2日からの週は、中東情勢と米中間選挙を軸に市場心理が大きく揺れ動いた。週初はホルムズ海峡でのタンカー爆発を受けて原油高とリスク回避が意識されたが、米国が外交的解決を模索する姿勢を示したことで過度な警戒感は後退し、円売りが優勢となった。しかし市場の関心は次第に米中間選挙へ移行し、投資家は結果判明を前に積極的なポジション形成を控えたため、ドル円は157円台後半から158円台後半を中心とする神経質な推移が続いた。週半ばには民主党優勢との報道を受けてAI投資抑制への懸念が広がり、株安と円高が急速に進行したものの、その後は政治的不透明感の後退や原油安を背景に市場心理が改善し、株価とともにドル円も反発した。ただ週後半には、民主党主導による規制強化や将来的な財政引き締めへの警戒から再びリスク回避姿勢が強まり、米株が急落。ドル円は上値の重い展開となった。英中銀は予想通り利上げを発表、今後の追加利上げの必要性を示唆も、次回12月の行動についての明言は避けられた。総じて今週は、中東情勢、原油価格、米政治情勢、金利動向が相互に影響し合うなか、市場が強気と弱気の間を行き来しながら方向感を模索する一週間だった。 (2日) 東京市場で、ドル円は午後にかけて底堅く推移した。週明けの東京市場では、週末にホルムズ海峡でタンカーが爆発炎上したとの報を受け、朝方は中東の地政学リスクを意識した円買い・ドル買いが先行。しかし、ルビオ米国務長官がトランプ大統領の外交的解決の意向を伝えると、時間外のNY原油先物が下落し過度な警戒感が後退した。リスク選好の円売り主導で、ドル円は午後に157.99円まで買われた。もっとも、節目の158.00円手前では戻り売り圧力が強く、さらに朝方前日比300円超の下げから一時300円超の上昇へ反発していた日経平均株価が、引けにかけてマイナス圏へ転じたこともドル円の上値を抑える要因となり、高値をつけてからは157.70円割れまで押し戻される展開となった。 ロンドン市場は、ドル売りが先行する展開となった。週明けの欧州勢参加に伴い、原油相場の下落や米長期債利回りの低下、さらに翌日に控えた米中間選挙前のポジション調整が重なり、ドル売りを誘発した。特に対欧州通貨でのドル売りが顕著となり、ユーロドルは1.12台前半へ、ポンドドルは1.34台半ばへと上伸。ドル指数は9月下旬以来のドル安水準まで低下した。しかし、欧州市場が本格化するとドル売りは一巡。ユーロドルやポンドドルは反落した。ドル円は、本日NYカットで157.00円および158.00円に大規模なオプション設定が観測されていたことから、引き寄せ効果によって157円台半ばから158円ちょうど付近にかけて上下に振幅する動きとなった。 NY市場で、ドル円は157円台後半での底堅い推移が続いた。ドル安が見られたものの、クロス円での円安が下値をサポートした。トランプ大統領がイラン攻撃再開前に外交交渉を見極める意向と報じられ、イラン側も承認したことで原油が急落し、リスク回避のドル高は一服した。市場ではAI関連株の動向と原油価格の間で方向感を探る展開が続いており、中間選挙も控えて上昇・下落双方のリスクが拮抗した。一方、日銀の金融政策を巡っては12月や来年3月の利上げ観測が根強いものの、中東情勢の沈静化に伴いエネルギー価格の押し上げ寄与は将来的に縮小するとの見方も出ている。ユーロやポンドは買戻しで一時上昇したものの、欧州の政治的テールリスクや中東情勢を受けた難局から上値の重さが意識された。 (3日) 東京市場は「文化の日」の祝日のため休場。 ロンドン市場では、ドル買いが優勢となった。前日に大幅下落していた原油相場がこの日は反発し、インフレ警戒感とともにドル買い圧力を強めた。米中間選挙を前に米国とイランの協議進展が期待されていたが、イラン外務次官が米軍との衝突や緊張状態を言及したことで進展への期待が後退。