今週のまとめ5日28日から6月1日の週

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 28日からの週は、イタリアの政治情勢をめぐり市場が混乱した。イタリアでは五つ星運動と同盟がコンテ氏を首相とする連立政権の樹立を目指すなかで、EU懐疑派のサボナ氏を財務相に推したことが市場にリスク回避の動きを広げた。サボナ氏指名について伊大統領が拒否、早期の再選挙との見方も。しかし、両党はサボナ氏を他のポストに移し、新たにトリア氏を財務相としたことで事態は収拾した。週前半はイタリア債が急落、イタリア株も下落。週後半は反対方向に急転回した。スペインではラホイ首相の不信任決議が可決したが、市場は織り込み済み。ドル円は108円台から109円台で、ユーロ円は124円台から128円台で下に往って来いの1週間だった。来週にかけては米通商問題が再び火種となる可能性があり、しばらくは経済統計よりも政治面が相場のテーマとなりそうだ。


(28日)
 東京市場は、ドル円が上昇。週末に米朝首脳会談の再開に向けた動きが強まり、リスク警戒が後退したことが背景。また、イタリアの新政権に関連して五つ星と同盟が推したコンテ氏の組閣を大統領が拒否したこともユーロ買い・円売りを誘っていた。EU離脱懸念が後退したことが好感された。ドル円は一時109.83近辺まで買われたが、その後は109円台前半へと失速。ユーロドルは1.17台乗せ、ユーロ円は一時128円台半ばまで買われた。

 ロンドン市場では、ユーロが下落に転じた。ユーロドルは1.17台前半まで上昇したあとは下落に転じ、安値を1.1639レベルまで広げた。ユーロ円も128.54レベルを高値に127.25レベルまで大幅反落。イタリア情勢が混沌としている。コンテ首相が拒否されたことで、再選挙は免れないとの見方が広がった。イタリア株は上昇して始まったが、下落に転じると2%超安に。独債利回りも上昇から低下に転じ、ユーロ相場を圧迫。ドル円は109円台前半での取引。トルコリラが買われた。中銀が政策金利の簡素化を発表、1週間レポ金利を16.5%に引き上げたことが買いを誘った。

 NY市場はメモリアルデーのため株式・債券市場が休場。
(29日)
 東京市場は、小動きもリスク警戒の動きが継続。ドル円は109円台半ばが重く、109円近辺での揉み合いに。イタリア情勢の不透明感を背景に株安の動きが広がり、月末を控えた輸出の円買い注文も持ち込まれたもよう。ユーロドルは1.16台前半と前日からの安値圏での揉み合い。次の材料待ちに。

 ロンドン市場では、リスク回避の動きが強まった。イタリア政情不安を背景に、イタリア債が急落、独伊10年債利回り格差が300bp超へと急拡大した。イタリア株は一時3%超安に。ユーロ主導でドル高・円高のリスク回避の動きが強まった。ユーロドルは一時1.1510レベルに。ユーロ円は125.06レベルまで売り込まれた。ドル円は米債利回り低下とともに108.43レベルまで下落。五つ星党首は決してEU離脱を求めていないと述べたが、相場の戻りは限定的。

 NY市場では、再び円高の動きが強まった。イタリアでは早ければ夏にも選挙との報道が流れ政情不安が広がった。米株式市場でダウ平均は一時500ドル超安となった。ドル円は一時108.10近辺まで下落。その後の戻しは108円台半ばまで。ユーロドルは1.15ドル台前半、ユーロ円は125円ちょうど近辺まで一時下落。ポンド円も143.20近辺まで下押し。イタリア再選挙ではポピュリスト政党が勢力を増すリスクが意識されている。

(30日)
 東京市場は、小動き。ドル円は108円台半ばを挟んでの揉み合い。朝方はやや円高方向に動き、108.35近辺まで下落。その後は108.79近辺までの上昇。米10年債利回りの上下動をにらんで小幅に振幅した。ユーロドルは1.15台前半と前日の下落を受けた安値圏で推移。日経平均が一時400円超安となったが、為替市場での円高は一服。

