米財務省の発表でドル高が優勢に 米国債買い戻しプログラムに失望感=NY為替概況

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
米財務省の発表でドル高が優勢に 米国債買い戻しプログラムに失望感=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、米財務省の発表でドル高が優勢となり、ドル円も一時153円台後半まで買い戻される場面が見られた。米財務省は、拡充した米国債買い戻しプログラムの第1弾として長期債を9月10日に最大60億ドル購入すると発表。買い戻し額は当初示していた上限20億ドルの3倍にあたる。ただ、市場ではさらに大規模な買い戻しへの期待もあっただけに、失望感に繋がっていたようだ。

 しかし、154円台が重くなっているようで、上値を抑えられている。日銀の金融政策を巡る変化に加え、ベッセント財務長官の積極的な円安けん制姿勢も円買いを促しているようだ。

 オプション市場でも一段の円高に備える動きが広がっている。ヘッジファンドの間では、ドル円が年末までに150円を割り込むシナリオを想定した取引に加え、期間が長めの取引では140円までの円高を視野に入れる動きも出ている。先週発表された堅調な米雇用統計にもかかわらず円が底堅さを維持したことで、円高基調への見方が強まっており、テクニカル面での悪化も円ショートの解消を促している。

 ただ、海外のストラテジストからは、最近の急激な円高の持続性に懐疑的な見方も出ている。日銀が市場の織り込みを上回るペースで追加利上げを進めるのは難しく、むしろ今回の円高によって追加利上げを急ぐ必要性が薄れる可能性も指摘されている。また、日本当局は円安だけでなく、急激な円高も好ましいとは考えておらず、150円に近づくほど円の一段高へのハードルは高くなるとの見方も出ていた。

 ユーロドルは1.16ドル台での推移が続いた。ユーロ自体の動意はなく、専らドルの動きに左右されている。200日線が1.1635ドル付近に来ているが、現在はその水準で次の展開待ちの状況となっている。一方、ユーロ円は円高の動きから下げが加速しており、本日も178円ちょうど付近まで一時下落する展開。

 明日はECB理事会が開催され、利上げがほぼ確実視されている。アナリストは、明日の利上げに引き続いて年内に追加利上げに踏み切れば、金融政策を意図的に景気抑制的な領域へ移すことになるとの見方が出ている。明日利上げを実施した場合、中銀預金金利は2.50%となり、一般的に中立金利のレンジ上限と考えられている水準に到達すると指摘。そこからさらに利上げすれば、金融政策が景気を明確に抑制することになるという。

 特に足元のインフレ圧力はエネルギー供給ショックによる部分が大きく、金融政策では供給そのものに働きかけることができない。このため、コアインフレや賃金上昇率が再び加速しない限り、今回の利上げを最後にECBは利上げを当面見送るとの見方を示している。ただ、短期金融市場では年内もう1回の利上げを見込んでいる状況。

 ポンドドルは1.35ドル台半ばでの方向感のない展開が続いた。特段の材料もなく、専らドルの行方に左右される展開。一方、円高の動きからポンド円は下値模索が続き、一時207円台半ばまで下落している。

 アナリストは、英国ではエネルギー高によるインフレの二次的影響が生じる可能性は低いとの見方を示している。2022年のインフレ局面と比べて労働市場の需給が大きく緩んでいることが背景にあるという。その上で、英中銀は政策金利をしばらく据え置き、今回のインフレショックが一時的だったことを確認した後、利下げを再開すると見ているようだ。

 イラン紛争前から国内のインフレ圧力が鈍化していたことに加え、政策金利がすでに景気抑制的な水準にあり、金融環境も引き締まっていることから、英中銀には当面情勢を見極める余地があるという。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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