今週のまとめ8日20日から8月24日の週

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 20日からの週は、ドル円とクロス円がともに上昇した。週初にトランプ米大統領がFRBの利上げ路線を批判、中国と欧州は為替を操作している、との発言が飛び出し、その後の市場は混乱した。ドル円は109円まで下落。しかし、株式市場は利上げけん制を好感し、米S&P500が最高値を更新する動きに。トルコ市場がほぼ1週間休場となり、不安材料が減ったこともあってリスク選好的な動きが続いた。日経平均は月曜の下げのあとは4連騰。ドル円は111円台を回復、ユーロ円やポンド円もほぼ一貫して上昇した。円安の動きが前面に押し出されたことで、ドル相場は方向性が錯綜。新興国通貨ではドル高の動きが根強いものの、主要通貨ではクロス円の上昇がドル安圧力となった。ユーロドルは一時1.16台を回復、ポンドドルは1.29台を付ける場面があった。ただ、英国とEUのと離脱交渉が再開したものの進展はみられず。むしろ、合意なき離脱に備える動きがでている。米中が事務レベルで通商協議を行ったが、23日には互いに追加関税措置を実施した。トランプ米大統領に関しては不倫問題やロシア疑惑などの報道や、南アの白人農場主に関する調査を要求するなど不安材料も多かった。人民元、南アランドへの売り圧力がみられた。来週のトルコ市場の再開でリラがどのような動きをみせるか。


(20日)
 東京市場は、比較的落ち着いた週明けスタートだった。ドル円は110円台半ばでの上下動にとどまった。米国人牧師の解放をめぐる動きに進展がみられず、やや円高の動きも110.40近辺までの下げだった。トルコ市場は本日が短縮取引、あすから金曜日まで全休となる。リラ相場がやや底堅く推移したことも安心感に。ユーロドルは1.14台前半での揉み合い。ドル円とともに前週末水準を踏襲した。

 ロンドン市場は、小動き。その中ではユーロ売りとポンド買いが優勢。週明けはトルコリラ相場が落ち着いた値動きとなっており、イタリア債も小動き。欧州株は堅調な推移。NY原油先物は65ドル台後半を中心とした揉み合い。全般にリスク動向は落ち着いての週明けスタートとなっている。そのなかで、ユーロドルは1.14台前半で小安い。一方、ポンドドルは1.27台前半から後半へと買われている。ブレグジット交渉の再開報道を好感。ドル円は110円台後半での揉み合いが続いている。

 NY市場は、トランプ発言でドル売りが強まった。ブルームバーグが関係者の話として、トランプ大統領がパウエルFRB議長の利上げ姿勢に不満をもらしていると報じた。さらに、ロイター通信が「FRBの利上げには同意しない。中国、欧州は為替を操作。今週の貿易協議で中国から多くを予想せず」などといった大統領の発言を伝えた。ドル円は終盤にかけて110円ちょうど近辺まで下落。ユーロドルは1.1485近辺まで上昇。ポンドドルは1.27台後半で底堅く推移。

(21日)
 東京市場は、ドル円の下落が一服。朝方には一時110円割れとなり109.75近辺まで下押しされた。前日のNY市場で、トランプ大統領によるパウエル議長の利上げ路線批判があったことが尾を引いた。ユーロドルは1.15台に乗せると1.1540台へと急伸。下げていたユーロ円が上昇に転じる動きに、ドル円も110円近辺へと下げ渋った。ユーロ円は126円台前半から一時127円台まで上伸。

 ロンドン市場では、ドル円、クロス円が上昇。欧州株が堅調に推移するなかでドル円は110.29レベルまで上昇。ユーロ円は126円台後半での揉み合いから127.16レベルへと一段高。ポンド円も141.55レベルに高値を伸ばした。トランプ大統領のFRB利上げ路線批判は株式市場には歓迎されたようだ。ユーロドルは1.15台前半で、ポンドドルは1.28台前半で強もちあい。英国ではEU離脱交渉が再開した。

 NY市場では、リスク選好的なドル安・円安の動き。米株式市場でS&P500が最高値を更新したことや、原油も堅調に推移するなど全体的にリスク選好ムード。ドル円は110.55近辺まで一段高となった。ユーロドルは1.16台に一時上昇、ポンドドルは1.2925近辺まで買われた。カプラン・ダラス連銀総裁は、漸進的に中立水準まで利上げを行うべき、中立水準にはもう3回か4回利上げが必要との認識を示していた。トランプ大統領の発言もあって、金曜日のジャクソンホールでのパウエル議長の講演への注目度が高まっている。
 