アジア時間にやや弱含んでいたドル円は、ロンドン勢の本格参入に伴って157.75円付近から158.30円付近まで上昇した。ユーロドルは1.12台に乗せた後に1.1176円付近まで軟化し、ポンドドルも1.34台前半から1.34台割れへ押し戻された。中銀高官からのタカ派的発言もあったが、欧州株や米株先物の軟調さも背景に全体としてドル買い・リスクオフの動きが目立った。 NY市場でドル円は上値追いが続き、158円後半まで上げ幅を拡大させた。明確な円安材料は見当たらなかったものの、200日移動平均線が位置する158.60円付近の突破を試す展開となった。もっとも、9月下旬以降に上値を抑えられてきた節目でもあるため抵抗感も示された。投資家は中間選挙、米雇用統計、イラン情勢という複数の要因を前に慎重姿勢を強めており、レンジを突破しやすい地合いとなっていた。一方、欧州ではECB理事のナーゲル独連銀総裁が、エネルギー高騰による二次的影響のリスクを挙げ、12月の理事会で利上げに踏み切る可能性が高いとの見解を示した。これを受けてユーロ円は177.65円付近まで買い戻され、21日線を上抜ける動きを見せた。 (4日) 東京市場では、米中間選挙の開票が進み、民主党の優勢が報じられると市場は激しく動揺した。民主党勝利によるAI投資抑制への懸念から株式市場が暴落し、日経平均株価は一時3000円を超える急落となった。リスク警戒から猛烈なドル売り・円買いが進行し、ドル円は朝方の158.74円から昼過ぎに157.41円まで下落。ユーロドルやポンドドルもドル売り主導で急伸した。しかし、トランプ大統領が劣勢を認める発言をして大勢が判明すると市場のパニックは一服。日経平均が安値から2000円以上押し戻されるとともに、リスク回避の円買いも収束し、ドル円は158円台を回復する急反発を見せた。 ロンドン市場は、株価の回復とともに全面的な円安の動きが優勢となった。東京午前は米中間選挙での民主党勝利に伴うAI投資抑制への警戒から株安・円高が進んだが、午後以降は安堵感へとムードが大きく変化。欧州株が買い優勢で始まり上げ幅を拡大すると、為替市場でもリスク選好の買い戻しが入った。ドル円は157円台半ばから158円台半ばへと大幅反発し、ユーロ円も177円台前半から178.40円超へ急伸した。市場では民主党勝利の影響に対する見方が前向きに修正された格好となった。一方でドル売りの流れも根強く残り、ユーロドルは1.12台後半、ポンドドルは1.35手前まで上振れるなど、政治対立や中東情勢の警戒感を残しつつも円安主導の展開となった。 NY市場では、ドル円が158円台半ばへと買い戻された。民主党の上下両院圧勝とトランプ大統領の協力姿勢を受け、イラン情勢やインフレの早期解決期待から原油が急落。米株式市場が急騰したことで市場はポジティブに反応し、円安がドル円を下支えした。しかし、トランプ政権が拒否権や大統領令、通商関税を多用する可能性からドルへの不安も残る。ユーロドルは1.1270ドル付近まで買われた後に21日線付近へ伸び悩んだがリバウンド傾向を維持。ポンドドルは200日線を上抜けて1.35ドル台へ上昇した。翌日に英中銀(BOE)の金融政策委員会を控え、過度な利上げ織り込みへの牽制が懸念されつつも、堅調なインフレ指標を背景に節目を意識した展開となった。 (5日) 東京市場で、ドル円は朝の高値158.44円をピークにドル売り・円買いが優勢となった。原油相場が民主党勝利後に一段と下落したことがドル安を誘発。さらに前日の米株高にもかかわらず、日経平均株価が1000円を超える大幅下落となったほか、ハイテク株の失速を受けて韓国や台湾などアジア株式市場が全面安となったため、リスク回避の円買いが広がった。ドル円は昼過ぎに157.79円まで下落し、その後も157円台後半でもみ合いが続いた。ユーロドルは原油安を背景にしたドル売りに押し上げられ、前日高値に迫る1.1268ドルまでじり高となった。