ドル円、154円台まで買い戻される 水準よりもスピードに警戒との指摘も=NY為替概況 きょうのNY為替市場、ドル円は154円台まで買い戻されていた。ただ、円相場はここ1週間で急速に上昇し、東京時間には一時152円台まで円高が進んでいる。FRB関係者のタカ派発言や強い米雇用統計といったドル買い材料が存在するにもかかわらず、円が買われる異例の展開となっている。 日銀の金融政策に対する観測の変化も背景の1つにある。タカ派な日銀審議委員から連続利上げや大幅利上げを示唆する発言が飛び出し、それを否定する発言も出ないことから、市場では従来の想定以上のペースで利上げが進むとの見方が急速に強まった。 警戒されているのは円高の水準よりも「スピード」であるとの指摘も出ている。過去には急激な円高に伴う円キャリー取引の巻き戻しが世界的な株安を引き起こした経緯があり、今回もポジション解消の連鎖が懸念されている。もっとも、日本当局の意図は155-160円を長期的な円安の下限としつつ、急変動を抑えた緩やかな円上昇軌道への誘導にあるとの指摘も多い。 円高は輸出企業を中心に日本株の短期的な重しとなる一方、ドル離れの受け皿として円が選好される可能性も秘める。日米の金融政策格差の縮小を背景に、円相場は世界市場の動向を左右する波乱含みの局面を迎えているという。 ユーロドルは1.16ドル台での上下動に終始。リバウンド相場は続いているものの、本日1.1635ドル付近に来ている200日線の下での推移が続いており、上値が抑制されている模様。一方、円高が急加速しており、ユーロ円は東京時間に177円台まで急落する場面が見られた。しかし、NY時間にかけて買戻しが続き、東京時間の下げは解消している。 今週は10日木曜日にECB理事会が開催され、利上げが確実視されている。むしろ市場の焦点は、今回の利上げを長期的な引き締め局面の次の一歩と位置付けるのか、それとも今後の政策について選択肢を残すのかに移っている。 アナリストは、ユーロ圏経済がECBの想定以上に底堅く推移していることから、ECBはタカ派姿勢を示す可能性が高いと指摘。高水準のエネルギー価格に加え、今後の賃金上昇加速を示唆する指標や、市場ベースのインフレ期待の小幅な上昇も、ECBが物価上振れリスクを警戒する要因になると見ている。また、ECBは今回の理事会で成長見通しを引き上げると予想されている。利上げ自体はほぼ織り込み済みのため、金融市場では声明やラガルド総裁の会見を通じ、追加利上げの可能性をどの程度示唆するかが注目されそうだ。 ポンドドルは、1.35ドル台での膠着した展開。先週からの買い戻しの流れは続いているものの、本日1.35ドル台半ばに控える21日線には慎重なようだ。一方、急速な円高が続いており、本日のポンド円は207円台まで一時急落。昨年2月以来の安値水準に下落していた。 来週は英中銀も金融政策委員会(MPC)があるが、据え置きが確実視されており、短期金融市場では90%超の確率で据え置きを織り込む展開。委員の間では、早期利上げを求める意見と、経済や物価の動向を見極めたいとする慎重論との温度差が広がっており、政策ガイダンスも変更されないと予想されている。前回7月会合では6対3で据え置きを決めていた。 アナリストは利上げ時期を11月に後退させている。英経済が予想以上の底堅さを示す一方、エネルギー価格の上昇が長期化しており、賃金やサービス価格などへの二次的なインフレ波及を警戒する必要があると指摘。11月には新たな経済・物価見通しも公表され、利上げの環境が整うと見ているようだ。ただ、利上げを実施した場合でも、連続利上げの始まりではなく、あくまでインフレ上振れリスクに備えた保険的な利上げになるとの見方も示している。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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