きょうのNY為替市場はジャクソンホールで行われたパウエルFRB議長の講演を受けてドル売りが優勢となった。議長は従来通りに漸進的な利上げ姿勢を示した一方で、「インフレが2%超で加速する明らかな兆候はなく、経済の過熱リスクは高まっていない」との認識も示した。 スタンスが従来から大きく変わった印象はないが、為替市場はドル売りムードが強まっていることもあって、「過熱リスクは高まっていない」との言及に敏感に反応したようだ。 米国債利回りも上げ幅を縮小しドル円も値を落とした。ただ、111円ちょうど付近に来ている21日線を試す動きまでは見られずに111円台は堅持している。米株式市場でダウ平均が堅調に推移しており、リスク選好の円安の動きがドル円をサポートしたものと見られる。ユーロ円は一本調子の上げを続けた。 午後に入ってトランプ大統領が「北朝鮮は非核化に向けた進展が不十分でポンペオ国務長官には今回は北朝鮮に行かないよう伝えた」との発言が伝わった。ドル円も瞬間的に売らられ111.10円近辺まで値を落とす場面も見られた。ただ、直ぐに戻している。 一方、ユーロドルは1.16ドル台を回復し、一時1.1635ドル付近まで上昇。きょうの上昇で21日線がサポートされた格好となっており、来週以降もリバウンド相場の流れが続くか注目される。 ユーロドルは6月から7月にかけてのレンジ相場内に再び戻している。しかし、ファンダメンタルズの状況に変化はなく、ECBの利上げが早まる状況にはない。そのレンジ相場の上限は1.18ドルちょうど付近だが、その水準を目指すにはファンダメンタルズの後押しもしくは、ECB内の変化などもう一段の材料が欲しいところではある。 ポンドも買いが優勢。ポンドドルは一時1.2880ドル近辺まで上昇したが、21日線が控える1.2895ドルの水準には到達していない。ただ、週足のローソク足は7週間ぶりに明確な陽線を見せている。 来週は重要な英経済指標もなく、もっぱらポンドの焦点は英EU離脱協議に集中しそうだ。来週もラーブEU離脱担当相とバルニエ首席交渉官との協議が予定されている。ラーブ担当相は10月までに合意できると自信を示していたが、市場ではなお懐疑的な見方が根強い。 minkabu PRESS編集部 野沢卓美
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