 ロンドン市場では、リスク回避の動きが一服。ユーロ主導で、円売りやドル売りの動きが広がっている。ドル円も上昇。この日はイタリア株や債券の下落が一服。イタリア政局については、再選挙の可能性など引き続き不透明感が残るが、前日のパニック的な反応に反動が入っている。ユーロドルは1.15台半ばから1.16台前半へ、ユーロ円は125円近辺から126円台後半へと反発。ドル円は108円台後半から109円手前へとじり高。

 NY市場では、ドル円が一時109円台を回復。ロンドン市場からの前日の反対売買の動きが継続している。この日はADP雇用統計や米GDP改定値が発表になり、ADP雇用統計は予想を下回る内容となったものの、目立った反応はみられず。ユーロ円の上昇とともにユーロドルも1.16台半ばまで反発。ポンド円は145円台まで上昇。また、カナダドルが買われている。カナダ中銀声明で、利上げに慎重という文言が削除されたことが早期利上げ観測を広げた。

(31日)
 東京市場は、落ち着いた値動き。ドル円は109円台が重く、売りが先行したが108円台半ばはサポートされた。日経平均が堅調に推移、米債利回りがしっかりしており、リスク動向の落ち着きがドル円の下支え。イタリア政局への警戒感が後退したことが背景。反EU色の強いサボナ氏を財務相から別のポストで入閣させるとの報道があった。

 ロンドン市場では、反発相場が継続。イタリア政治情勢が落ち着くとの見方。イタリア株や債券が上昇。複数の伊世論調査でEU残留を望む声が過半を占めたと報じられている。ユーロドルは一時1.17台を回復、ユーロ円は127円台後半へ。5月ユーロ圏消費者物価速報は、エネルギー価格を反映して前年比+1.9%に上昇。4月ユーロ圏失業率は8.4%に低下。その他主要通貨でも円安・ドル安の動き。ドル円は一時109円ちょうどをつけた。

 NY市場では、米貿易問題が再浮上した。ロス米商務長官が、トランプ政権はカナダやメキシコ、欧州からの鉄鋼、アルミ製品の輸入に関税を賦課すると言及。ダウ平均や米10年債利回りの低下とともにドル円は一時108.40近辺まで下落。しかし、その後は月末絡みの実需と見られるドル買いに108円台後半に戻した。ユーロドルは1.16台後半での振幅。この日発表された米個人支出、PCEデフレータ、シカゴPMIなどは強い内容だったが、市場は反応薄。政治に関心が集まっていた。

(1日)
 東京市場では、ドル円が堅調。日銀は買いオペを減額、ドル円は一時売りに反応した。しかす、直ぐに買いが湧き出て108.70近辺から109円台に乗せた。日経平均も買われた。一部には、買いオペ減額分がETF買いに回るとの見方もでていた。午後には109.24レベルまで上昇。一方、ユーロドルは1.16台後半で軟調。ドイツ銀行の格下げ報道に反応。

 ロンドン市場は、値動きが落ち着いた。イタリアの政治情勢がひとまず落ち着いたことが背景。スペイン議会ではラホイ首相の不信任決議が可決したが反応薄だった。欧州株はイタリア株主導で堅調に推移。米債利回りもやや上昇。ドル円は109円台前半、ユーロ円は127円台後半などで底堅く推移した。ユーロドルは一時1.17台を回復も上値追いの勢いには欠けて1.16台後半で揉み合った。

 NY市場は、この日発表になった米雇用統計やISM指数が予想を上回る強い内容となった。今月のFOMCでの利上げ期待を追認する内容でもあり、あと3回の利上げの可能性も高める内容ではある。為替市場も素直にドル買いで反応したものの、何れも戻り待ちの売りに押される展開も見られている。ドル円は指標発表後に一時109.70近辺まで上昇し、本日の21日線付近まで上昇したが、上値を拒まれている。 

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