29日からの週は、ドル円相場が乱高下した。円売りが先行し、162円台後半と約40年ぶりのドル高・円安水準となった。米利上げ観測が根強い一方、日銀は政府の骨太方針などで利上げしにくい状況とみられた。しかし、政府による不意打ち介入の観測記事をきっかけに短期筋の円売りポジションに調整が入った。短期ボラが上昇し、市場は介入臨戦態勢に入っている。さらにドル売り圧力も調整を促した。ウォーシュ米FRB議長がインフレ圧力の後退を指摘し、市場が敏感に反応した。米雇用統計では雇用増のペースが急減速し、失業率が低下したものの労働参加率が低下したことなどが、ドル売り反応を誘った。ドル円は160円台後半に下落した。クロス円が下落する一方、ユーロドルやポンドドルはやや水準を上げた。週末は米独立記念日の振り替え休日となり、流動性低下が相場急変動に対する警戒感を広げた。 (29日) 東京市場は、小動き。ドル円は朝方に小幅下落して始まったものの、すぐに先週末の終値付近へと値を戻し、その後は161円台後半(161.61から161.88円)でのもみ合いに終始した。米国の利上げ期待が相場を下支えする一方で、為替介入への強い警戒感から上値トライも抑えられ、上下ともに方向感が出にくい状況が続いた。ユーロドルは先週末のドル高一服感から1.13ドル台後半での狭いレンジでもみ合っている。一方、ユーロ円は早朝の下落から反発し、午後にはロンドン勢の本格参加やアジア株高を背景としたリスク選好の円売りによって184.40円台まで上昇した。ポンドドルは1.32ドルを挟む展開で大きな流れにはならず、ポンド円は円売り主導で213.80円台へと上昇する堅調な動きを見せている。 ロンドン市場では全体としてやや円安とドル安の動きが見られたが、原油価格や米債利回りが落ち着いていることもあり、主要通貨は先週末のレンジ内に収まった。明日以降に予定されているJOLTS求人件数やADP雇用統計といった一連の米雇用関連指標の発表を控えて、市場全体には様子見ムードが広がっている。ドル円の相場は161円台後半での取引となり、162円への接近に伴う介入警戒感やオプションの影響により高値圏での神経質な推移が続いた。ユーロドルは1.14ドル付近へと買われた後に上昇が一服し、ユーロ円はロンドン勢の参加とともに買いが優勢となり184円台後半へと高値を更新した。ポンドドルは1.32ドル台前半に上昇し、ポンド円も214円台に乗せるなど、円売りとドル売りが主体的であった。 NY為替市場では、ドルの戻り売りが優勢となったものの、根強い円安圧力がドル円を下支えする展開となった。日本政府の「骨太の方針」が日銀に対して緩和政策からの極めて緩やかな正常化を求めたとの見方が円の重しとなった一方、米FRBの年内利上げ期待も根強く、日米金利差が縮小する気配は見られない。ドル円は162円台には届かなかったものの、約40年ぶりの高値水準での推移を維持し、ユーロ円やポンド円といったクロス円も上昇した。ユーロドルは1.14ドル台へと買い戻され、ECBフォーラムでのタカ派姿勢への期待が相場を下支えしている。ポンドドルは1.3260ドル近辺まで上昇し、次期首相候補であるバーナム氏の財政規律を重んじる姿勢を示した演説もポンドのサポート材料として強く意識された。 (30日) 東京市場では、円売りが優勢。ドル円は前日の海外市場からの勢いを引き継いで上昇し、1986年12月以来となる162円台の大台に乗せた。仲値にかけては実需のドル買い・円売り需要が高まり、ストップロス注文を巻き込んで一時162.40円まで上値を伸ばした。米国の早期利上げ期待によるドル高に加え、日経平均株価が一時1000円を超える大幅高となったことでリスク選好の円売りが進んだ。さらに、政府の「骨太の方針」によって日銀の利上げ期待が後退したことも、ドル円の堅調な地合いを強力に支えている。ユーロドルは強いドル高に押されて1.1383ドルまで下落し、ポンドドルも1.3223ドルへと値を下げた。クロス円もドル円の上昇につれ高となったが、対ドルでの売りが重石となり、その後は高値圏でのもみ合いに終始している。 ロンドン市場では、日米欧の中央銀行における金融政策スタンスの違いが明確に意識され、全般的にドル買いが優勢となる展開が続いた。