今週のまとめ11月6日から11月10日の週

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 6日からの週は、ドル高の動きが一服した。前半に好調だった株式市場が後半には利益確定売りに押されており、次第に調整ムードが広がった。ドル円は114円台後半まで上昇したあと、113円台前半まで反落。ユーロドルは1.15台半ばでサポートされており、1.16台へとやや買い戻されている。米国では税制改革への期待があったが、上院共和党法案では法人減税の19年への先送りが盛り込まれており、期待が萎んでいた。次期FRB議長にパウエル氏が指名されたが、市場は織り込み済み。日経平均は1992年1月以来の高値をつけたあとは利益確定売りに押されて週末をむかえている。欧州通貨はまちまち。ユーロにとってはEUがユーロ圏の成長見通しを引き上げたことがECB理事会後の下落相場に調整を促した。一方、ポンドは相次ぐ閣僚辞任でメイ政権の弱体化が懸念されるなかで、EU離脱交渉も成果が出ず、対ユーロでの売りが優勢。ただ、週末にかけてはショートカバーも入る神経質な動きだった。資源国通貨もまちまち。原油高でカナダドルは買いが優勢。NZドルは中銀の利上げ見通し前倒しで買いの反応。一方、豪ドルは中銀が金融政策を据え置き、声明での強調材料もなく中立的な動きが続いた。


(6日)
 東京市場で、ドル円は上下動。朝方はドル買いが先行、114.70台まで上昇。前週末の米雇用統計は予想を下回る結果だったが、NY市場では売り反応を消す動きとなっていた。週明けもストップ注文を伴ってドルが買われた。しかし、日本株に加えて香港株が大幅安となり、ドル円は114.20台まで反落。その後は114円台前半にとどまった。クロス円もドル円とともに上下動。

 ロンドン市場では、円買いが優勢。欧州株が軟調に推移し、ユーロ円を中心に円買い圧力がみられた。ユーロ円は132円台後半から前半へと軟化。ドル円は一時113.96レベルまで下落。ドイツ製造業受注は予想を上回ったが、各国製造業PMIは伸びを欠いた。プラートECB理事は、大規模な緩和策が依然として必要と述べた。ポンドは対ユーロでの買いフローで下値はしっかり。ポンド円は149円台半ばでの揉み合い。NY原油先物上昇も、資源国通貨は小動き。

 NY市場では、ドル売りが優勢。特段の売り材料も見当たらない中、ドルは戻り売りに押された格好となったが、先週は下院共和党による米税制改革案の提出や次期FRB議長にパウエル氏が指名されたことで、週明けの市場は一服感が出たのかもしれない。ドル円は113円台に下落。ユーロドルは序盤の1.15台から1.16台へ回復。ポンドドルは1.3170近辺まで上昇。

(7日)
 東京市場で、ドル円はしっかりの展開。日経平均が一時400円超高、1992年1月以来の高値と活況な株式市場。ドル円は114円台乗せとしっかりも、上値追いの動きは限定的。12時半に政策金利発表があった豪ドルは基本的に小動き。直近のCPIの弱さもあり、声明がより緩和的になるとの思惑もあり発表まで少し軟調。発表後は小高い動き。

 ロンドン市場は、欧州株をにらんで神経質。序盤はドル高が先行。欧州株の反発スタートとともにドル円は114.30台まで上昇。しかし、欧州株が下げに転じると114円手前へと上昇一服。ユーロドルは米債利回り上昇で1.16台割れから1.1550台まで下落。ユーロ円は132円台前半から131円台後半へ。独鉱工業生産は予想下振れ、一方で英ハリファックス住宅価格は予想を上回り4ヶ月連続の上昇。ポンドは対ユーロでは堅調に。

 NY市場では、調整的なドル売り。ドル円は再び113円台に下落した。主要な米経済指標の発表もなく、引続き材料は見当たらないもののドルの上値は重い。米株や米国債利回りが利益確定の動きを見せておりドルを圧迫していたようだ。ユーロドルは1.15台後半へと下げ渋り。午後になってイエレンFRB議長のスピーチが伝わっていたが、金融政策や経済についての言及はなかった。

