【通貨別まとめと見通し】ユーロ円:パニック相場からの脱却と修復の1週間、静かなる買い戻しで184円台後半へ 先週から週明け(8月10日〜8月17日)のまとめ 前回レポートで警戒されていた「ボラティリティの極めて高い修復相場」とは打って変わり、先週の市場は急速に落ち着きを取り戻す展開となった。月曜(10日)早朝に182.02円まで下押しする場面はあったものの、そこを週間の大底として下値を着実に切り上げる動きが継続した。 歴史的暴落をもたらしたパニック的な円買い(円キャリー取引の巻き戻し)が一巡したことで、市場は極端なリスクオフ姿勢から脱却。溜まっていたショートポジションの買い戻し(ショートカバー)が優勢となり、週半ばは183円台後半での日柄調整を消化。週末から週明け(17日)にかけては上値を伸ばし、184円台後半(一時184.77円)まで回復した。暴落前の水準には遠く及ばないものの、「どこまで下がるか見えない」恐怖からは解放され、健全な修復・自律反発局面へと移行している。 詳細な値動きの振り返り ■ 売り一巡と183円台での日柄調整(8月10日〜13日) 週明け10日(月)早朝に182.02円の安値をつけた後は押し目買いが優勢となった。同日中に183円台を回復すると、11日(火)から13日(木)にかけては183.50〜183.90円台の非常に狭いレンジでの値動きに終始した。先週までの1日に数円動く異常なボラティリティは嘘のように影を潜め、嵐の後の静けさの中で、戻り待ちの売りを丁寧にこなす日柄調整が続いた。 ■ レジスタンス突破と184円台へのシフト(8月14日〜15日) 膠着状態が崩れたのは14日(金)の海外時間。底堅い推移を続ける中で徐々に買い遅れ組の参入やショートの買い戻しが強まり、22:00台には上値を抑えていた節目である184.00円を突破。そのまま184円台前半で高値引けとなり、明確にレンジを一段上へとシフトさせて週末を迎えた。 ■ 週明けの続伸と184円台後半への到達(8月17日〜足元) 週明け17日(月)も前週末の良い地合いを引き継ぎ、朝方からじりじりと上値を切り上げる展開となった。欧州・NY時間にかけても崩れることなくジリ高基調が続き、夜間(22:00台)には184.77円の高値を記録。足元(18日昼現在)も184.60〜184.70円台で推移しており、底堅さと買い戻し意欲の強さを示している。 ファンダメンタルズ分析 欧州側:パニックの後退とリスク資産への資金回帰 8月初旬に世界中の金融市場を襲った「リスクオフの津波」が急速に後退し、株式市場をはじめとするリスク資産に落ち着きが戻ったことが最大の要因である。パニック的な投げ売りが収束したことで、ユーロは本来のファンダメンタルズ(底堅い経済指標やECBの政策スタンス)に基づく評価を取り戻しつつある。過度な安全資産への逃避が巻き戻され、リスク通貨としてのユーロを買い戻しやすい地合いが形成された。 日本側:「円キャリー巻き戻し」の一巡と過度な警戒感の後退 歴史的な大暴落の主因であった「円キャリー取引の大規模な巻き戻し(アンワインド)」が、一旦の終息を見せたことが確認された。また、日銀の金融政策を巡る過度なタカ派警戒感(連続利上げへの恐怖)が、市場の混乱を受けてやや後退したことも、円買い圧力を和らげる要因となった。マグマのように噴出した圧倒的な円買いエネルギーが枯渇したことで、自律的な反発(円売り)が入りやすい需給環境となっている。 テクニカル分析 トレンド判断 179円台での歴史的底打ちから、明確な「修復・反発トレンド」へと移行している。暴落時の強烈な陰線を少しずつ埋め戻す動きとなっており、時間足レベルではきれいな上昇チャネルを形成している。 しかし、日足レベルで見れば依然として「暴落後の自律反発」の域を出ておらず、頭上には大量の戻り売り圧力(シコリ)が控えている。現在は、前回のレポートで「当面の大天井」と指摘したレジスタンス(184.50 - 185.00円)の帯域に突入しており、ここを明確に上抜けられるかが最大の焦点となる。 【ユーロ円 主要なレジスタンス・サポートライン】 (上値抵抗帯) レジスタンス3: 186.20 - 186.50円 (暴落直前に揉み合っていた水準。最大の真空地帯を抜けた先の最終防衛線) レジスタンス2: 185.00 - 185.20円 (心理的節目である大台。オプション等の防戦売りが出やすい水準) レジスタンス1: 184.80 - 184.90円 (直近高値圏であり、足元で上値を抑えているテクニカルな壁) (下値支持帯) サポート1: 183.80 - 184.00円 (先週末に突破したレジスタンスが、ロールリバーサルにより強力なサポートに転換) サポート2: 183.00 - 183.20円 (先週前半に揉み合った下値固めのコア水準) サポート3: 182.00円 (10日につけた週間安値。