ドル円は162円台前半という約40年ぶりの歴史的な高値圏での推移となり、浅田・日銀新審議委員によるハト派的な発言が円売りを促したものの、大規模なオプション設定や政府・日銀による実弾介入への強い警戒感が上値を抑える要因となった。ユーロドルはドイツのインフレ鈍化を示す指標や追加利上げへの慎重な発言を受けて上値が重く、1.14ドル付近の大型オプションに引き寄せられる形でもみ合った。ポンドドルも全般的なドル高の流れに押されて一時1.32ドル台前半まで下落している。夜に控えた米雇用関連指標の発表を前に、市場全体に次の展開を待つ様子見のムードが広がっている状況である。 NY市場では、ドルが途中から売り優勢に転じたものの円安の地合いも根強く、ドル円は一時162.65円付近まで上値を伸ばした。財務省の直近1カ月の介入額がゼロだったことが公表され、急速な売りが出てもすぐに買い戻される展開が続いている。イラン情勢の緩和による原油安は見られたが、FRBの年内利上げ期待が温存される一方で日銀の追加利上げには慎重な見方が多く、日米の金利差は当面縮小しないとの観測からドル円の上値追いが意識された。ユーロドルは買い戻しが入って1.14ドル台を回復し、ユーロ円も185円台後半へと上昇して底堅い値動きを見せている。また、ポンドドルはNY時間に入って買い戻しが膨らみ一時1.3275ドル付近まで上昇、ポンド円も円安の動きから215円台半ばまで上値を広げている。 (1日) 東京市場で、ドル円は前日からのドル高の流れを継続する形で午前中から上昇し、昼過ぎには162.84円まで上値を伸ばして堅調な地合いを維持した。ベッセント米財務長官が翌日発表の雇用統計について強い結果を示唆したことがドル買いを誘引した形である。午後に入ると利益確定などにより小幅な調整が入りもみ合い展開となった。その後、三村財務官が為替介入や日米関係に関して円安を強く牽制する発言を行ったことで一時的な円買い反応が見られたが、その動きは限定的な範囲にとどまった。一方、ユーロドルはドル高の影響を受けて上値が重くなり1.14ドル台前半で推移し、ポンドドルも同様に1.32ドル台へと値を下げた。クロス円のユーロ円やポンド円も、対ドルでの売りが波及してやや上値の重い展開となった。 ロンドン市場では、2日の米雇用統計に対する強い結果への期待感からドル買いが優勢となったものの、値動きは通貨ごとにまちまちな展開となった。ドル円は日米金利差を下支えとして162円台後半での底堅い推移を維持したが、すでに介入の危険水域にあるとの強い警戒感から神経質な売買が交錯し、一段の上昇スピードは抑制されている。一方、ユーロドルはユーロ圏の消費者物価指数の伸び鈍化や原油安を背景に7月の追加利上げ観測が後退し、1.13ドル台後半まで軟調に推移した。対照的にポンドは新政権に対する政策期待が早くも市場で好感されたことで底堅さを発揮し、ポンドドルでは1.32ドル台で下げ渋る動きを見せている。NY市場での前哨戦となる各種指標の発表を前にして、全体として神経質な相場環境が続いた。 NY市場では、堅調な米経済指標や日米金利差を背景にドル円の上値追いが続き一時162.80円近辺まで上昇した。しかし、途中からFRBのウォーシュ議長がインフレリスクの低下に言及したことで市場が敏感に反応し、米債利回りの低下とともにドル売りが強まって一時162.30円付近まで下落する場面もあった。ファンダメンタルズの観点からドル高・円安が進みやすい環境であるが、財務省の介入警戒が過度な動きを抑え込んでいる。ユーロドルはFRB議長発言で一時反発したものの再び1.13ドル台へと下落し、本格的な回復の兆しは見られない。ポンドドルは英中銀総裁の経済減速発言で下落した後にドル売りを受けて1.32ドル台後半へ買い戻された。次期英財務相人事への思惑が今後の見通しを左右する材料として注目されている。 (2日) 東京市場は、円買いの動き。ドル円は午前中の162円台半ばでの推移から午後に入って162.13円まで値を下げる展開となった。下落の引き金となったのは、財務省が今後の円買い介入において事前にサインを送らず不意打ちで実施する可能性があるとの一部報道である。