(22日)
 東京市場は、ドル円が底堅い。朝方は円高が優勢で、110.03レベルまで下落。しかし、大台割れは回避され、日経平均の上昇とともに午後には110円台半ばへと反発。米国とメキシコのNAFTA再交渉がまもなく合意されるとの報道が円売りを誘った。その後否定されたが反応薄。ユーロドルは狭いレンジでの推移。クロス円はドル円の動きに沿った値動き。

 ロンドン市場は、ユーロ買いが優勢。前日にトランプ大統領がEU製自動車に対する関税について警告する発言をしており、対ドルでのユーロの買戻し圧力がショートカバーの動きを誘った面が指摘される。ユーロドルは1.15台後半から1.16台前半へ、ユーロ円は127円台後半から128円台へと上昇。ポンド相場は下に往って来いも、対ユーロでは軟調。ブレグジット協議に具体的な進展は報じられていない。ドル円は110円台前半での揉み合い。

 NY市場では、ドル円が小高い。株式市場が底堅く推移しており、円安の動きがドル円をサポート、一時110.60近辺まで買われた。米債利回りは序盤の下げを戻した。FOMC議事録では、大半が追加利上げがすぐに適切になると見ていることが明らかとなった一方で、貿易と住宅、新興国市場が下振れリスクとも指摘していた。ドル売り反応は一時的。ユーロドルは1.16台前半で小動きも、6日続伸の流れ。ポンドも1.29台を回復している。いずれも調整主体との見方が多い。 

(23日)
 東京市場は、ドル高・円安の動きが強まった。ドル円は110円台半ばから110.90近辺まで上昇。日経平均が3連騰となりドル円とともに買われた。ユーロドルは1.1550割れとなるなどドル買いの動きが優勢。豪ドルが軟調。ターンブル首相への退陣要求が強まっており、主要閣僚が辞任する事態となっている。南アランドも軟調。トランプ大統領が南アでの白人農場主からの土地収用について調査を命じたとのツイッターが背景。

 ロンドン市場は、ドル買いが先行したが取引中盤にかけて反落。ポンドドルの下落がドル買いを主導した。英政府が合意なき離脱に備えるプランを公表するとしており、ポンド売りを誘った。まだ、北アイルランド国境問題が交渉の障害として残っているという。しかし、取引中盤にはドル買いに対する調整が入り、あっさりと買い戻された。トランプ米大統領は、自分が弾劾されれば市場は崩壊するだろう、と発言。ユーロドルも日中の下げを戻す動き。ドル円は111円手前での揉み合い。豪ドル/ドルは豪政治情勢の混乱を嫌って上値が重く、安値水準での揉み合いにとどまっている。

 NY市場では、ドル買いが優勢。前日のFOMC議事録は、貿易問題や新興国問題にもかかわらずFRBはタカ派姿勢を堅持していることが示され、市場は9月利上げの確率を90%まで高めている状況。トランプ大統領はFRBの利上げ姿勢に苦言を呈しているが、米地区連銀総裁の発言を聞くと、追加利上げを支持する発言が多く聞かれ、圧力には屈しない姿勢も。そのような中、明日予定されているジャクソンホールでのFRBのシンポジウムを前にドルは買い戻しが入っている。ドル円は111円台を回復。ユーロドルは1.1530近辺まで、ポンドドルは1.28台前半まで下落。米新築住宅販売件数は弱い内容となったものの反応は限定的。

(24日)
 東京市場は、ドル円やクロス円が堅調。4連騰の日経平均とともにドル円は111.49レベルまで買われた。ユーロ円が128円台へと上昇、ユーロドルも1.15台後半に反発。豪ドル買いが目立つ動き。ターンブル首相が党首選に出馬せず、退陣を決めた。早速、ターンブル派のモリソン財務相が反対派ダットン前内相を破って勝利、次期首相に決定した。市場に安心感を与えて豪ドル買いに。

 ロンドン市場は、ドル安と円安の動きが優勢。序盤にドル買いと円買いは限定的にとどまった。その後は、ドル安、円安の動きが再燃。ポンドドルは1.28台割れを試してサポートされると、ショートカバーの動きが誘発され1.28台後半へ。ポンド円も143円台に乗せて高値を更新今日の注目イベント、パウエルFRB議長のジャクソンホール講演を控えてのポジション調整に。前日のドル買いが巻き戻される方向となっている。ドル円は111円台前半で高止まり。

 NY市場は、ジャクソンホールで行われたパウエルFRB議長の講演を受けてドル売りが優勢となった。議長は従来通りに漸進的な利上げ姿勢を示した一方で、「インフレが2%超で加速する明らかな兆候はなく、経済の過熱リスクは高まっていない」との認識も示した。米国債利回りも上げ幅を縮小しドル円も値を落とした。ただ、111円ちょうど付近に来ている21日線を試す動きまでは見られずに111円台は堅持している。米株式市場でダウ平均が堅調に推移しており、リスク選好の円安の動きがドル円をサポートしたものと見られる。 

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