きょうのNY為替市場はドル買いが優勢となった。この日発表になった米経済指標は予想を下回るなど、ドル買いの特段の材料はない。前日の米株式市場では、これまで上げを先導してきたIT・ハイテク株の利益確定売りが強まっていたが、きょうは買い戻されており安心感が出ていたのかもしれない。 米税制改革法案が上院で通過し、上下両院協議会での協議に移っている。年内法案成立への期待感も高まる中、年末でもあり、これまでのドルショートの調整が出ているものと思われる。 なお、8日に米暫定予算が失効し、債務上限の期限が訪れるが、マコニル共和上院院内総務は2週間ほどの暫定予算をできるだけ早く成立させると述べていた。オバマ政権時のように上下両院でねじれ議会になっておらず、与党共和党内でも政府機関の閉鎖は回避すべきとの考えが強いことから市場も楽観的に見ているようだ。 ただ、あくまで年末に向けた調整の範囲で、本格的なドル高と見ている向きは少ない印象。 ドル円はNY時間に入って買い戻しが優勢となり112.85円付近まで一時上昇。前日は113円台に乗せたものの上値抵抗が強く戻り売りに押されていた。きょうは一時112円台前半まで下落していたものの、NY時間に入って買い戻された格好。ただ、ドル円も前日上値を拒まれた113円に接近すると上値抵抗が強まり伸び悩んでいる。 一方、ユーロドルはNY時間に入って戻り売りが強まり、一時1.18ドルちょうど付近まで下落。サポートとなっていた1.1830付近を下回りストップを巻き込んでいる。ただ、1.18割れを試したものの割り込むことなく1.18ドル台は維持された格好。ユーロドルの上値期待は依然として強く、下がったところでは押し目買いを推奨する声も根強い。 目先のサポートとしては100日線が来ている1.1795ドル付近、そして、21日線が1.1785ドル付近に来ており意識される。 ポンドはNY時間にかけて買い戻しが見られ、ポンドドルは1.34台、ポンド円は151円台に買い戻されている。ロンドン時間の朝方に売りが強まり、ポンド円は一時150円台半ばまで下落していた。 前日のメイ英首相とユンケル欧州委員長との会談ではEU離脱交渉の第1フェーズを合意できなかった。市民の権利や負担金については概ね合意に至ったようだが、ここに来てアイルランドの国境問題で英領北アイルランドが難色を示した模様。離脱後も北アイルランドに関してはEUルールを適用するという内容だが、これを北アイルランドの民主統一党(DUP)が嫌ったようだ。 メイ英首相は週内にも協議を再開するとしているが、事態が国境問題となれば、話は簡単ではなく、来週のEU首脳会談までに打開できるか市場も懸念している模様。 minkabu PRESS編集部 野沢卓美
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