ポンドドルは英中銀の政策発表を控えて小幅なもみ合いにとどまった。 ロンドン市場では、ドルの買い戻しが強まった。東京市場で進んだ原油安と米金利低下によるドル売りは、ロンドン勢の参入とともに反転。NY原油先物が86ドル台から88ドル台へ反発し、米10年債利回りも4.88%付近へ上昇したことで、リスク選好のドル買いが広がった。ドル円は157.79円付近の安値から158.40円付近へ上昇し、東京時間の下げを完全に打ち消す「往って来い」の展開となった。ユーロドルは1.1268ドルから1.1225ドル付近へ反落し、ポンドドルも1.35手前から1.34台半ばへと軟化した。クロス円は手控えムードが強く、この後に控える英中銀の金融政策発表と0.25%利上げ内容、総裁会見を見極めようと方向感を欠く推移となった。 NY市場では、前日のリスクオンから雰囲気が一変し、米株式市場の急落とともにリスク回避の円高が進行した。民主党圧勝によるAIデータセンター建設規制への警戒から半導体・関連株が激しく売られ、市場全体へリスクオフが波及。また、民主党政権下での将来的な増税や財政引き締め見通しも重押しとなった。ドル円は200日線および21日線を下割り、157円台半ばまで下落した。一方、英中銀(BOE)は市場予想通り利上げを実施したものの、来年のインフレ率5%到達警告やベイリー総裁のタカ派発言を受けて12月追加利上げ観測が急浮上した。フランスの財政懸念からユーロ売りの実需圧力が強い中、翌日の米雇用統計を控えて神経質な展開となった。 (6日) 東京市場では、リスク警戒の「ドル買い」と「円買い」が交錯した。韓国株の急落や日経平均の一時4300円超安(大引け3643円安)などアジア株が総崩れとなる中、朝方は円買いが先行。その後は米雇用統計の発表を控えた思惑も交錯し、持ち高調整とドル買い戻しが入り神経質な推移となった。ドル円は朝方に157.26円まで下落後、158.01円まで反発し、午後は157円台後半でもみ合いが継続。一方、欧州通貨はドルと円の双方に対して軟調に推移した。ユーロドルは1.1235ドルから1.1191ドルへ、ポンドドルも1.3464ドルから1.3422ドルへ安値を広げた。クロス円も戻りが鈍く、ユーロ円は176.49円まで下落後に176円台後半へ押し戻され、ポンド円も211円台後半と上値の重い展開が続いた。 ロンドン市場は、ドル買いが継続。この日の主役は株式市場となっている。前日に米株が下落した流れを受けて、東京・アジア市場も株式が大幅安となった。欧州株も序盤から淡々と下げ幅を拡大しており、下げ止まる気配はみられず。そのなかで、為替市場ではドル買いが進行している。ドル円は158円台前半へと高値を更新。ユーロドルは1.11台後半、ポンドドルは1.33台後半へと安値を広げている。米10年債利回りは4.82%付近から4.85%台での振幅。NY原油先物はトランプ大統領とカタール首長が電話会談したとの報道で一時89ドル付近まで下落も、足元では91ドル台と値を戻している。クロス円はロンドン朝方に円高方向に振れる場面があったが、ロンドン午前には値を戻しており、ユーロ円176円台後半、ポンド円212円付近と前日NY終値付近に落ち着いた。 NY市場は、ドルの買い戻しが優勢となる中、ドル円は158円台半ばに上昇。本日は米株式市場も落ち着きを取り戻し、ドル円の下値をサポートした。本日は10月の米雇用統計が発表されたが、強い内容となった。非農業部門雇用者数(NFP)は16.5万人増と予想を大きく上回り、失業率も労働参加率の上昇にもかかわらず、4.1%に低下していた。平均時給も予想を上回った。ただ、数字の割には市場の反応は鈍かった印象。
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