ここを割れると再び地合いが悪化) 今週のポイント・見通し 今週の最大の焦点は、先週からのジリ高基調が「185円の大台」を突破できるかどうかである。パニック相場は終息したが、ここからの上値追いは、暴落時に逃げ遅れたロング勢の「やれやれ売り(戻り売り)」との熾烈な需給のぶつかり合いとなる。 【メインシナリオ】185円手前での攻防激化、高値圏でのもみ合い(日柄調整) ショートカバー主導の反発が184円台後半〜185円近辺で一旦の限界を迎え、上値の重さが意識される展開。大台の185.00円を前に戻り売り圧力に押され、突破に時間を要すると見込む。下値は183円台後半〜184円台のサポートに支えられ大きく崩れることはないものの、上値も重い「新たなレンジでの日柄調整」に移行する。 想定レンジ: 183.50 - 185.50円 根拠: 短期的な買い戻しの一巡、185円という強力な心理的・テクニカル的節目、上値に残存するシコリに対する消化期間の必要性。 【対抗シナリオ】185円突破からのショートカバー再加速で186円台回復へ 市場のリスクオン姿勢が一段と強まり、戻り売りを吸収しながら185.00円のレジスタンスを明確に上方ブレイクする展開。185円を超えると、売り方のストップロス(損切り)を巻き込んで上昇スピードが加速し、暴落前の保ち合い水準であった186円台前半に向けて、真空地帯を一気に駆け上がる可能性がある。 想定レンジ: 184.00 - 186.80円 根拠: リスク資産の全面高による円売りの再燃、テクニカルな節目突破によるモメンタムの発生、売り方の踏み上げ。 総評 先週のユーロ円相場は、歴史的な暴落による市場の阿鼻叫喚から一転し、極めて静かで着実な「修復の1週間」となった。異常なボラティリティ環境から正常な市場環境へと回帰したことは、投資家にとって歓迎すべき変化である。相場のテーマは「底値探り」から「戻りの限界点の見極め」へとシフトしている。 足元では184円台後半まで順調に回復しているが、暴落時に生まれた巨大な「負の遺産(含み損を抱えたポジション)」が完全に解消されたわけではない。安易な上値追いは危険であり、185円という大台を前にして、市場がどのようなプライスアクションを見せるか(突破するのか、叩き落とされるのか)を慎重に見極めるフェーズに入っている。 今週の主な予定 ユーロ圏 08/18 18:00 ZEW景況感指数 (8月) 前回 23.4 08/19 17:00 経常収支 (6月) 前回 251.0億ユーロ (季調済) 08/19 18:00 消費者物価指数(HICP・確報値) (7月) 予想 2.9% 前回 2.9% (前年比) 08/19 18:00 消費者物価指数(HICP・確報値) (7月) 予想 2.5% 前回 2.5% (コア・前年比) 08/20 18:00 建設業生産高 (6月) 前回 0.4% (前月比) 08/20 18:00 建設業生産高 (6月) 前回 1.2% (前年比) 08/21 17:00 製造業PMI(購買担当者景気指数・速報値) (8月) 予想 51.7 前回 51.9 08/21 17:00 サービス業PMI(購買担当者景気指数・速報値) (8月) 予想 51.5 前回 51.7 08/21 23:00 消費者信頼感指数(速報値) (8月) 予想 -16.4 前回 -15.9 ドイツ 08/18 18:00 ZEW景況感指数 (8月) 予想 29.5 前回 26.3 08/20 15:00 生産者物価指数 (7月) 予想 0.6% 前回 -0.3% (前月比) 08/20 15:00 生産者物価指数 (7月) 予想 2.2% 前回 1.8% (前年比) 08/21 16:30 製造業PMI(購買担当者景気指数)(速報値) (8月) 予想 52.1 前回 52.2 08/21 16:30 非製造業PMI(購買担当者景気指数)(速報値) (8月) 予想 50.1 前回 49.8 フランス 08/21 15:45 企業景況感 (8月) 前回 97.0 (企業景況感) 08/21 16:15 製造業PMI(速報・購買担当者景気指数) (8月) 前回 49.8 08/21 16:15 非製造業PMI(速報・購買担当者景気指数) (8月) 前回 49.6
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