(8日)
 東京市場で、ドル円は113円台後半での揉み合いに終始。朝方、上院共和党の指導部が法人減税の大半に関して、実施を一年先送りすることを検討と米紙が報じ、ドル売り反応。下げは113.64近辺まで。ユーロドルは一時1.16台乗せもすぐに1.15台後半に戻した。明日の政策金利発表を前にNZドルは0.6910台と安値圏推移が続いた。

 ロンドン市場では、米税制改革がドル売り誘う場面があった。ドル円は一時113.50割れ。米税制改革について、進展の遅れや結果としての財政赤字拡大への警戒感が広がったことが背景。ユーロドルは1.16を挟んだレンジ取引。ポンドはパデル英国際開発相の辞任観測を受けて売られた。ポンドドルは1.31台後半から1.31台割れまで。

 NY市場では、ドル売りからドル買いへと転じた。ワシントン・ポストが米税制改革法案の法人税引き下げを1年延期する可能性があると報じたことを受けて米税制改革への不透明感が広がったが、米国債利回りや米株式市場は思ったよりもネガティブな反応を見せていない。ドル円は一時113.40近辺まで下落したが113.90近辺まで戻した。ユーロドルは1.16台を回復していたものの上値は重い。NY時間終盤にニュージーランド中銀が声明で次回利上げ予想を前倒ししたことで、NZドル買いの反応。NZドル円は79円台へ。 

(9日)
 東京市場は、ドル円が株の急落に反応。日経平均は午前に450円超高となりドル円は114.07近辺まで小幅上昇。しかし、午後には日経平均がマイナスに転じると一時390円安に。ドル円は114円近辺から113.44レベルまで急落した。その後、日経平均は小幅安に持ち直したが、ドル円は113.60台までの戻りと限定的。朝方のNZ中銀金融政策発表で、今後の利上げ見通しが前倒しされ、NZドル/ドルは0.69台後半へと上昇。その後は0.69台半ばでの揉み合い。

 ロンドン市場では、ドル円が一段安。欧州株安とともに113.24近辺まで下押し。21日線を割り込んだ。クロス円も序盤に売りが広がった。ユーロ円は131.50近辺、ポンド円は148.50割れに。ただ、ユーロ円は132円近辺まで下げ渋り。EUがユーロ圏の経済成長見通しを引き上げたことが好感された。一方、ポンド円は戻りが限定的。メイ英政権やEU離脱交渉への不透明感が引き続き重石。EU離脱交渉に関連して、EU側が支払額の2-3週内の提示を要求、と一部に報じられていた。

 NY市場は、米税制改革法案を巡ってドル売りが強まった。米上院共和党のカシディ議員は、上院が提出する税制改革法案は法人税減税を2019年1月開始に先送りする案を盛り込む計画だと述べた。ドル円は一時113.10付近まで下落。株安にもかかわらず、序盤は米国債利回りの上昇にサポートされ、113.70付近まで買い戻されていた。しかし、カシディ議員の発言を受け失速。ユーロドルは1.16台を回復し、一時1.1655付近まで上昇。ポンドドルもNY時間に入って買い戻し。

(10日)
 東京市場は、落ち着いた値動き。ドル円は113円台前半を中心とした揉み合い。午後に入って日経平均の下げ幅が縮小したことや、米債利回りがしっかりとなったことで、113円台半ばを超える場面も見られたが、高値での買いには慎重。値幅は30ポイント以内。 昨日、EUの経済成長見通し引き上げなどで買いが出たユーロは1.16台半ばでのもみ合い。

 ロンドン市場は、ドル買いが先行。時間外取引で米債利回りが上昇したことに反応している。ドル円は一時113円台後半に上昇。ユーロドルは1.16台前半、ポンドドルは1.31台前半で上値が押さえられている。欧州株は小反発で取引を開始。リスク回避ムードは一服。しかし、この動きは続かず。欧州株がマイナスに転じたことや、英鉱工業生産が予想を上回る伸びを示したことでポンドが買い戻されており、英欧のEU離脱交渉後には一段のショートカバーも入った。序盤のドル買いも全般に一服した。ドル円は113円台前半と上に往って来い。

 NY市場は、ベテランズデー(退役軍人の日)の振り替え休日。株式と商品市場はオープン。
  

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