ポンドが急速に買戻し ドル円は下値模索もレベル感に変化なし=NY為替後半

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 きょうのNY為替市場は全体的にドル売りは一服しているものの、買い戻しの動きまでは見られていない。ドル円は上下動はあるものの、基本的にはレベル感に変化はなく、112円台での推移が続いている。

 朝方、米新規失業保険申請件数や米生産者物価指数(PPI)の発表があり、ともに予想を上回る数字で、相応の反応も見られた。ただ、一時的な動きに留まっている。

 前日のFOMC議事録では、大半のFOMCメンバーは年内利上げに前向きな姿勢を示しているものの、低インフレには懸念を示している様子がうかがえた。今後の利上げに関しては指標次第といった雰囲気だが、その意味では明日の9月の米消費者物価(CPI)は注目される。

 予想では食品・エネルギーを除いたコア指数で前年比1.8%の上昇が見込まれている。8月までの4ヵ月間1.7%が続き、インフレ鈍化傾向に一服感も出てきている中、予想通り1.8%であれば、ポジティブな反応も期待できそうだ。

 そのほか、9月の小売売上高も発表される。ハリケーン後の復興需要から高めの予想が見込まれている。ただ、特殊要因でもあり、今回の数字をどう捉えるかは未知数な部分も多い。

 NY時間の昼になってポンドが急速に買い戻されており、短時間の間に本日の下げを帳消しにしている。ドイツ紙が英EU離脱交渉を担当しているEU側のバルニエ首席交渉官が、明日のブリュッセルで開かれる会合で、英国が暫定的に2年間、EU単一市場へ残留する提案を行うと伝わっている。英国には財政的な責務は伴うものの、投票権はないという。きょうのポンド円は147円台前半まで下落していたが、一時149円台まで一気に戻す展開。

 ユーロは戻り売りの展開が続いており、ユーロ円は132円台に値を落としている。きょうはワシントンでG20財務相・中央銀行総裁会議が開催され、各国の財務相や中銀総裁が集まっている中、ドラギECB総裁やプラートECB専務理事の発言が伝わっていた。

 特にユーロ相場の反応は見られていなかったが、ドラギ総裁は現在の最注目は賃金上昇だと述べていた。ユーロ圏のみならず各国で、景気回復にもかかわらず金融危機前のように、回復に伴った賃金上昇が見られておらず、その理由や対応に苦慮していると語っていた。プラートECB専務理事はこれまで通り、低インフレに懸念を示していた。

minkabu PRESS編集部 野沢卓美 

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