今晩に予定されている重要な米雇用統計の発表や、3日の米国休場に伴う市場の流動性低下といった要素も重なり、今後の為替介入に向けた強い警戒感が急速に広がった。この結果、ポジションを整理するための円買いの動きが優勢となった。一方、欧州通貨は対ドルで落ち着いた動きを見せ、ユーロドルは1.13ドル台後半、ポンドドルは1.33ドルへとそれぞれ小じっかり上昇した。しかし対円では円買い圧力に押され、ユーロ円やポンド円はともに軟調な推移となっている。 ロンドン市場では、円買い圧力が継続。日本政府・日銀による不意打ちの実弾介入に対する警戒感が急激に高まり、円買い・ドル売り主導の極めて神経質かつ乱高下する相場となった。東京午後の報道をきっかけに、今晩の米雇用統計や週末の米休場に伴う流動性枯渇を見越して投機筋の円売りポジション巻き戻しが一気に加速した。ドル円は介入警戒とストップロスを巻き込み、一時160.91円まで急落して安値を更新した。途中で161円台後半へ急速に買い戻されるなど激しい動きを見せた。オプション市場のボラティリティも急上昇し、市場は完全に介入の臨戦態勢に入っている。このドル安の流れを受けてユーロドルは1.14ドル台へ高値を更新し、ポンドドルも上昇した。対照的にクロス円は強烈な円買いの波に押され、軒並み急落する展開となった。 NY市場では、米雇用統計が市場予想を大きく下回ったことを受けてドル売りが加速し、ドル円は一時160.65円付近まで急落した。非農業部門雇用者数の増加が予想から半減、失業率低下の一方で労働参加率の低下が影響し、FRBの利上げ期待が一段と後退する結果となっている。さらに、翌日の米独立記念日振替休日による薄商いや、日本の為替当局による不意打ち介入への強い警戒感が重なり、積み上がった円ショートポジションの利益確定売りを巻き込む形で急速に円が買い戻されている。ユーロドルはドル安の恩恵を受けて一時1.14ドル台半ばまで上昇したが、ユーロ円はドル円の急落に連れ安となり183円台へと大きく値を下げた。ポンドドルも1.33ドル台後半へと買い戻された一方で、ポンド円はドル円とともに214円台へと下落する展開となった。 (3日) 東京市場で、ドル円は買戻し先行も午後には上値を抑えられた。昨日の介入警戒感と弱い米雇用統計を受けた急落から一服し、ドル円は朝方に161.52円まで買い戻された。しかし米早期利上げ期待の後退を背景に上値は重く、その後は161.20円前後での揉み合いに終始した。今晩の米国市場は独立記念日の振替休日で休場となるため、薄商いのなか流動性低下に伴う突発的な値動きへの警戒感が続いている。一方、欧州通貨に対しては午後にかけてドル売り・円売りが優勢となった。ユーロドルは朝方の1.1421ドルから1.1455ドルへ、ポンドドルも1.3335ドルから1.3377ドルへ反発。これに伴いクロス円も底堅く推移し、ユーロ円は一時184.57円、ポンド円は215.46円まで上昇するなど、総じて「ドル安・円安」の展開となった。 ロンドン市場は、ドル円が下げ渋っている。ロンドン朝方には161円台割れから一時160.49付近まで急落する場面があった。薄商いのなかで円買いフローが持ち込まれている。ただ、その後はすぐに買戻しが入っており、足元では161円台前半と前日NY終値付近に買い戻されている。ユーロドルは1.14台前半から後半へと買われ、ドル売りが優勢だが、足元では1.14台半ばでのもみ合いに落ち着いている。ポンドドルも1.33台前半から後半へ買われたあとは1.33台半ばへ押し戻されている。このあとのNY市場が米独立記念日の振り替え休日となることから、ロンドン勢は早じまいとなっているようだ。米債利回り動向などの手掛かりもなく、欧州株や米株先物・時間外取引は高安まちまちの推移。NY原油先物は68ドル台での取引が続いている。ただ、週末やNY休場を控えた薄商いのなかで政府・日銀による円買い介入への警戒感は残っている状況だ。 独立記念日振替のため米国市場は休場。
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