によるイランへの攻撃が開始された2日後の3月2日に中東情勢不安か ら5474.4ドルの高値まで浮上したうえ、終値ベースで5350ドル台を記録。 その後も地政学不安を手掛かりにした買いが続き5200ドル前後での高下が続いた が、3月半ばに急落に転じた。短期での終了予想に反し、米国とイランの戦争長期化、 イランによるホルムズ海峡の事実上の封鎖を受けた原油価格の高騰を背景として値を落 とし、一時4128.5ドルまで下落した。 売り警戒感から買い戻されたが、4800ドル台まで値を戻すと頭打ちとなった。価 格が頭打ちの背景は、原油価格の高騰が続くなか、インフレ高進懸念が強まったうえ、 インフレ高進による米経済不安への高まりが米債券売りという形で現れるなか米10年 債の金利が上昇したことによるところが大きい。 さらに、米国の3月の消費者物価指数(CPI)や3月個人消費支出(PCE)がい ずれも前月2月の2%台から3%台に上昇したうえ、PCEは23年5月以来と3年ぶ りの高水準に達した。これらの経済指標がインフレ高進傾向を明らかにするなかで、米 連邦準備理事会(FRB)による利下げ観測が後退したことも金市場にとっての上値抑 制要因になった。 しかし、今月6日は米国とイランの戦闘終結に向けた覚書が合意に近づいていると伝 えられたことを受けてNY金は急伸に転じ、期近6月限は4600ドル台を一気に回復 したうえ、一時4700ドル台まで値を伸ばした。 原油価格の高騰や今後の中東情勢不安の見通し不透明感に対する意識が強まると同時 に、これが利下げ観測の後退を招いた結果、NY金が頭重い動きを強いられてきた反動 高場面を迎えたと見られる。 米国では利下げ観測が後退しているとはいえ、原油価格の高騰が小売売上高の増加を 促しながらも、必需品への支出が増加する一方で嗜好品への支出が抑制される動きが見 られていた。また、雇用情勢に関しても3月雇用統計では、雇用者数には強気な動きが 見られたものの、3月の賃金の伸び率は鈍化した結果、実質賃金は前月比で−0.9% に低下していたことが明らかとなっている。 原油価格自体は3月よりも4月の水準が高かったため、4月はインフレがさらに高進 したと見られる。このようななかで賃金に伸びが見られないようであれば、購買力が低 下し米国の国内総生産(GDP)へもマイナスの影響を与えるリスクも意識されること になる。 米国とイランが実際に戦闘停止で合意に至るかどうか、まだ見通しには不透明感が残 り、期待に反して物別れに終わった場合にはNY金は急伸後の反動場面を迎える可能性 がある。一方、戦闘停止で合意に至った場合には、利下げ後退観測の緩和に加え、原油 高が米国内の経済にもたらしたネガティブな影響に対する意識が強まり、引き続き安全 資産を求める資金が流入してくることになりそうだ。終値で4700ドル台回復となれ ば、先高感を持つ投資家が多いことを裏付けとなろう。 MINKABU PRESS
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